わ
◆わえいながしらじづくし [3677]
和英名頭字尽∥【作者】内川勇編。【年代】明治年間刊。[東京]宮田伊助(保永堂)板。【分類】語彙科。【概要】異称『〈和英雑書〉名頭字尽』『英和五体名頭字尽』。中本一冊。改題本に金子平吉編、明治一七年(一八八四)刊(東京・柏原徳造板)『〈英和〉五体以呂波名頭字尽』あり。中本一冊。『名頭字尽』を漢字・ローマ字(ローマン体・イタリック体の大文字・小文字)など五体で表記した往来。本文を大字・五行・付訓で記す。巻首・頭書等に「いろは四十八文字」「西洋いろは文字」「同十二ケ月書方」「同時計文字」等の記事、世界各国の地名や「英吉利詞」を掲げる。〔小泉〕
◆わかなのはじめ [3678]
和歌那の始∥【作者】月岡暗明書。【年代】江戸後期刊。[江戸]須原屋茂兵衛板。【分類】社会科。【概要】大本一冊。正月行事の若菜摘み(若菜迎え)の由来などを記した仮名文(「吉野川のおくに国栖人と言ゑひすのおほやけにもしられ奉りて…」で始まる)や、それにまつわる衣笠内大臣の和歌、また、「久々に送る手紙」など仮名交じりの消息文(「かしく」で結ぶ準漢文体書簡)四通と詩歌四編を綴った陰刻手本。本文を大字・五行・無訓で記す。筆者は信州佐久向田の住人。〔小泉〕
◆わかのうらめいしょぶんしょう [3679]
〈享和新編〉和歌浦名所文章∥【作者】不明。【年代】享和元年(一八〇一)頃刊。[江戸]花屋久治郎板。また別に[江戸]鶴屋喜右衛門(仙鶴堂)板(文政四年(一八二一)板)あり。【分類】地理科。【概要】異称『和歌名所記』。中本一冊。寛政三年(一七九一)刊『長雄竜田詣・紀の路』†の後半部を抄録・改編した往来。「昨日者、長閑候故、近隣之一両輩相伴ひ白地(あからさま)に立出、和歌の浦辺え罷越候…」で始まり「…此日の興、なか尽しがたく候。かしく」と結ぶ一通の仮名文で、紀伊国・和歌の浦周辺の名所旧跡・寺社等を紹介した往来。高松の茶店を起点に鶴立島・養珠寺・玉津島・紀三井寺・東照宮と順々に廻り、西浜通りに帰路をとるコースで、各地の景観や故事来歴などを略述する。本文を大字・五行・付訓で記す。口絵に「紀伊国和歌浦勝風景」、頭書に「牡丹花肖柏仮名つかひを示す歌廿首」と「和歌の十躰」を収める。〔小泉〕
◇わかまつあんない [3680]
若松案内∥【作者】不明。【年代】江戸後期書か。【分類】地理科。【概要】異称『若松町案内』。「名にし会津の若松に、千とせ栄ゆる鶴が城…」で始まる七五調の文章で、会津若松周辺の町名を列挙した往来。〔小泉〕
◇わかまつまちづくし [3681]
若松町尽∥【作者】不明。【年代】天保(一八三〇~四三)頃作・書。【分類】地理科。【概要】異称『(会津)町往来』。大本一冊。『会津往来集』と題した写本中に収録。若松城下の町名を七五調の美文で記した往来。「千とせ栄ふる鶴か城、東は小田垣…」で始まり、城下を東・南・北の三方向に分けて約六〇の町名を列記する。『町往来』もほぼ同様の往来だが、特に、形容句を含む寺社名を増補し、所々戯文調で綴る点が異なる。本文を大字・四行・無訓で記す。〔小泉〕
◆わかみどり [3682]
わかみとり∥【作者】長谷川妙躰(豊・筆海子)書。【年代】宝永四年(一七〇七)刊。[江戸]御簾屋又右衛門(簾屋又右衛門)ほか板。【分類】女子用。【概要】異称『女筆若みとり』『若緑』。大本三巻三冊、後、三巻合一冊。長谷川妙躰の初期の女筆手本の一つ。題簽題は、上巻『わかみどり』、中巻『わかたけ』、下巻『うすもみじ』。上巻は、「桓武天皇の御時より此京はしまり、四神相応の地にして、こと更かしこき君の御まつりこと、関の戸さゝぬ折ふしに洛陽御見物候べく候…」で始まる全文一通の女子消息文で、京都の由来から京都周辺の名所旧跡を紹介する。後に『洛陽往来』『京都往来』『都往来』『都巡』『都詣』等の名称で頗る普及した。中・下巻は四季の女文で、中巻に「新年挨拶状」以下八通、下巻に「『源氏物語』講釈に出席する意向を伝える文」以下九通を載せ、巻末に詩歌数編を掲げる。字配りは上・中巻の大半を大字・無訓の散らし書きで綴るのに対して、下巻のほとんどを大字・三行・無訓の並べ書きとする。また、本文余白には紅葉・笹・松葉・丁字などの模様を鏤める(本書改刻本の『女筆若みとり』三巻三冊本では、これらの模様を全て削除)。なお初期の三巻本には各巻見返に挿絵を付す。上・中巻末に署名があるが、下巻には署名がなく、代わりに板元跋文で「洛陽、筆海子之筆跡」と紹介する。署名が各巻末尾に記載されていることや題簽に上中下の記載がないことから、当初一冊ずつ刊行された可能性もある。なお、上巻『わかみどり』と同内容で『若見通』と題した写本もある。〔小泉〕
◆わかんがっぴつしもえぐさ [3683]
和漢合筆下江草∥【作者】細合斗南(離・方明・麗玉・半斎・学伴斎)作・書。細合方美(翰雲亭)・西山良誦跋。【年代】寛政九年(一七九七)作。寛政一〇年刊。[大阪]細合方美蔵板。藤屋弥兵衛ほか売出。【分類】教訓科。【概要】異称『〈和漢〉合筆下江草』。大本一冊。松花堂流をよくした儒者・細合半斎が晩年に数年間京都に寓居していた頃、久し振りに大坂を訪れた際に認めた書を子息の方美が手本として上梓したもの。その際詠んだ七言絶句三首を巻頭に大字・二行・無訓で掲げ、続けて大坂訪問時の随感と子息への教諭を込めた一文を大字・四行・無訓で記す。〔小泉〕
★わかんさんじきょう [3683-2]
和漢三字経∥【作者】竜街漫士(張元博)書(「三字経」)。【年代】江戸後期刊(嘉永六年(一八五三)以降)。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。本朝と中国(宋代末)の二つの「三字経」、すなわち、大橋若水作『本朝三字経』†と王伯厚作『三字経』†を合綴したもの。前半の『本朝三字経』を楷書・大字・四行・無訓、後半の『三字経』を楷書・大字・五行・無訓で記す。後半末尾に「竜街漫士書」と記すから、天明七年(一七八七)板系統に属する『三字経』の版下を流用したものであろう。〔小泉〕
◆わかんじふげんかい [3684]
〈手習指南〉和漢字府諺解∥【作者】浪花隠士某編・序。【年代】元禄一二年(一六九九)刊。[大阪]雁金屋庄兵衛ほか板。また別に[京都]教来寺弥兵衛ほか板(後印)、[京都]河南四郎右衛門(菱屋四郎右衛門・英華堂)板(同)あり。【分類】教訓科。【概要】異称『〈新板〉和漢字府諺解〈手習指南〉』『和漢字府』『和漢筆道手習指南』『和漢筆法貫道抄』『筆道調法』。大本三巻三冊、後、三巻合一冊。後続の童蒙向け筆道書に多大な影響を及ぼした筆道書・往来物。本書の序文を割愛、または付録記事を増補した改題本として、安永二年(一七七三)刊『〈和漢〉筆道指南大成』†一冊、寛政一二年(一八〇〇)刊『筆道早合点』†三冊、文化五年(一八〇八)刊『筆道指南手引草』†三冊、弘化三年(一八四六)刊『筆道指南早学問』†四冊がある(上記寛政一二年板までは首題を『和漢筆道手習指南』とするが、文化五年板以降は『筆道指南手引草』と改刻)。このほか、寛政二年頃刊『筆道稽古早学問』†四冊も本書の影響をかなり受けている。上巻には本文欄に「六書(象形・会意・諧声・指事・仮借・転注)の沙汰」「名筆筆法要論(漢帝筆法十四点之論ほか)」、頭書・巻末に「行草手習筆法」「格法七十五字」「忍返之筆法伝授」を掲げるが、これらは『手習仕用集』†の模倣である。中・下巻では「永字八法」の運筆法を詳述し、中巻に「側化十四点」「結構七十二例」、下巻に「掠化十法」等を解説する。本文を小字・一四行程度・所々付訓で記す。〔小泉〕
◇わかんせんじもん [3685]
和漢千字文∥【作者】中村三史堂書か。【年代】天保八年(一八三七)求板。[大阪]塩屋弥七板。【分類】社会科。【概要】大本一冊。周興嗣作『千字文』と作者不明の『和千字文』(仮称)の二本を合綴した手本。まず周興嗣作『千字文』(両点千字文)を楷書・やや大字・八行・両点付きで記し、続いて『和千字文』を楷書・やや大字・九行・付訓(稀に左訓)で記する。『和千字文』は、「一天静泰、四海昇平、国家慶寿、黎民快楽、耕作粉骨、工職規矩、商賈並檐、売買駈引…」で始まる文章で、天下泰平・国家繁栄、通過儀礼、教育、家政、婚姻、出産・養育、疾病・保育、学芸、酒食・接待、名所遊覧、自然・山川草木、信仰・寺社、仏具・仏事、参詣、言動・争論、交際、心情、旅行・渡航、海陸・島嶼、休息、家屋、忠勤・政務、仁政等を述べ、最後に「…寛仁洋溢、盛徳蛮貌、勇威鉞、挙唱万代、恐惶謹言」と佳句で締め括る。〔小泉〕
◆わかんたいしょうしょさつ [3686]
和漢対照書札(初・二編)∥【作者】秦星池(其馨・菊如斎・源蔵)書。劉貞吉甫序(初編)。山清綱序(二編)。逍遙堂跋(初編)。星谷佐世長跋(二編)。【年代】文化九年(一八一二)作。文化一〇年・文政四年(一八二一)刊。[江戸]和泉屋庄次郎板。【分類】消息科。【概要】異称『対照書札』。大本二編二冊。表紙見返に「清人常用尺牘/長崎訳司翻訳」とあるように、もと長崎通詞であった筆者が退官後に著したもので、中国常用の尺牘と本朝通用の書簡を対照させた独特な手本兼用文章。まず漢文体尺牘(楷書)と同義の準漢文体書簡(行書。例外的に仮名文も含む)を交互に掲げ、巻末に尺牘の「釈文(楷書で、訓点を施す)」を一括して載せるのが基本的な形式。初編に「新正啓・覆」「上巳啓・覆」「約看花」「端午啓・覆」「納涼」「七夕啓・覆」「賞月」「重陽啓・覆」「菊花之詩」「賞雪」「借書贈答」「山水逍遙」の一二題一七通を、二編に「無沙汰の友人に訪問を請う書状」から「長期留守中の夫へ家内近況を伝える手紙」までの一〇通をそれぞれ和漢二様で掲げる。特に、二編は実際の書簡を意識した字高で書かれ、尺牘部分に色刷りの飾罫や地紋を施す。なお、初編巻末広告に「続刻三編」と記すが未刊と思われる。本文の行数は一定せず、大小の字で六~一二行・無訓で記す。〔小泉〕
◆わかんていおうか [3687]
和漢帝王歌∥【作者】白幡義篤作。【年代】明治三年(一八七〇)刊。[東京]須原屋茂兵衛ほか板。【分類】歴史科。【概要】大本一冊。「我邦開闢圀常立、神祇年代幾相襲、上古荒唐不可論…」で始まる七言一六八句の文章で、古代から近世までの本朝皇統と中国皇帝の歴史を綴った手本。各時代の情勢を対比させながら和漢二大王朝の歴史を略述した点に特色がある。末尾は大政奉還以後の日本の現状を「将軍職廃社稷移、王政復古万民歓、日月高懸無尽期」と述べて結ぶ。本文を楷書・大字・四行・無訓で綴る。〔小泉〕
◆わかんにじゅうしこう [3688]
和漢廿四孝∥【作者】尾関トヨ作。【年代】明治一九年(一八八六)刊。[東京]尾関トヨ(豊栄堂)板。【分類】教訓科。【概要】小本一冊。銅版印刷。『本朝廿四孝』のあらすじを通俗絵本化した教訓書。各丁上段に通例の『二十四孝』(江革・仲由を入れる点で、近世後期に流布した『日記故事』系統の『二十四孝』を受けるもの)を添える。第三・四・一三・一四・一五・一六丁は挿絵を見開きの構図とするため、袋綴ではなく折り込まれた形をとる。〔母利〕
◆わかんにじゅうしていじょでん [3689]
和漢廿四貞女伝∥【作者】八島五岳作・画。池田東籬序。小川保麿書。【年代】天保九年(一八三八)刊。[京都]播磨屋清兵衛板。【分類】女子用。【概要】異称『〈和漢〉廿四貞女伝』『〈忠孝〉和漢貞女伝』。大本一冊。宣姜后(せんきょうごう)・王貞婦・阿都麻(あとま)・鮑女宗(ほうじょそう)・楽羊子妻(がくようしがめ)・陽友姉(ごうようのゆうし)・難波部首刀自売(なにわべのこうとじめ)・義経妾静・秋潔婦・譚氏妻・慎氏・下野国女・孟姜・崔氏・唐貴梅・元姫子・王醜々・裴氏・山名氏清妻・孟光・董氏・於栗・陳寿妻・文徳皇后の和漢二四人の貞女の伝記を集めた絵入りの女訓書。序文によれば中国の『列女伝』に相当するものが日本にはないので(実際には『本朝列女伝』†等が存した)、和漢の著明な貞女二四人を撰んだものという。これらの記事は概ね『列女伝(劉向列女伝)』†『古今列女伝』『新続列女伝』『音釈列女伝』『源平盛衰記』『後漢書』『日本後紀』『東鑑』『義経記』『唐宋遺史』『大和物語』『閨範図集』『独異志』『復斎日記』等に取材したものだが、いずれも「女童に見せんとてものせるなれば、文章本文とは些くかへて俗につゞる…わかり安からんことを要と」したものである。本文をやや小字・一一行・付訓で記す。巻頭口絵にはその二四人の肖像を掲げ、さらに本文中にも一人一葉ずつの挿絵を載せる。〔小泉〕
◆わかんねんだいか [3690]
和漢年代歌∥【作者】鈴木松江(鱸玄淳・子朴)作。沢田東江書。【年代】天明四年(一七八四)刊。刊行者不明。【分類】歴史科。【概要】異称『和漢季代歌』。中本一冊。「我邦開闢国常立、神祇年代幾相襲、上古荒唐不可論、伝道陰陽諾冉尊…」で始まる七言一六一句の文章で、古代から近世初頭までの和漢の歴史を略述した往来。まず、日本開闢、天孫降臨の神話伝説を述べ、続いて伏羲・神農・黄帝の「三皇」を始めとする中国古代伝説に触れるように、人物を主とする日中両国の政治・文化の歴史を交互に記し、交流の様子も紹介する。本文を楷書・大字・六行(一行二句)・無訓で綴る。〔小泉〕
◆わかんぶんしょうはやべんり [3691]
和漢文章早便利∥【作者】山崎為山編。【年代】明治五年(一八七二)刊。[東京]丸屋庄五郎ほか板。【分類】消息科。【概要】異称『和漢文章早辨利』。中本一冊。準漢文体書簡と、同義の漢文尺牘を併置した用文章。一部例外もあるが、概ね各題毎に各行の右側に準漢文体書簡を行書四行・ほぼ付訓で、また左側に漢文尺牘を楷書・四行・付訓で記すのが基本。「賀新年之文」から「世話成人文」までの二八題約五〇通を収録するが、「七夕之文」のように和文を掲げなかったり、「賀入学之文」のように漢文を掲げないものもある。総じて、四季にまつわる手紙が大半であり、後半に用件主体の例文を掲げる。巻末に「新令諸証文(「借用申金子之事」~「為取替約定書之事」の六通)」、頭書に「十二月異名」と、イロハ引き用語集「文章用字解」を掲げる。〔小泉〕
◆わくかきん/わくかくん [3692]
〈初学須知〉或家訓∥【作者】耄翁作。【年代】延享三年(一七四六)刊。[江戸]辻村五兵衛板。【分類】教訓科。【概要】大本一冊。童蒙向けに書かれた一四カ条の教訓。第一条「聖人の教を学んでこれを実行する『まことの学文』をすべき」。第二条「学問をよくすれば真の楽しみを得る」。第三条「貴賤それぞれに務めるべき業があることと、貴賤貧富は天命であることをわきまえよ」。第四条「恥を知れ」。第五条「奢りを禁ぜよ」。第六条「誉を求めるな」。第七条「足ることを知れ」。第八条「器物の上下」。第九条「無益の器物を持つな」。第一〇条「無益の技芸を習うな」。第一一条「遊興に耽るな」。第一二条「昼は働き夜は休息せよ」。第一三条「従者を大切にせよ」。第一四条「徳を積んで宝とし、徳の積もるのを楽しみにせよ」。以上の一四カ条をやや小字・八行・ほとんど付訓で記す。〔小泉〕
◆わこくしょうかおうらい [3693]
〈頭書絵抄〉和国娼家往来∥【作者】不明。【年代】延享(一七四四~四八)頃刊。[大阪]糸屋市兵衛板。【分類】産業科。【概要】異称『娼家往来』。半紙本一冊。堀流水軒作『商売往来』†をもじった文章で、「凡、娼売持扱文字、心中遣繰之紋日起請文、誓文、神様書入、客衆為泳(およがす)目算能仕掛之覚也…」と書き始め、色里(女肆)・遊女の名目や基本語彙(酒肴、膳部、衣裳、薬種、香料等)、また、嗜むべき教養や接客心得などを略述した往来。本文をやや小字・七行・付訓で記す。前付・頭書等に、遊里風俗を描いた挿絵や、傾城町の由来や主要な隠語、また「遊女和歌集」といった関連記事を載せる。〔小泉〕
◇わこくにじゅうしこうえしょう [3694]
和国二十四孝絵抄∥【作者】楽亭西馬(夷福庵・福亭・宮守・禄馬・西宮新六二世)作・序。歌川貞房(橘庵)画。【年代】天保一四年(一八四三)作・序。天保一五年刊。[江戸]三河屋善兵衛ほか板。【分類】教訓科。【概要】異称『新編二十四孝絵抄』。中本一冊。中国の『二十四孝』にならって日本の代表的な孝子二四人(仁徳天皇・養老の孝子・丈部(はせべ)三子・樵夫喜十郎・矢田部黒麿・藤原衛・波白采女・紀夏井・小野篁・丹生弘吉・大江挙周(たかちか)・難波部安良売(やすらめ)・随身公助(きんすけ)・橘妙仲・伴直家主(とものあたいやかぬし)・信州の孝児・佐紀民直(たみあたい)・小松内大臣・百性甚助・孝子今女・北条泰時・薩摩福依売(ふくよめ)・楠木正行(まさつら)・後三条院)を紹介した往来。一人ずつ見開一丁で挿絵と略伝を掲げる。天保一五年板の外題『新編二十四孝絵抄』を、文久三年(一八六三)再刊本では『和国二十四孝絵抄』と改めた。〔小泉〕
◆わしょうおうらい [3695]
和章往来∥【作者】武田信晟(武田采女正・菅原信晟)書。【年代】慶安三年(一六五〇)書。【分類】消息科。【概要】枡形本二巻二冊。上巻は早稲田大学蔵、下巻は三次市立図書館蔵。いずれも綴葉装の写本で、上巻末尾に「庚寅皆月書之」と記すが、内容から慶安三年書と思われる。上巻は九月を除く各月の書状一一通で、多くが五節句祝儀状などの四季消息で、「吉利支丹・伴天連宗旨、并博奕・諸勝負、盗賊、無主牢人隠抱置事、堅御法度候条、町中無怠慢、可被触知者也」といった条目を丸々引用した箇所もある。また下巻は各月一通の計一二通で、新年祝儀に奉書紙を贈る書状から歳暮祝儀状までを載せるが、上巻同様に四季の景趣・佳節に伴う贈答品が題材の中心である。上下巻とも大字・三行・無訓の手本用に作る。差出人名はすべて中層武家名で、宛名を記さない。また、準漢文体書簡中に「かしこ」の崩し字を用いた例文を数通含むのも特徴。なお、上下巻の末尾に「武田采女正/菅原/信晟朝臣」および「御免筆」の朱印を押す。〔石川〕
◇わせんおうらい/かせんおうらい/いずみおうらい [3696]
和泉往来∥【作者】西室作。【年代】平安末期作。文治二年(一一八六)書。【分類】古往来。【概要】巻子本一軸。各月一双二通の合計一二双・二四通の消息文例から成る古往来。このうち、第一~四双は「官途にあるもの同士の間の応答文」、第五~七双は「勧学・修行に励むものへの手紙」、第八~一○双は「寺院の行事についての僧侶間の応答」、第一一・一二双はまた「官途にあるもの同士の間の応答文」。このように、官途にある者同士や、官途にあるものと僧侶、また、僧侶同士における公私の用件を主題とするのが特徴で、例文のいくつかに語彙集団を含む点は重要。例えば「竪義の会の時に必要な食品・器具の寄進を請う」一〇月状往は、初めに二○句一六二字を費やして、時節の風景、竪義の催しを述べた後で、「所要之物」として、食品九三語(九三種の食品名一八八字)、器具二六語(二六種の食器・その他四八字)の語彙を列挙する。この点で、本往来は南北朝時代以降に成立・普及する『庭訓往来』†型の先駆といえよう。本書は高野山西南院蔵本が唯一の伝本で、本文を行書体で記し、返り点と送り仮名とを付し、多くの語彙に振り仮名(片仮名)を施す。〔石川〕
◆わひつせんよう [3697]
和筆専用∥【作者】不明。小倉要作跋。【年代】享保一四年(一七二九)刊。[大阪]河内屋茂兵衛(岡田茂兵衛・保与堂・群鳳堂・群玉堂)板。【分類】消息科。【概要】大本一冊。四季の消息例文と詩歌を綴った手本。例文はいずれも四季の行事にちなんだ短文で、大字・二行・無訓で記す。伊勢守が差出人の新年祝宴誘引状から始まる月次状一二通を収録し、続く二月状が梅の盛りに一首求める手紙(梅にかけて差出人を紀伊守とする)という具合に、月々の手紙の差出人を「○○守」とするのが特徴で、大坂周辺の国名を学習させる意図が込められたものであろう。後半には『和漢朗詠集』からの詩歌一六編を掲げる。〔小泉〕
◇わぶんしょう [3698]
和文章∥【作者】関思恭(鳳岡・子粛・源内・恭黙斎)書。中村惟徳跋。【年代】宝暦二年(一七五二)書。宝暦八年跋・刊。[江戸]前川六左衛門ほか板。【分類】消息科。【概要】異称『関思恭和文章』。横本一冊。「花見誘引状」以下二一通を収録した陰刻手本。庭前の花見の招待状、饗応の礼状、月見誘引状、新築祝儀状など四季折々の贈答文からなる。本文を草書・大字・五行・無訓で記す。〔小泉〕
◆わぶんしょう [3699]
和文章〈董堂先生書〉∥【作者】中井董堂(敬儀・伯直・嘉右衛門・小笠・魚澄老人)書。北条士伸(春蠖堂)序。【年代】享和二年(一八〇二)序・刊。[江戸]英屋平吉板。また別に[江戸]堀野屋仁兵衛(翫月堂・玩月堂・小倉仁兵衛)板あり。【分類】消息科。【概要】異称『董堂先生和文章』。大本一冊。前半に消息例文、後半に董堂の各種筆跡を収録した陰刻手本。『和文章』と題するが、消息文は全て準漢文体であり、仮名文章ではない。消息文は、「鳳暦之御吉慶不可有尽期御座候…」で始まる「年頭祝儀状」から、鏡餅や鴨を贈る「歳暮祝儀状」までの一二通(各月一通ずつ)で、佳節祝儀状など四季折々の手紙を主とする。後半に、董堂の書翰の模刻五通と紀貫之の「大井川行幸和歌序」などを載せる。本文を大字・四~七行・無訓で記す。〔小泉〕
◇わぶんしょうそく [3699-2]
和文消息∥【作者】山田稲子作・序。久米幹夫序。【年代】明治二四年(一八九一)序・刊。[東京]普及舎(辻太)板。【分類】女子用。【概要】中本一冊。「新年の文」から「八十の賀の宴に・同返事」までの往復文二〇題四〇通の仮名文を収録した女用文章。漢語や漢字を極力使わず、大和詞で綴った四季贈答の文や吉凶事に伴う例文などを掲げる。本文をやや小字・八行・付訓で記す。久米氏の序文には、近年の幼少年の教育は男女差がなくなったために、「おのつから消息もをとこめかしくて、女のふみもみえぬやうに」なったたが、本書はそれを教える良い手本であると述べている。〔小泉〕
◆わぶんせきとくじょう [3700]
和文尺牘帖∥【作者】巻菱湖書。【年代】明治初年刊。[東京]椀屋喜兵衛(万笈閣)板。【分類】消息科。【概要】大本一冊。明治初年に巻菱湖が執筆して椀屋から出版した一連の法帖類の一つ。前半と後半(この部分の単行本が巻末広告にいう『和文陽春帖』であろう)の二部から成る陰刻手本で、まず前半部は「詩歌の会招待の礼状」から「台風見舞状」までの一二通、後半部は「新年祝儀状」から「八朔祝儀状」までの六通を載せる。いずれも四季風物を主とする消息文で、本文を大字・二行・無訓で記す。〔小泉〕
◇わよういろは [3701]
〈九体必用〉和洋以呂波∥【作者】三木光斎作・序。【年代】明治四年(一八七一)序・刊。[東京]丸屋平次郎(慶寿堂)板。【分類】語彙科。【概要】中本一冊。平仮名・片仮名・ローマ字(大文字・小文字・ローマン体・イタリック体)・漢字(草書・楷書)など九体で表記したイロハ。後半に「数字」「大日本国尽」「干支」のローマ字表記を載せる。〔小泉〕
◇わようごたいいろは [3702]
〈異人詞入〉和洋五体以呂波∥【作者】不明。【年代】明治五年(一八七二)刊。[東京]吉田屋文三郎板。【分類】語彙科。【概要】折本一帖。本文を二段に分け、上段に天地・自然・四季・人倫に関する語句と同義の英単語(片仮名の読みを付す。天之部二四語、地之部四三語、気候之部五六語、人倫之部六五語)、下段にアルファベット各体および「〈和洋〉五体以呂波(平仮名・同音の漢字・ローマン体大字・同小字・同小字イタリック体の五体で綴ったイロハ)」「昼夜二十四時文字(西洋時計の時間について)」「数字」などを載せる。〔小泉〕
◇わようたいざん [3702-2]
和洋対算(初輯)∥【作者】学半舎如水作・序。【年代】明治五年(一八七二)序・刊。[東京]山田氏蔵板。川越屋松次郎売出。【分類】理数科。【概要】異称『〈和洋〉対算独稽古』。中本一冊。和算と洋算を対比させた算法書。まず「和洋数字(アラビア数字・漢数字)」「九々数合」「位名」「大数」「小数」「記号(加減乗除)」を列挙し、続いて、加減乗除の四法による簡単な計算問題とその解答を示したうえで、算盤による解法と洋算による解法を説明する。凡例には、四法以外の計算を二編以降に収録すると述べるが未詳。〔小泉〕
◆★わらべじょう [3703]
童子状∥【作者】不明。【年代】安永二年(一七七三)以前刊。刊行者不明。【分類】教訓科。【概要】異称『童部状』『童部教訓状』。刊本は大本一冊。写本は半紙本一冊。武田信玄から鶴千代丸に宛てた一通の書状形式によって、童蒙の心得を説いた往来。朝起きてからの身仕舞や、父母・師匠の心を忖度すべきこと、幼時よりの学問の心掛けや朋友を選ぶべきこと、騒動を起こし衣装を汚したり身体を傷つけることは不孝の至りであること、さらに、壮盛後は師について「文学・言語、進退・行住之事」を怠らず学ぶべきことなどを説き、全編を通じ、善友との交際と学問出精を強調する。刊本は本文を大字・四行・付訓で記す。なお、安永二年写本『童部状』(伴次書)が存在するため、刊本の初刊年代はそれ以前と思われる。〔小泉〕
◆わらべてびきぐさ/どうじてびきぐさ [3704]
童子手引草∥【作者】稲垣丘山作。【年代】文化一三年(一八一六)刊。[京都]稲垣丘山施板。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。かねて古人の金言や教訓、また古歌や中国の故事などを書き集めた童蒙教訓書。著者(城南相楽郡和束杣田邑中の人)が施主となって上梓したもの。「親孝行之事」「子の生育(そだてよう)之事」「女の慎むべき事」「子孫相続の事」の四章に分けて説き、その根本が「仁義忠孝慈悲善根之道」にほかならないとする。本文をやや小字・八行・付訓で記す。〔小泉〕
◇わらわおうらい [3705]
童往来∥【作者】不明。【年代】嘉永(一八四八~五四)頃書か。【分類】教訓科。【概要】岡山県邑久郡豊原村長沼地方の寺子屋で使用された手本。平井自休作『近道子宝』†の冒頭を採って改編したもの。「童の時、早く手習ひ覚ゆ事有。先、上をば天といふ。下をば地と云。月日の出る方を東と云、月日の入方を西といふ…」と始まる本文で、天地・東西南北・春夏秋冬・十二支・山・谷・滝・川・海・島・堀について説く。〔小泉〕
★わりざんしょ [3705-2]
割算書(仮称)∥【作者】毛利重能(勘兵衛・出羽守)作。【年代】元和八年(一六二二)刊。[京都]毛利重能蔵板。【分類】理数科。【概要】異称『算書』『重能著割算書』『算用記』。横本一冊。明国に算法を学び、帰国して珠算法を発明した毛利重能の和算書で、現存最古の数学書・珠算書。「割算」とは単なる「除法」ではなく、「算勘」のような実用数学全般を指すと思われる。それぞれ異板であるが、元和八年板・寛永四年板・寛永八年板の三種が知られる。「八算同発(八算之次第)」「見一同発(見一之次第)」「帰一倍一同発(帰一倍一之次第)」「四十四割(金子四十四割次第)」「四十三割(銀子四十三割次第)」「小一斤声(小一斤之次第)」「糸割(唐目を日本目に直次第)」「掛て吉分(割算に懸てはやき分)」「絹布割(絹布の次第)」「升積算(物に升かす入次第)」「金割算(金かねかへの分)」「借銀借米(借銀利足の次第)」「米売買(米の売買の次第)」「検地算(検地の次第)」「普請割」「町見様(町の見やうの次第)」の一六章五五項にわたって、実用本位の基礎数学や計算例を示す。跋文に、作者知音の「市兵衛」なる男の所望によって「悉改作直、右はんきの分大形書付畢…」と記すようにより古い和算書の存在が示唆される。事実、重能の著として元和五年刊『割算極意』または『割算見明星』と称する二冊本が存在したという(現在所在不明)。〔小泉〕
◆わんぱくじょう [3706]
〈新刻頭書〉頑悪儡状∥【作者】耕堂月邦(相沢道隆・所左衛門・不易堂・縁窓)作。春風書。【年代】嘉永三年(一八五〇)刊。[信州]不言斎ほか板。【分類】教訓科。【概要】異称『頑悪状』。半紙本一冊。悪に染まりやすく善に進みがたい童蒙らを善導せんと綴った教訓。朝起き、身支度、神仏礼拝、朝食、立ち居振る舞い、遊芸・遊興、立場立場に似つかわしくない行為などについて述べた後、手習いを嫌う者の不良・非行と不学者の恥ずかしさ・不甲斐なさなどを説く。この後半部は『通俗教訓往来』†『世話字往来教車』†等と同様の教訓で、前半部に類似した教訓も種々あるため、複数の往来物を粉本として編んだものであろう。本文を大字・四行・付訓で記す。見返に「孔子、鯉魚に教諭」、頭書に「親孝行草」「閑通座右銘」「常看座右書」「執筆秘伝鈔」の記事を掲げるが、これらも他の往来物の模倣と思われる。なお、題簽に「はんばくじやう」と読み仮名を付すが、本文中には「わんばくじやう」とあるので、「頑悪儡」は「腕白」の宛字と見るべきであろう。〔小泉〕
●追加項目
☆かいかのうた [増補項目-0001]
〈啓蒙〉開化乃歌∥【作者】小川徳治(錦水)作・書。【年代】明治六年(一八七三)刊。[大阪]松邑九兵衛(文海堂)板。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。文明開化の時代にふさわしい皇国民の義務やあり方を諭した教訓書。「文明開化の時運とて、既に旧弊一新し、民に新利を得させむと、施行したまふ政。上は慈親の如くにて、子とする民の行末の、安穏をこそはかりませ…」で始まる七五調の文章で、家業出精、節倹、一族和合、慈悲・人情、積善と、これらの根本である学問・事業の勤勉・精進を説く。本文を大字・四行・付訓で記す。〔小泉〕
☆しょがくぶんしょう [増補項目-0002]
〈長雄〉初学文章∥【作者】田村耕章書。【年代】文化二年(一八〇五)書・刊。[江戸]大羽屋弥七ほか板。【分類】消息科。【概要】大本一冊。四季の手紙や諸用件の手紙などを認めた長雄流陰刻手本。公方様の紅葉山御宮参詣後の御機嫌伺いを始め、朝鮮通信使対応その他公用に伴う各種書状、曲水の宴誘引状など季節に伴う手紙や、尊円親王自筆手本『庭訓往来』の購入を奨める手紙など合計一七通を収録する。散らし書きなどの女文数通を含むほか、例文中に詩歌二編を挿入する。〔小泉〕
☆ひつどうしなんたいせい [増補項目-0003]
〈和漢〉筆道指南大成∥【作者】浪花隠士某編。【年代】安永二年(一七七三)刊。[大阪]和泉屋卯兵衛板。【分類】教訓科。【概要】異称『和漢筆道手習指南』。大本三巻合一冊。元禄一二年(一六九九)刊『〈手習指南〉和漢字府諺解』†の改題本の一つ。直接的には元禄一二年の刊記および序文を存した江戸中期改題本『〈新板〉和漢字府諺解〈手習指南〉』から序文を割愛して刊記を改刻したもので、他は全く同一である。〔小泉〕
☆すんぷあんないぐさ [増補項目-0004]
駿府案内草∥【作者】白鳥富次郎書。【年代】文化九年(一八一二)書。【分類】地理科。【概要】小本一冊。「駿府御城下之町々を、尋ねたまへや稀人に、道の案内の言草を、矢立の筆のやつ敷、書付もつて参らすも…」で始まる七五調の文章で、駿府九六町を始め、駿府周辺の名所旧跡・神社仏閣の名称を列挙した往来。本文を大字・五行・所々付訓で記す。〔小泉〕
☆にほんしふけんくにづくし/にっぽんしふけんくにづくし [増補項目-0005]
日本使府県国尽∥【作者】鶴田真容作。【年代】明治一二年(一八七九)刊。[東京]杉浦朝次郎(品川屋朝次郎)板。【分類】地理科。【概要】異称『〈日本〉使府県国尽』。小本一冊。畿内・東海道・東山道・北陸道・山陰道・山陽道・南海道・西海道・北海道の順に、旧国名・府県名・郡名を列挙した往来。五畿七道および旧国名を楷書・大字・四行・付訓で記し、国別に割注形式で郡名を列記する。合計三府・三五県・八六国・七一六郡を載せる。〔小泉〕
☆そろばんちょうほうき [増補項目-0006]
〈早割秘伝〉算盤調法記∥【作者】米徳孚作・序。【年代】文政元年(一八一八)序。文政二年刊。[江戸]西宮弥兵衛(北林堂)板。【分類】理数科。【概要】小本一冊。序文に述べるように、「世に塵劫記の書多しといへども、上方の相場割にて迂遠(まわりどお)なり。故に此書は関東(えど)の金通用相場の割を初心の習ひやすき為に早割を専らにし、且(そのうえ)、算学者の奥秘を記」した携帯用の算法書。大数・小数・田数の名目や諸物軽重、九九の数、八算割こゑ、また、八算見一等の算盤の基本に続いて、「永銭を金子に直す法」「金銀銭両替の部」「金銀利息勘定の部」「米うり買の部」「酢・醤油・みそ・塩うりかひ之部」「水油うりかひ之部」「さけうりかひ之部」「ごふくもめん類うりかひの部」「わたをうりかひの部」「紙そうめんるいうりかひの部」「たばこうりかひの部」「茶うりかひの部」「地代勘定の部」など生活に密着した実用的な計算例を種々並べるほか、開平法・開立法など諸例題とその解法を略述する。〔小泉〕
☆かいほうようぶんむじんぞう [増補項目-0007]
懐宝用文無尽蔵∥【作者】梅枝作(『明和九年書目』)。【年代】宝暦一三年(一七六三)初刊。寛政一二年(一八〇〇)求板。[大阪]播磨屋五兵衛ほか板(寛政一二年求板)。また別に[京都]須磨勘兵衛板(嘉永七年(一八五四)板)あり。【分類】消息科。【概要】異称『懐宝用文』。中本(やや小型)一冊。現存本は嘉永七年求板本だが、版式から言っても、『明和九年書目』に見える同名の用文章と同内容であろう。本文に「年始之状」から「賀太平文」までの一二〇通の消息例文と、「年切奉公人請状」以下一〇通の証文手形案文とを載せた用文章で、四季時候・贈答・吉凶事・諸用件等の例文を網羅的に集録し、それぞれ本文を大字・五~六行・所々付訓で記す。付録記事は語彙に関するものや書札礼などで、巻頭に「書札法式大概」「封じ様上書高下」「廻状書様并口上書」「進物書付」、また頭書に「言語部」「人倫部」「諸道具部」「着類部」「木之部」「草花部」「青物部」「魚類部」「貝類部」「諸鳥部」「獣部」「虫部」「肢躰部」「食類部」「病名部」「名字部」「名乗部」「百官名」「東百官」「家名部」「日本国尽」「人名頭」「世話字尽」「天象字」「地儀字」「時節字」「方角字」「色字」「薬種字」「篇冠構」「瀟湘八景」「近江八景」「書初詩歌」「七夕詩歌」「服忌令」「唐之以呂波」、さらに巻末に「月の異名字尽」「十干十二支」を掲げる。〔小泉〕
☆しきようぶんしょう [増補項目-0008]
〈百家重宝〉四季用文章∥【作者】山田賞月堂(東耕)書。【年代】江戸後期刊。[大阪]秋田屋市兵衛板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「年頭披露状之文」から「歳暮ニ遣す状・同返事」までの五七通を収録した用文章。基本的に五節句、年中行事などの四季に伴う例文で、冒頭の「年頭披露状」で上中下別の例文を掲げたり、「納涼(すずみ)誘引状」では誘引状に続いて「断状」「再答」「又返辞」と何度も往復する書状の例なども盛り込むなど文面の多様な展開にも配慮する。本文を大字・五行・付訓で記す。前付に「家名尽」「状封じ様名がきの事」「いろはの本字」「文房之四友」、後付に「年中時候之詞」を収録する。〔小泉〕
☆かいかあんもん [増補項目-0009]
開化案文∥【作者】村田徽典作。青木東園書。【年代】明治九年(一八七六)刊。[東京]荒川藤兵衛(錦耕堂)板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「開年之文」から「客中訪歳晩之文・復答」までの三二通を収録した漢語用文章。四季行事や四季贈答に関する手紙ばかりを集める。本文を大字・五行・付訓(所々左訓)で記す。〔小泉〕
☆せじょうのいましめひとりそどく [増補項目-0010]
世上誡独素読∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。刊行者不明。【分類】教訓科。【概要】縦長の中本一冊。『子供早学問(童子早学問)』†の改題本。同本文を半丁に五カ条ずつ列記した簡易なもので、付録記事等は一切ない。体裁等から田舎板と思われる。ほとんど仮名書きの本文を大字・五行・稀に付訓で記す。〔小泉〕
☆かいかにちようぶんしょう [増補項目-0011]
〈官民〉開化日用文証∥【作者】久保田梁山作。【年代】明治一四年(一八八一)刊。[東京]水野慶次郎(松林堂)板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「維新以来の通語をとり、雅俗混淆にして啻其実用に便なるを主とし」て編んだ用文章。「歳首の文」から「出火尋問の文」までの四一通の消息文例と、「転宅届」以下八通の「届証書之類」、「金子借用之証」以下五通の「証書之類」の合計五四通を収録する。大半が四季消息で、用件の手紙や吉凶時に伴う手紙も数通掲げる。本文を大字・六行(証書類は八行)・付訓(所々左訓)で記す。頭書にはイロハ引き漢語集の「書柬字類」を載せる。〔小泉〕
☆かいかいっぴつ [増補項目-0012]
〈公私〉開化一筆∥【作者】宮本興晃作。【年代】明治一三年(一八八〇)刊。[東京]稲垣武八(墨華堂)蔵板。榊原友吉売出。【分類】消息科。【概要】異称『』。中本一冊。「賀新年書」から「借雨具返遣書」までの消息文例六〇通(各例文の返状は頭書に掲載)と、「田畑或ハ山林質物之証」以下九通からなる「諸証書式」、「養子加籍願」以下一三通からなる「願届書式」を収録した用文章。消息例文は四季時候、吉凶事、諸用件の順に数通の例文を大字・五~六行・所々付訓(左訓)で記す。〔小泉〕
☆れきじつこうしゃく/れきじつこうやく [増補項目-0013]
〈改正〉暦日講訳∥【作者】不明。【年代】天保一三年(一八四二)頃刊。[江戸]吉田屋源八板。【分類】理数科。【概要】異称『暦日講釈』。中本一冊。暦の中段・下段など一通りを解説した簡易な暦占書。巻頭に「三鏡宝珠形」「二十四方位図」を掲げ、続いて「八将神」「鬼門」「中段下名目の日」「中段(十二直)」「下段」「金神の方」「大将軍の方」「二十八宿」「七曜星吉凶の事」「十二支の日にて失物・待人を知る事」「毎月十二時の内降出す雨にて晴雨を知る事」「十干の起、並吉凶の事」「「十二支の起、並吉凶の事」などを収録する。〔小泉〕
☆きょうくんみよのめぐみ/きょうくんみよのおん [増補項目-0014]
教訓御代の恩(初輯)∥【作者】山田佐助(文会堂・久米千寿)作・序。歌川国直(後素園)画。【年代】天保一四年(一八四三)刊。[江戸]山田佐助板。【分類】教訓科。【概要】異称『教訓御代恩』。中本一冊。『六諭衍義大意』†の冒頭「孝順父母」章を絵解きや教訓歌、和漢の故事によって平易に説いた往来物(合巻風の絵本)。原題簽下部に「初輯」と明記するため、「六諭」の各章を順次刊行する意図があったと思われるが、二輯以後は未刊に終わった。〔小泉〕
☆しょうちゅうせきとくかいてい [増補項目-0015]
〈増補〉掌中尺牘楷梯∥【作者】三益堂編。松泉老人序。【年代】明治四年(一八七一)刊。[大阪]加賀屋善蔵ほか板。【分類】消息科。【概要】異称『増補掌中尺牘楷梯』。折本一帖。江戸後期以来、「和漢文章ノ模範」として流布した『尺牘楷梯』†に「聊カ潤色ヲクワヘ」、「小冊子トナシ、懐中ノ便」とした銅版刷り小折本の往来。上下二段に仕切られた下段の本文欄に「年頭ノ章(賀禧帖)」から「フデスミヲオクル文(送筆墨)・同答」までの一八八通を収録し、上段頭書に各例文の類語・類句を列挙する。準漢文体の和文(俗文)を行書で、漢文尺牘を楷書で、それぞれ小字・三行(半丁一二行)・付訓で認める。巻末上欄に時候・地理・人倫・凶弔・気形・草木・飲食・器財の各部毎の類語集である「異名分類」、下欄に「書柬十八体定式」等の書札礼を掲げる。〔小泉〕
☆あきんどようぶんしょうよみ [増補項目-0016]
〈御家〉商人用文章∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。[江戸]三河屋鉄五郎ほか板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「正月の文」から「俳諧催しの文」までの四二通と「御関所証文」以下六通の証文手形文例を載せた用文章。頭書に「肢体名所の事」「着類仕立名所」「着類の名」「織物・太物」「草木の名」「諸道具類」「魚鳥獣」「七ッいろは」「諸国御関所」「苗字尽」、巻頭に「いろはの起」を掲げる。なお、本書に大幅な増補(「歳暮の文」の末尾を変更し、それ以後、「婚礼歓の文」までに三二丁増補)を加えたものが同名の丁子屋平兵衛板である。〔小泉〕
☆じんのうけいとう [増補項目-0017]
神皇系統〈附、官国弊社号〉∥【作者】平山陳平(省斎・三省堂)作・序。【年代】明治六年(一八七三)序・刊。[静岡]平山氏蔵板。[沼津]擁万堂寿三郎ほか売出。【分類】歴史科。【概要】半紙本一冊。日本神話の天地開闢以来の造化三神(天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)・高皇産霊神(たかみむすびのかみ)・神皇産霊神(かむみむすびのかみ))以下の神々、また、神武天皇から今上天皇(明治天皇)までの歴代天皇の御名(または御諱)・御年・在位年数・崩御日)を列記した教科書。巻末に伊勢内宮・外宮の祭神、官幣大社・中社・小社、国幣大社・中社・小社毎に各神社の名称と所在地を記す。本文を楷書・八行・一部付訓で記す。〔小泉〕
☆ねんちゅうようぶんしょう [増補項目-0018]
年中用文章∥【作者】中村平吾(三近子)作(『享保書籍目録』による)。【年代】元禄一三年(一七〇〇)作・刊。[江戸]枡屋板。【分類】消息科。【概要】半紙本五巻五冊。第一巻から順に春・夏・秋・冬・雑の五部五巻に分けて、多彩な例文と膨大な類語(月々の用字)を集めた用文章。各巻毎に「年始ニ遣文章」以下一九通および正月~三月の用字、「四月之文章」以下一七通および四月~六月の用字、「盆之文章」以下一二通および七月~九月の用字、「十月之文章」以下一四通および一〇月~一二月の用字、「打絶人へ遣状」以下二六通および披露状・廻状・手紙・捻状・祝言頼の目録・親類書等の図式、さらに「手形文言(証文手形三通)」を収録する。例文は通し番号を付す大見出しの基本例文を大字・五行・付訓で記し、その他の例文や類語を小字・一〇行・付訓(語彙に稀に割注)で記す。〔小泉〕
☆よろずにっき [増補項目-0019]
〈小学習字〉万日記∥【作者】白木柏隠作。【年代】明治一四年(一八八一)刊。[仙台]白木半右衛門(裳華房)板。【分類】消息科。【概要】異称『小学習字万日記』。大本一冊。本文は安永元年(一七七二)以前刊『万日記』†と同じ本文を行書・大字・五行・無訓で記し、巻末に楷書・八行・付訓の本文を再録したもの。巻頭題字に「正徳元年五月吉日/大福帳」と認め、その裏に大黒・恵比寿に山積みの米俵や金銀財宝を描く。〔小泉〕
☆かざいしょどうぐじづくし [増補項目-0020]
家財諸道具字尽∥【作者】花山堂作。毛塚浅吉(花山堂門人)書。【年代】天保一一年(一八四〇)書。【分類】語彙科。【概要】大本一冊。上流階級の屋敷の間取りを想定して、各部屋毎にふさわしい家財諸道具を列挙し、童蒙教育の一助とした往来。「奥座敷上段間諸道具」「寝所納戸諸道具之類」「勝手座敷諸道具類」「料理之間諸道具類」「板流間取扱諸道具類」「台所取扱諸道具類」「物置部屋諸道具類」「雑穀部屋諸道具類」「献立精進料理品類」「魚鳥料理之類」の一〇分類で、家財諸道具類の名称とそれに適した数量呼称(単位)を列記する。本文を大字・六行・付訓で記す。〔小泉〕
☆きそじげこうおうらい [増補項目-0021]
木曽路下向往来∥【作者】原両平書か。【年代】嘉永七年(一八五四)書。【分類】地理科。【概要】大本一冊。京都から軽井沢までの木曽街道の宿駅やその様子を略述した往来。「華の錦の九重の、空は六十路の衢にて、渡りはじむる三条の、大橋越て三井寺の、鐘の闇に車牛、歩行も早き大津宿…」で始まり、「…浅間嵐も只さむく、相生宿を追分と、誰が名を附し沓掛や、蜘場ヶ原に不断居る、鶴の羽色も遠とふと、荷物も足も軽井沢」で結ぶ七五調の文章で綴る。嘉永七年写本は信州佐久郡で使用された手本で、本文を大字・五行・無訓で記す。〔小泉〕
☆ふじんにちようたまのお [増補項目-0022]
婦人日用玉の緒∥【作者】高井蘭山作。橘正敬書。【年代】文政二年(一八一九)刊。[江戸]和泉屋市兵衛板。【分類】科。【概要】異称『婦人日用字尽文章』。大本二巻二冊。寛政一一年(一七九九)刊『女諸用文章』†に「婦人日用字尽文章」等を増補した往来。前半部は『女諸用文章』と同じ。後半部の「婦人日用字尽文章」は、「男女ともに手跡習業(てならうわざ)は万の用を達すべき根、能筆なるも孝のひとつといへり…」で始まる文章で、女性の芸能(手跡・縫い針・和歌・遊芸)の中でも書筆が第一であることを述べ、「婦女の取扱ふべき日用の品々」として、「絹布・端もの・衣類」「染色」「女の手道具」等の語彙を列挙した後、「五障三従」の教えなど婦人の心得を示して結ぶ。同本文を大字・六行・付訓で記す。巻末に「試筆・除夜・乞巧奠詩歌」「文の封やう品々並横竪目録」「色紙短冊懐紙書やう并寸法」「扇子・団に歌の書やう」「小笠原流折形品々」「小笠原流結かた品々」「女中五性名の字」を掲げる。〔小泉〕
☆くにづくし [増補項目-0023]
〈仮字〉国尽∥【作者】関口某書。【年代】明治六年(一八七三)書。【分類】地理科。【概要】異称『仮字国尽』。大本一冊。日本の由来や全国の国名等を記した往来。明治六年写本は末尾を欠くが、まず「かしこくも、豊葦原の秋津洲の、千々にわかれし海山を、つたなき筆に書つゝるに、この大日本を千五百秋、瑞穂の国とよびつるは、気候ゆたかに土地肥えて、天津神より伝へこし、五穀をはじめ野に山に、なり出るてふ万宝に、民を養ひ世をたすけ、のこる方なき故とかや…」と筆を起こして日本の由来に触れ、以下、五畿七道毎の国名や特徴(物産や名所等)を紹介する。本文を大字・四行・稀に付訓で記す。〔小泉〕
☆さやましきぶんしゅう [増補項目-0024]
山四季文集∥【作者】山周暁書。【年代】明和八年(一七七一)書・刊。[江戸]山崎金兵衛板。【分類】消息科。【概要】異称『山四季文章』。大本一冊。「一天安泰之春万民可楽此節也…」で始まる春の宴会招待状以下一七通を記した山流の陰刻手本。大半の例文が本書と同じで同筆の『山江戸川用文』は、本書の改訂版と思われる。書名の通り、いずれも四季折々の詩歌管弦や参詣・行楽の誘いなど風流人としての四季贈答の手紙を列記する。うち一通は散らし書きで、ほかに「かしく」で結ぶ準漢文体書簡数通を載せる。本文を大字・三行・無訓で記す。〔小泉〕
☆しょうばいおうらいえしょう [増補項目-0025]
〈寺沢流〉商売往来絵抄∥【作者】寺沢政辰書か。【年代】享保一七年(一七三二)刊。[江戸]鶴屋喜右衛門板。【分類】産業科。【概要】大本一冊。堀流水軒作『商売往来』†に頭書を加えたものとして最も早い例の一つ。本文欄に『商売往来』の本文を大字・四行・付訓で記し、頭書に「商家の用字」「呉服物の字」「衣類の字」「獣字づくし」「鳥字づくし」「魚字づくし」「貝類の字」「野菜字尽」「料理の文字」「海藻の字」「諸道具の字」「普請の文字」「材木の文字」「草木字尽」「人の身の字」「病の文字」「人の名目」「親類の文字」「大日本国尽」「篇冠字尽」「名頭字尽」「名字づくし」「五色の字」「五味の字」「方角の字」「十幹の字」「十二支の字」と関連の挿絵を掲げる。〔小泉〕
☆ほっこくめいぶつおうらい [増補項目-0026]
北国名物往来∥【作者】満次郎書。【年代】文化八年(一八一一)書。【分類】地理科。【概要】大本一冊。「抑是は北国第三の湖水、鹿嶋の潟に年久鋪住居する海老雑喉とは我事なり。しかるに今度、関友より此方の由来を委しく尋ねきかんと御飛脚を到来致せしに、先ず、鯉・鮒をはじめいづれも小雑喉にいたるまで御召にまかせ江戸表へ馳下り評定所え罷出、潟の謂を委細にもふしあげんと、おのおの小舟にうち乗て、ころは安永四年如月上旬、鹿嶋の潟をうち立て…」と筆を起こして、能登半島各地の名所や物産について記した往来。気多神社、妙成寺、福浦、剱地、大福寺、輪島、三崎、珠洲の宮などの能登半島全域の名所とともに、佐渡島、糸魚川、親不知子不知など越後方面の地名も紹介する。擬人化した海老雑魚たちが語るという趣向の戯文で、末尾に海老「折々は髭撫て行柳かな」、蜆貝「鴬や江戸まで口はひらかれず」などの川柳を載せる。本文を大字・四行・無訓で記す。〔小泉〕
☆はやみあんもん [増補項目-0027]
〈商家日用〉早見案文∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。[大阪]秋田屋太右衛門ほか板。【分類】消息科。【概要】横本一冊。「年頭状」から「披露状」までの消息例文一〇一通を収録した懐中用の用文章。五節句・四季の手紙、吉凶事に伴う祝儀状・見舞状、四季行事の誘引状、種々贈答状、商取引向け書状の順に収録し、それぞれ大字・八行・付訓で記す。巻末には上中下の消息用語など書簡作法の概要を記した「書札要略」を載せる。〔小泉〕
☆てがたしょうもん [増補項目-0028]
手形証文∥【作者】蘭香堂書。【年代】江戸後期(元治年間頃)刊。[江戸]吉田屋文三郎板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「年季奉公人請状之事」から「往来手形之事」までの手形証文類の例文二五通を収録した往来。奉公人請状、引取一札、借家請状、借用証文、家屋敷売買証文、誤(謝)り一札、為替手形、跡式証状、養育証文、養子・養女証文、宗旨手形、武家方借用証文、家質証文、売上証文、不通養子一札、妾奉公人請状、乳母奉公人請状、荷物送り状、請取手形、往来手形など基本的な例文を網羅する。本文を大字・六行・付訓で記し、「年月日」「差出人」「宛名人」等の記載方法や相手の身分に応じた「様」のくずし方などを適宜示す。また、巻末に「竪文」「封じ文」の基本作法について付記する。刷り表紙(共紙)の簡易な製本である。〔小泉〕
☆しょうようさくぶんさんびゃくだいよみ [増補項目-0029]
商用作文三百題∥【作者】飯田平作編。【年代】明治一二年(一八七九)刊。[東京]慶應義塾出版社(中島精一)蔵板、[大阪]武藤吉次郎ほか売出。【分類】消息科。【概要】中本二巻二冊。商業の実務で必用となる手紙文を網羅的に集めた用文章。上巻に「品物ヲ借リニ遣ス文」から「弔喪ニ答フル文」までの一七〇題、下巻に「後ヨリ行ントシテ待合ヲ頼ム文」から「預リ金ニ各種アルヲ答フ文」までの一三〇題、合わせて、書名の通り三〇〇題を収録する。巻頭「例言」に、一国の盛衰にとって商売は重要であり、その商売に欠かせないものは「算術、簿記、及書翰ノ往復」であるが、当時の作文雛形(用文章類)は「雅致ニ過テ日用ヲ欠ク」ばかりでなく、文題が「時候ノ窺ヒ、物見遊山ノ誘引、生死吉凶ノ報告」などに止まって「実地必用ノ題例」に乏しいことから、兵庫県商業講習所で教鞭をとる傍ら「商賈必用ノ文題」を集め書きしたものが五〇〇例以上となったのでそれを整理して三〇〇通を収録したものが本書であると記している。例えば下巻末尾の「預リ金ニ各種アルヲ答フ文」では、預かり金には「当座」「通知」「定期」の三種類があり、それぞれの特徴などを紹介するように、一定の基礎知識も学べるように工夫されている。本文をやや大字・七行・ほとんど付訓で記す。〔小泉〕
☆こうこくしんめい [増補項目-0030]
〈習字〉皇国神名∥【作者】佐瀬得所書。【年代】明治初年刊。[福島]磐前県板。【分類】歴史科。【概要】異称『神名』。大本二巻二冊。天地が開け高天原に最初に出現した造化三神(天之御中主神(あまのみなかぬしのかみ)・高皇産霊神(たかみむすびのかみ)・神皇産霊神(かみむすびのかみ))から人皇初代の神武天皇に至る神代の神々約一八〇柱の名称を大字・二行・無訓で綴った習字手本。上巻に「天之御中主神」から「天種子命(あまのたねこのみこと)」まで、下巻に「大綿津見神(おおわたつみのかみ)」から「神武天皇」までを記す。なお、磐前(いわさき)県は明治四~九年にほぼ現在の福島県域に置かれたため、本書の刊行年代はその時期である。〔小泉〕
☆せわはやがくもん [増補項目-0031]
世話早学文∥【作者】松下文吾作。三木保治校。木々堂序。畔柳氏跋。【年代】文政元年(一八一八)刊。[和歌山]優雅堂・松下軒板。また別に[大阪]河内屋八三郎ほか板、[和歌山]阪本屋源兵衛ほか板(文政二年板)あり。【分類】語彙科。【概要】異称『早学文』。中本一冊。基本的な日用語(熟語、同字異訓語、同訓異字語、同音異義語、類義語、類音語等)を、楷書・行書・草書の三体を示しつつそれらの語句を含む狂歌を付して暗誦の便を図った往来。『小野篁歌字尽』と類似するが、漢字表記を三体で示す点などが独特で、かつ、地方出版の往来物としても貴重である。半丁を四行に仕切って界線を設け、各行の冒頭に語彙を楷書・付訓で掲げ、さらに行書・草書を交えた狂歌を添えるのが基本構成で、「泰平・豊饒、泰平はいづくも泰平(やすくたいらか)に、豊に饒(あまり)豊饒なるなり」「静謐・安穏、静にて謐(しずまる)みよは静謐で、安穏(やすくおだやか)それは安穏」を始めとする三二六行(項目)を収録する。〔小泉〕
☆たかやままちづくし [増補項目-0032]
〈しんもんく・とふりおんど〉高山町づくし∥【作者】坂本久吉書。【年代】明治八年(一八七五)書。【分類】地理科。【概要】異称『町づくしおんど』。中本一冊。「なもたかやまのゆふすゞみ、であいがしらのこいかぜや、まづばんもつのいちのまち、ふたりこれからこのすじを、たがいにむねのありたけを、かたりきいたりきかせたり…」で始まる七五調・都々逸風の文章で高山の地名を綴った往来。男女の仲をテーマにしながら、高山周辺の町名を巧みに織り交ぜて綴った戯文で、末尾を「ふたりがなかのこざるをば、そだてあげたるなかまちや、もはやこよいもよなかすぎ、月もかたむく西まちへ、はやよあけにもほどちかし、八けんまちをとをりきて、おまへとわしがなかばしを、こい(え)てわがやへかへりける」と結ぶ。ほとんどが仮名書きの文章をやや小字・八行・付訓で記す。〔小泉〕
☆ばんこくめいすうき [増補項目-0033]
〈新刻〉万国名数記∥【作者】大屋愷作・序。東方履序。【年代】明治四年(一八七一)序。明治六年刊。[金沢]桜町屋善右衛門(臥龍書房)板。【分類】地理科。【概要】中本一冊。五大洲の主要六七カ国(亜西亜一七カ国、欧羅巴一九カ国、亜非里加一一カ国、亜墨利加一八カ国、阿世亜尼亜二カ国)の基本情報を列挙した教科書。各国の国家形態、位置(緯度・経度)、方里(面積)、気候、民口(人口)、教門(宗教)、都府(首都)、軍隊、貨幣単位、尺度、産物などについて列記し、適宜割注等の補足説明を補う。巻頭に地球に関する地学的・天文学的情報を掲げ、以下、各国の基本情報を羅列する。本文を楷書・小字・一二行・適宜付訓で記す。〔小泉〕
☆じつごきょうこうしゃく [増補項目-0034]
〈平仮名絵抄〉実語教講釈〈附童子教〉∥【作者】不明。【年代】文化一三年(一八一六)刊。[大阪]河内屋嘉助板。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。『実語教・童子教』†の絵入り注釈書の一つ。『実語教・童子教』の本文を大字・六行・付訓で記し、その上欄(頭書)に「山はたかきばかりにて木のなきは用なし。ひきくとも木のある山をたつとしとす」のような簡潔な注釈と挿絵を施す。元禄二年(一六八九)刊『実語教童子教絵抄』†と同体裁だが注釈内容が異なる。巻頭に二教の作者や由来、巻末に「かたかないろは」「書物朱引歌」を掲げる。〔小泉〕
☆じんたいもんどうずかい [増補項目-0035]
〈小学〉人体問答図解∥【作者】杉浦安五郎作。【年代】明治九年(一八七六)刊。[岡崎]伊藤文造(本屋文吉)板。【分類】理数科。【概要】中本一冊。明治八年刊『〈生徒必携〉小学人躰問答』†や明治九年刊『改正小学人体問答』†と同様に、身体各部の名称や機能などを適宜図解を交えながら一問一答形式(合計七八問)で綴った小学校用教科書。冒頭に「(問)人ハ地球上ニ於テ如何ナル物ヤ、(答)地球上哺乳虫ノ一種ナリ。其運動作用霊妙ニシテ直立歩行スルモノナリ」と人間が万物の霊長であることに触れ、以下、身体を上部・中部・下部、上肢・下肢に分け、本文中に掲げた図解と対比させながら順序立てて説明する。〔小泉〕
☆てがたしょうもんしゅう [増補項目-0036]
〈諸民通用・両点早引〉手形証文集∥【作者】不明。【年代】文政一二年(一八二九)刊。[江戸]鶴文堂板。【分類】消息科。【概要】中本二巻合一冊。現存本は下巻のみで、刷り表紙で表紙とも五丁の小冊子(頭書が「ゐ」から始まる)。表紙に難読な「地名」「苗字」「人名」(各一三語)、表紙見返しに「諸国御関所」「男女相生吉凶」を掲げ、本文欄を頭書を含み三段に分けて、上段(頭書)にイロハ順の日用語(各四語)、中・下段に「所々御関所切手差上申一札之事」~「りゑん状」の一二通を収録する。末尾の離縁状では例文一通のほかに「我等不叶存寄(われらぞんじよりにかなわず)」とか「我等非一存、双方得心之上(われらいちぞんにあらず、そうほうとくしんのうえ)」などの替え文章三例を付記する。本文をやや小字・一〇~一三行・所々付訓で記す。『〈諸人日用・両点早引〉書状要文章・〈諸民通用・両点早引〉手形証文集』†や『〈新板改正〉懐中手形証文集』†など体裁や付録記事がわずかに異なる類書が多い。〔小泉〕
☆おんなようぶん [増補項目-0037]
女用文∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。刊行者不明。【分類】女子用。【概要】標記書名は柱による。中本一冊。「正月の文」以下の五節句および歳暮祝儀状の往復一二通を収録した女用文章で、全編散らし書き。巻頭半丁と巻末半丁に「楊枝指仕様秘伝」(図解入り)を掲げる。〔小泉〕
☆ごふたつじるい [増補項目-0038]
〈当今〉御布達字類∥【作者】鶴田真容作。森本順三郎編。【年代】明治二一年(一八八八)刊。[東京]森本順三郎板。【分類】社会科。【概要】異称『当今御布達字類』。中本一冊。布達類に頻出する用語(二字熟語)を列挙した往来。「聖上、皇后、天長、誕辰、一統、継立…」以下、「…歓楽、泰平、無彊」までの七〇五語を、楷書・大字・六行・付訓(語彙の左右に音訓)で記す。巻頭には明治九年三月の東京府第四一号布達「御布達取扱地主撰挙」を掲げるため、このような御布達取扱地主の手控えや学習用に用いられたものであろう。〔小泉〕
☆きょうまちづくし [増補項目-0039]
京町尽し∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】中本一冊。町名を羅列した一般的な「町尽」とは異なり、「いにしへの奈良の都は絶にしを、けふ九重の春霞、大内山の花の時、建続たる檐(のき)と軒、洛陽のしろしめされんため、あら書付参らせとの御事…」え始まる修辞に富んだ文章で、京都の町名や小路名などを順々に紹介した後、「まづはあらめで度、可祝(かしく)」と結ぶ。なお、後半に収録する「名所国尽し」は、『女筆初瀬川』†と同内容の往来である。本文を大字・五行・無訓で記す。〔小泉〕
☆よわたりものがたり [増補項目-0040]
〈中金正衡著〉世わたり物語∥【作者】中金正衡(自笑庵)作。梅竹半処居士序。河鍋暁斎(惺々暁斎・猩々暁斎・狂斎・猩々庵・惺々庵)画。【年代】明治六年(一八七三)序・刊。[東京]三家村佐平(弘文堂)板。【分類】社会科・理数科。【概要】異称『〈絵入〉世渡りもの語』『〈中金正衡著〉よわたり物語』『世渡物語』。中本二編四巻四冊。ある少年の問いに作者が答えるという趣向で、窮理学や政治・経済・法律・養生周辺など家庭・社会生活上の知識を綴った啓蒙的教科書。まず上編では「租税は政府の世話代なり」として政治論を展開し、続いて、知識・学文(ワット小伝および蒸気機関の発明、専売特許、理学・化学、諸学問、学校教育、鉱物学等)について縷々述べる。また下編では生物・植物など万物の「造化」について触れ、法令・司法、民権、身分証書(戸籍)、婚姻・相続、親権・遺言・親族、財産・不動産、貸借、養生・衣食住などについて平易に説く。本文をやや小字・八行・付訓で記し、随所に挿絵を盛り込む。〔小泉〕
☆きよすけざゆうのめい [増補項目-0041]
清典座右之銘∥【作者】清輔(有信堂・叔煕)作。【年代】寛政一三年(一八〇〇)作・刊。[下野国か]著者蔵板。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。漢字五字一句と基本とする「実語教」形式の往来。わずか四丁の小冊子で版下の粗い田舎板。末尾を「願随我児輩、必可慎随馴」と結ぶように、手習師匠と思われる作者が自ら座右の銘とする所を子弟に書き与え、これを自費出版したものと思われる。「父母如日月、慎孝養両親、敬兄而愛弟、睦郷里近隣、斉家重世法、寝子起乎寅、子孫皆和同、自己家業純…」で始まる五言一句形式、合計七二句からなる文章で、農村の家庭生活や地域社会での生活上の心得となる金言・俚諺を列記する。本文を楷書・大字・五行・無訓で綴る。末尾に「飛駒山、有信堂、清典誌(印)」と記す。なお小泉本には「下野国安蘇郡野上長谷場村、山口春良主」と記すため、その周辺での刊行か。〔小泉〕
☆こどもきょうくんいろはわさん [増補項目-0042]
子供教訓〈いろは和讃〉∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。刊行者不明。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。「いのじとや、一生だいじのりんじうの、よふゐをせざるはふかくなり、南無阿弥陀仏あみだ仏」「ろのじとや、六方諸ぶつをすゝめます、うへなきくどくの念仏ぞ、南無阿弥陀仏あみだ仏」のように、各和讃の第一音がイロハ順になるように配列した浄土宗系の童蒙教訓書。勧善懲悪、善根功徳を始め、公儀遵守、知足、分限、質素倹約等の世俗的道徳も説く。いずれも数え歌風の和讃で、半丁(一頁)を四分割して四首ずつ、合計四八首収録する。本文共紙に刷り表紙の簡易な製本(仮綴じ本)である。〔小泉〕
☆いろいろひとなむらとう [増補項目-0043]
色々人名村等∥【作者】亦右衛門・又拾郎書。【年代】元禄九年(一六九六)~正徳三年(一七一三)頃書。【分類】合本科。【概要】大本一冊。前から順に正徳三年書「楠正成金剛山居間之壁書」と元禄九年書「万覚書(万記集)」を合本した往来物。表紙に「延享二年」と記すが、これは数冊を合本した時点を示すものと思われる。また裏表紙には「宝永二年」の記載がある。巻頭の「楠正成金剛山居間之壁書」は年代の分かるものでは現存最古(刊本最古は宝暦七年(一七五七)刊『万宝古状揃大全』頭書)のもので、「一、唯今日無事ならん事を思へば、万物一体の理を守ざる故に万病を生ず」以下二一カ条を大字・五行・無訓で記す。また、後者には「亀山領内諸村之覚」「万名字之覚」「高砂」を大字・五~七行・無訓で記す。〔小泉〕
☆こうこうばなし [増補項目-0044]
孝行ばなし∥【作者】伊藤弥助書。【年代】江戸後期書。【分類】教訓科。【概要】大本一冊。『近道子宝』†末尾の「禁制の事」を抄録・改編した往来。本文わずか四丁の小冊子。「幼少之時より骨牌といふもの手にも取べからず。家のうちへ入るゝ時は、貧乏神の張札と成て其家終に滅亡なり。穴一のあなはわれを落し入るおとし穴のおち初としるべし…」と書き始めて、子供にふさわしくない遊びや賭け事などを戒め、本書独自の末尾は「此戒を心に掛てたしなみ、手習・学文をして行儀正しき童は、生長の後、主人に忠を尽し、親に孝行をなさば、天の恵みを受て永く子孫繁昌に栄る也。目出度畢」と結ぶ。本文を大字・四行・無訓で記す。また巻末に「乗る人も駕かく人も仲間うち、こゝろがらにてのる人になる」の教訓歌一首を掲げる。〔小泉〕
☆ふじのふ [増補項目-0045]
冨士之賦∥【作者】不明。【年代】天保九年(一八三八)書。【分類】地理科。【概要】特大本一冊。若狭国遠敷郡仮屋(苅屋)村で使用された書道手本。富士山にまつわる歴史や地理について記した往来。「不二は日本の蓬莱山なり。むかし孝霊五年、山始めて現ず。徐福もこの山に登りて、仙薬を求め、かぐや姫も神と化して爰に霊を止む…」と富士山出現の由来や富士山の形状や登山道、また、富士山に関するいくつかの故事来歴、さらに富士山が天下無双の山であり、「不二をみずして一生を終る事も残り多きことなるべし」と結ぶ。本文を大字・三行・無訓で記す。〔小泉〕
☆しょがくくん [増補項目-0046]
初学訓∥【作者】不明。【年代】安政二年(一八五五)書。【分類】社会科。【概要】大本一冊。主要な名数を紹介した往来。「天地人は三才也。陰陽は両儀也。君臣・父子・夫婦・兄弟・朋友は五倫也…」と書き始めて、以下、五常、四方、四時(四季)、十干十二支、数(十~万)、五行、五色、五味、四民、三教、三聖人、四姓、六芸、和歌二聖、三徳、本朝三筆、本朝三蹟、五戒、五節供、日本三景、日本三関、三国、五穀、三艸、四木、歳寒の三友までを列記する。本文を大字・三行・無訓で記す。また、後半に「初登山手習教訓書」「楠送状」「寺子教訓書」を合綴する。〔小泉〕
☆いけがみもうで [増補項目-0047]
池上詣(仮称)∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】折本一帖。武蔵国荏原郡池上村(現東京都大田区)の日蓮宗大本山本門寺と参詣路周辺の様子を略述した往来。「此程風与(ふと)おもひ立、池上へ参詣いたし候。まだ夜をこめてやどを出、あけわたる横雲に入たる月の心細く気疎に、秋の野を分行つゝ四時に参着、森々たる山寺に宵は不断の香をたき、月は常住のともし火をかゝぐとも云べし…」と書き始めて、「御影堂に法華読誦の声…」などと本門寺の風趣を始め、碑文谷、品川、鈴が森の風景などを八景になぞらえて紹介し、最後に「東海寺の晩鐘を名残に帰りまいらせ候。かしく」と結ぶ。〔小泉〕
☆みょうじおうらい [増補項目-0048]
苗氏往来∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】語彙科。【概要】折本一帖。「疇昔者玉章拝見仕候。左候得者、諸家の御苗氏之事認進候様任命、思ひつゝけし有増つたなき筆の十がへりにたとへ、色そへし常盤木に永きいく千代松平、月日保科の影添て、伊達を嶋津や細川の、三つを前田に関入て、織田や黒田の乙女子の、浅野井伊たく鍋島や…」のように、全文一通の手紙文、かつ、七五調の文章の中に、主要名家の苗字を織り込みながら綴った往来。末尾を「…浪なき諏訪の水海も、群も相馬の松風に、猶君が代の万歳と、荒増綴り御覧に入候」と結ぶ。〔小泉〕
☆ねんちゅうしょじょうしなん [増補項目-0049]
〈御家〉年中書状指南∥【作者】不明。【年代】天保一一年(一八四〇)以前刊。[江戸]大坂屋茂吉ほか板。【分類】消息科。【概要】異称『書状指南』。中本一冊。消息および証文類文例に「古状揃」等の付録記事を掲げた用文章。消息文例は「年頭状」から「道具を借ニ遣文」までの三一通を大字・五行・付訓で記す。証文類文例は「借用申金子之事」から「養子一札之事」までの四通を小字・九行・付訓で記す。目録上欄頭書に「封文書様の次第」、本文上欄頭書に「古状揃(九状)」「四季時候の言葉」を載せる。なお、小泉本に「天保十一子年」の書き入れがあるので、その頃の刊行か。〔小泉〕
☆ろうくんしんしょう [増補項目-0050]
籠訓神鐘∥【作者】三原(鍛治屋)利之吉ほか書。【年代】文政一〇~一一年(一八二七~二八)書。【分類】女子用。【概要】大本一冊。「女躾方の事」「百人一首謂」「諸国八景」「三十六歌仙」「七夕詩歌」「藤戸寺略縁記(藤戸浦名所記)」「童子学文」「小謡四季目録」「天神記」「四季往来」を合綴した往来。「藤戸寺略縁記」のみ刊本で、他は全て筆写本。冒頭に「紫式部小伝」を掲げ、続く「女躾方の事」は「夫、女は夫の家を我家とする故に嫁入するを嫁するとも、帰る共言也…」で始まる女子教訓。「諸国八景」は紀州和歌浦を初めとする名勝八カ所の和歌に挿絵を添えたもので、同様の趣向で狂歌を集めた「諸(国)八景狂歌」も載せる。そのほか「色紙短冊寸法并書様」。「女ことばづかい」「六歌仙」「三十六歌仙」「三十六女歌仙」「七夕新歌づくし」や刊本の「藤戸寺略縁記」を収録した後、文政一一年書の「天神記」や「四季往来」などを掲げる。前者の「天神記」は「抑天満宮と申奉るは菅原の是芳卿之南庭の梅の木影に五、六才斗の童子一人忽然と…」で始まる菅原道真小伝で、後者の「四季往来」は「倩あだ成世間光陰の移り易きを観ずるに、春立けふの霞の中より鴬の谷を出て軒端の梅に来て囀る声、人の心も長閑に今いく日有て咲めやと待つかほなりし花も盛を催し、程もあらぬに限りあれば散行花も芥となり…」のように移りゆく四季折々の風景を綴った往来で、いずれも大字・四行・無訓で記す。〔小泉〕
☆かいかしょうばいおうらいずかい [増補項目-0051]
開化商売往来図解∥【作者】宮本興晃作。【年代】明治一二年(一八七九)刊。[東京]木村文三郎(文江堂)版。【分類】産業科。【概要】異称『〈開化〉商売往来図解』。小本一冊。『商売往来絵字引』†の増訂版。「凡、商売通用之文字、当座、注文、仕切、仕込、出納、算用等の諸帳簿、其外、証文、判取帳、先、流通之貨幣ニ者、金貨、銀貨、銅貨幣、紙幣、洋銀、公債…」で始まる文章で、通貨・穀類・青物・山菜・海草・金石・船舶・運送・食品・醸造品・絹布・衣類・染色・染模様・器財・小道具・武具・馬具・薬種・鳥類・魚介類・虫類・獣類・家屋・樹木・草花等の語彙を列挙し、商家児童の心得を述べて結ぶ。本文を大字・五行・付訓で記し、『絵字引』同様に図解(銅版色刷り)と割注を挿む。また、巻頭に「士農工商図」(色刷り)を掲げる。なお、本書の改題本に田中菊雄編、明治一八年刊『〈新選絵入〉商売往来』†がある。〔小泉〕
☆おんなにちようぶんしゅう [増補項目-0052]
女日用文集∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。刊行者不明。【分類】女子用。【概要】中本一冊。「年始之文・同返事」「遠国へ遣す年始の文・同返事」「新年祝儀状(散らし書き)」「弥生節供祝儀状(散らし書き)」「花見催しの文・同返事」「三月節句のふみ・同返事」「五月節句の文・同返事」「暑気見廻の文・同返事」「遠国へ遣す暑気見廻・同返事」「七夕の文・同返事」「八朔の文」「月見の文」「九月節句のふみ」「歳暮のふみ」の合計二二通を収録した女用文章。大半が四行・付訓の並べ書きで綴る。柱には「用文」と記すが、丁付けが四五~七五丁となっているため、先行刊本からの抄録か。〔小泉〕
☆よろずしょうもんてがたべんらん [増補項目-0053]
万証文手形便覧∥【作者】不明。【年代】安政(一八五四~五九)頃刊。[大阪]河内屋平七(三木平七・文繍堂)板。【分類】消息科。【概要】半紙本一冊。「金子借用証文」から「跡式譲り状」までの証文類文例二二通を収録した手形証文文例集。本文を大字・五行・所々付訓で記す。頭書には「証文認之心得」「屋号尽」「苗字尽」「消息往来」「仏法宗名」を掲げ。巻末に「十干・十二支」「月異名」を載せる。なお、本書は嘉永(一八四八~五四)頃刊行の『商人書状鑑』†の後半部に合綴されたものもある。〔小泉〕
☆たいぜんしょじょうあんもん [増補項目-0054]
〈日用〉大全書状案文∥【作者】不明。【年代】嘉永元年(一八四八)刊(補刻)。[大阪]秋田屋太右衛門ほか板。【分類】消息科。【概要】横本一冊。「貴人え上る年始状」から「(旅より留守)妻女え之状」までの一四七通の消息文例などを収録した大部な用文章。巻末に「追加」(寛政八年以降の増補であろう)として、「店請状」から「売上書付」までの二四通の例文を集めた「証文手形之類書方」を付す。消息例文は概ね、五節句・四季時候の文、商用文、吉凶事に伴う手紙、その他雑用文の順に配列し、各例文を本文を大字・七行・所々付訓で記し、ごく稀に語注や書簡作法上の心得に触れる。なお、本書の刊記に「天明八年(一七八八)開彫、寛政八年(一七九六)増補、天保四年(一八三三)改撰、嘉永元年補刻」と記すため、先行諸書の存在が想定されるが、天明八年刊『〈万民平生〉書状案文』†とは体裁や内容が似通うものの異同も甚だしく、本書の先行書とは見なしがたい。よって、初板本については未詳である。〔小泉〕
☆みょうじづくし [増補項目-0055]
〈小学習字〉苗字尽∥【作者】伊藤桂洲(信平)書。【年代】明治一二年(一八七九)刊。[川越]菅間定治郎(明文堂)板。【分類】語彙科。【概要】半紙本一冊。「薮、園、堤、谷、沢、宗、楠、林、森…」と一字姓から起筆して「…饗庭、千秋、山県、和田」に至る約三六〇の苗字を大字・二行(一行三~四字)・無訓で記した習字手本。〔小泉〕
☆こくたいいちらん [増補項目-0056]
国体一覧∥【作者】佐田白茅作。長三洲書。【年代】明治二四年(一八九一)刊記、同二五年書・刊。[東京]佐田白茅蔵板、吉川半七売出。【分類】歴史科。【概要】半紙本一冊。「我カ大日本国ハ鴻荒以来神聖ナル帝国ニシテ、今ニ至ルマテ種族繁衍シ、君民悉ク万世一系ヲ伝ヘタル地球上無比ノ国体ナリ…」と起筆して、「君臣一系万世不易ノ国体」について縷々述べた習字手本兼用の教科書。冒頭で、世間では「皇統ノ万世一系タルノ美事」ばかりを知って「臣民悉ク皆ナ万世一系タルコト」を知らない者がいると指摘し、続けて、その理由として「我カ帝国種族ノ始祖」から始まる歴史や、「竜蛇蜿蜒ノ形」をなす国土について紹介し、臣民たる者は国体の起源を知って置かねばならないと説いて結ぶ。本文を楷書・大字・四行・無訓で記し、巻末に本文の要語解である「国体一覧摘句略解」を付す。〔小泉〕
☆えいらくようぶんしょう [増補項目-0057]
〈御家〉永楽用文章∥【作者】林博授(玄教堂・眉寿)書。【年代】天保(一八三〇~四三)頃刊。[名古屋]永楽屋東四郎(東壁堂)板。【分類】消息科。【概要】半紙本一冊。「貴人え上る年頭状」から「直段申遣す手紙・同返事」までの三九通を収録した用文章。概ね、四季時候の手紙(五節句祝儀状・寒暑見舞状など)、通過儀礼に伴う手紙、商用の手紙の順に配列し、年頭状・暑気見舞状・寒気見舞状では相手の身分別の例文を数例を紹介する。本文を大字・四行・付訓で記す。〔小泉〕
☆へいいんようごじょう [増補項目-0058]
兵員要語帖∥【作者】林陸夫編・序。恒川敬一郎書。【年代】明治一六年(一八八三)序。明治一七年刊。[金沢]偕行社(松井)板。【分類】産業科。【概要】大本一冊。序文に「此帖ハ兵事内外ノ勤務ニ用ユル緊要ノ名称語辞等ヲ類聚シタルモノニシテ、専ラ兵卒力・習字ノ具ニ供センガ為ナリ」と記すように、習字学習とともに兵役に必要な基本語彙の習得を目的に編まれた習字手本。『内務省操典読法』『野外演習軌典』を始め、諸条例・諸規則等から関連の用語を抜粋して兵卒入門の一助とする。「天皇、皇后、皇太子、皇族、親王、太政大臣、左右大臣、参議、陸軍卿、海軍卿…」から「…勝算、欠漏、欠乏、落成、新鮮、基礎、占拠、目的、素志、準備、護衛、発遣、発途、会合、遭遇、大概、結尾」までの二一五九字を楷書・大字・四行・無訓で記す。〔小泉〕
☆じゅふくようぶんしょうほう(かん) [増補項目-0059]★原題が判明したため、3573を欠番にし、新たに立項
〈頭書絵鈔〉寿福用文章宝(鑑カ)∥【作者】亀井涌水書。【年代】江戸中期刊。[江戸]村田治郎兵衛(栄邑堂)板。【分類】消息科。【概要】異称『用文章』。大本一冊。四季消息文や証文手形類を集めた用文章。前半一七通は各月一、二通の四季文章で、続いて「元服祝儀状」以下各種祝儀状や「船荷送状」、また末尾には「借金状」から「関所手形」までを収録する。合計三二通で、うち証文類は六通である。本文を大字・五行・付訓で記す。見返に「七福神略伝記」、前付に「文字・筆・硯・紙の始まり」「五節句異名」「昼夜猫の目にてときを知る詩」、頭書に「士農工商」「亭主方心得の事」「客人心得の事」「生花図解」「祝言当用折方図」「古今銭絵図」等の記事を載せる。〔小泉〕
☆へみむらづくしたんか/へんみむらづくしたんか [増補項目-0060]
逸見邑尽短歌∥【作者】今井喜七書。【年代】文久二年(一八六二)書。【分類】地理科。【概要】大本一冊。甲斐国北巨摩郡逸見(速見)郷(山梨県北西部)周辺の地理を記した往来。「幼なき身の心侭、春野に出て当所なき、爰は幾里の塚川や、空も纔に水色も、実黒沢や蔵原や、導給ゑ観世音、小池の水に身を浄、願数々竜の口…」で始まる七五調の文章で、長沢、然場(念場原)、浅川、樫山、若神子、豆生田(まめふた)、神取、浅尾、金岑山(金峰山)、上手、小笠原、塩川、下条、七里岩、河原部、韮崎、駒井、新府城、穴山、日野原、小淵沢、谷戸、西井出、東井出、大八田等の地名や風景・名所旧跡などを紹介し、「恩をしれ人は知らぬが稲の花、米ぞ御法(みのり)の司なるらむ」などの教訓歌二首を掲げて結ぶ。本文を大字・三行・無訓で記す。〔小泉〕
☆としもとじょう・まさつらじょう [増補項目-0061]
俊基状・正行状(仮称)∥【作者】波羅多安支与志書。【年代】慶応元年(一八六五)書。【分類】歴史科。【概要】異称『俊基朝臣再び関東下向の事・楠正行芳野へ参る事』。大本一冊。前半の「俊基朝臣再び関東下向の事」は、後醍醐天皇の側近として討幕運動に尽力した南朝の忠臣・日野俊基の故事を綴った往来で、「落花の雪にふみまよふ、片野の春の桜がり、もみぢのにしきを衣て帰る、嵐の山の秋の暮、一夜を明すほどだにも、旅寝となればものうきに、恩愛の契浅からぬ、我ふる里の妻子をば、行衛もしらずおもひ置…」で始まる七五調の文章で鎌倉下向の様子を綴る。京都から鎌倉に至る地名や名所なども頻出し、一種の地理科往来の様相を伴い、途中、菊川で「いにしへもかゝるためしを菊川の、おなじながれに身をやしづめむ」と詠んだ故事なども盛り込む。一方、後半の「楠正行芳野へ参る事」は、「楠帯刀正行、舎弟正時一族うちつれて十二月二十七日、芳野の皇居に参じ、四条中納言隆資を以て申しけるは…」とで始まる記事文体で、四条畷の合戦を前に大和・吉野に後村上天皇を訪ねた楠木正行が同地の如意輪堂に参詣し、「かへらじとかねておもへばあづさ弓、なき数にいる名をぞとゝむる」の一首を遺した故事などを紹介する。いずれも本文を大字・四行・無訓で記す。〔小泉〕
☆きゅうりいんご/きゅうりなぞ [増補項目-0062]
窮理隠語(初編)∥【作者】清原道彦(?渓漁夫)作・序。猩々暁斎画。高田義甫(さざのや・よしなみ)跋。【年代】明治五年(一八七二)序・跋・刊。[東京]椀屋喜兵衛(江島喜兵衛・万笈閣)板。【分類】理数科。【概要】異称『〈訓蒙〉窮理隠語』『〈児女必解〉窮理隠語』『きうりなぞ』。中本二巻二冊。緒言に「日用物理の浅易なるものに就て問て題を出し、答へて題を破り、小図を加えて上下の二巻にわかつ」とあるように、上巻の各頁に挿絵を伴う問題を掲げ、その解説を下巻に示した窮理学入門書。第一章「雷電の事」から第五三章「日の光の事」までの五三題を掲げ、例えば、第二三章「温泉の事」では上巻に「温泉と云ものはなになるぞ」という問いを掲げ、下巻に「前条既に説ごとく地の心は火にてあつきものなるを、水自然とこゞりて湧出る、これ温泉なり」のように回答する。緒言では上巻の問題を出し合ってその理を考え、正解でない時には下巻を見て確認すべしと述べるように、子ども同士の学習に活用することも勧めている。本文を小字・九行・付訓で記す。二編以降は未刊であろう。〔小泉〕
☆おんなおしえぐさ [増補項目-0063]
女をしへ草∥【作者】長倉てる編・補・序。中津衣江作・序。【年代】明治二六年(一八九三)序・刊。[甲府]長倉てる版。【分類】女子用。【概要】異称『女教草』『礼式の事』。横本二巻二冊。例えば、「出入」に「我勝にいで入するは無礼なり あいさつをしてひとりに」、また「家に上り吾はき物を直さずば ひとに手数をかけるとぞしれ」のように、主として教訓歌の形式で女性礼法のあらましを綴った玉声女学校用教科書(活版和装本)。上巻に「出入」「貴人拝立居振舞」「貴人拝」「神前へ拝」「心得の事」「襖障子開閉」「行逢の礼」「人前を通る」「人の後を通る」「莨盆持出様」など約一一〇項目の作法について記し、巻末に三方や台飾りなどを図解する。また下巻は巻頭の編者序言で本書刊行の経緯や女子心得全般を述べ、中津衣江作「くさのうた」、長倉てる作「思ひつゞくる歌」を掲げた後に、「結納を送る事」「媒酌人心得の事」「結納心得の事」「嫁の進物の事」などの記事や結納目録・裁縫関連の図解を施す。序文によれば、玉声女学校(玉声舎)は裁縫・礼法を教える女学校として神道禊教本院内に設置され、全国に分校が置かれたが、作者は同女学校校長であり、上巻巻頭題字は禊教初代管長・坂田安治によるものである。本書編集半ばで中津衣江が逝去したため、妹の長倉てるが遺志を引き継ぎ出版に至った。〔小泉〕
☆てならいきょうくんいろはうた [増補項目-0064]
手習教訓いろは歌∥【作者】田部井吉子書。【年代】明治初年書。【分類】教訓科。【概要】大本一冊。「古昔今も変らぬは、禄る人も賤きも、恥べきものは無筆なり、日記其外書付て、反古になるこそ転けれ、別して取遣文通の、届ぬ事のおほければ、力なく今更に、理非も知らぬと笑れて、頗憂ふほかはなし…」で始まる七五調の文章で手習いの重要性を説いた往来。無筆の恥や手習いの徳や価値について述べ、日々見ること聞くことを書き留めて子孫に伝えるべきことなどを説いて結ぶ。本文を大字・三行・無訓で記す。また、後半に「東京方角」を付す。〔小泉〕
☆みやこぐるま [増補項目-0065]
都車∥【作者】不明。【年代】安永一〇年(一七八一)書。【分類】地理科。【概要】異称『京みやげ』。大本一冊。「抑今之都の初は一千余年以前、奈良都を移させ給也。地祭は伝教大師一条より九条迄、地の下に九万部之法花経を敷開給ふ霊地也…」で始まる文章で長年の夢だった京見物・寺社参詣を果たすという設定で書き始め、まず平安京内裏の構えや規模について記し、続いて、六角堂、誓願寺、永福寺、仏光寺、平等寺、本国寺、西本願寺、興正寺、東本願寺、万寿寺、東福寺、泉湧寺、新熊野、三十三間堂等々の神社仏閣をそれぞれの本尊・宗旨・由来・故事・霊験・規模等に触れながら順々に紹介した往来。末尾を「…頓故郷え立戻り、心安永丑之年、洛中洛外拝礼の礼仏霊社、名所旧跡有増を筆子の土産に書記。必可恐他見。穴賢、穴賢」と結ぶ。本文を大字・六行・無訓で記す。〔小泉〕
☆しょうそくおうらい [増補項目-0066]
〈簡易科・手習の文〉消息往来∥【作者】東京府学務課編。巻菱潭(大僖)書。【年代】明治一三年(一八八〇)作。明治一四年刊。[東京]江島金太郎蔵板。浜島精三郎売出。【分類】消息科。【概要】半紙本一冊。近世流布本『累語文章往来(消息往来)』†の明治期改編版の一つ。「凡消息者通音信、近所、遠国不限何事、人間万用達之元也。先、書状、手紙取扱文字、一筆、一翰、寸楮、啓上仕、致啓立達、拝呈、捧呈、以手紙申上、以郵便申進、尊書、尊翰、貴書、貴札、御状、芳墨、御紙面、御手紙拝見、拝誦、披見、披閲、一覧…」で始まる文章で、近世流布本と同様の文章で消息に多用する語句を、ほぼ消息文中の順序に従って列挙する。消息文の冒頭語を始め、時候の言葉、相手の安否を問う言葉、月日を示す言葉、公務、主要都市、社交、建築、通過儀礼、法令・訴訟・契約、経済・納税、運輸・交通、社会生活、学問・教育、家内・朋友、病気・養生、家族・一族等にまつわる語彙を書き連ね、末尾を「…尊酬、貴答、御報、報復、拝報、返答、返書、其品々多故、先大概荒増書記畢」と結ぶ。本文を行書・大字・三行・無訓で記し、巻末に楷書・小字・一〇行・付訓の本文を再録する。なお、本書巻末広告によれば、東京学務課編纂、菱潭筆の習字本は本書のほかに、『〈簡易科・手習の文〉習字いろは』『〈簡易科・手習の文〉商売往来』†『〈簡易科・手習の文〉国尽』『〈簡易科・手習の文〉名頭』†『〈簡易科・手習の文〉改正苗字尽』『〈頭書類語〉小学女用文』†『〈女童小学〉おふみのぶん』『小倉百人一首』等があるが、これらの多くが『〈傍訓〉簡易科手習の文原本』†に収録されていたものである。〔小泉〕
☆みやこおうらい [増補項目-0067]
〈増補絵入〉都往来∥【作者】暁晴翁編。松川半山画。【年代】明治初年刊。[大阪]中野啓蔵(桑林堂)板。【分類】地理科。【概要】異称『江戸往来』。半紙本一冊。『江戸往来』を『都往来』と呼ぶのは異例だが、『江戸往来』†の本文に、挿絵・記事など頭書を付けただけのもの。『江戸往来』の本文を大字・六行・付訓で記し、前付に「霞ヶ関」「産物之図」および江戸の由来、また、頭書に「両国橋」の図を始め、「初登山手習教訓書」「寺子屋起源」「和俗制作字尽」「以呂波仮名始原」「片仮名出生大概」を掲げる。〔小泉〕
☆こきんじょ [増補項目-0068]
〈長雄〉古今序∥【作者】船田耕山(雅通)書。佐藤対雲跋。【年代】宝暦五年(一七五五)書。安永二年(一七七三)跋・刊。[大阪]木村嘉助ほか板。【分類】社会科。【概要】大本一冊。紀貫之の『古今和歌集・仮名序』を大字・四行・無訓で綴った長雄流の書道手本。〔小泉〕
☆ちょうじゃのどるばこ/ちょうじゃのだらばこ [増補項目-0069]
長者之弗箱∥【作者】高田重吉編。山田野亭序。【年代】明治二五年(一八九二)刊。[大阪]高田治兵衛(文賞堂)板。【分類】教訓科。【概要】中本三巻三冊。上・中巻に天保一三~一四年(一八四二~四三)刊『〈御免〉倹約末乃栄』†の初編および二編を、また、下巻に天保一三年刊『〈御免・質素倹約〉現銀大安売』†を収録した改題本。上巻見返に「石田勘平(梅岩)」作と記し、奥付に高田重吉の著作と記すが、全て山田野亭(大和屋圭蔵)の原作。三冊をまとめた上で、外題・内題等を改め、さらに序文等の年号を削除したり、作者名を改竄して辻褄合わせを行っているが、内容は江戸期もものと全く同じである。〔小泉〕
☆わこくようぶんしょう [増補項目-0070]
倭国用文章∥【作者】不明。【年代】享和四年(一八〇四)年刊。[江戸]中川新七ほか板。また別に[江戸]若林清兵衛板(後印)あり。【分類】消息科。【概要】異称『和国用文章』。半紙本一冊。前半に春・夏・秋・冬の四部に「年頭之状」から「歳暮之状」までの季節の手紙一五通、後半に「証文之類」(「店請証文之事」から「御関所通行手形之事」までの九通)を収録した用文章。本文を大字・四行(証文類は五行)・所々付訓で記す。前半部頭書に「田数之名の事」「九九」「八算見一」など和算関連の記事を多く載せ、ほかに「大日本国尽」「五性名頭文字」を掲げる。なお、本書後半部の「証文之類」を削除した改題本が『〈新撰算術〉用文章大全』†である。〔小泉〕
☆てがみぶんしゅう [増補項目-0071]
手紙文集∥【作者】篠原門次(雲竜軒・正永)書。【年代】安永七年(一七七八)刊。[大阪]小刀屋六兵衛板。【分類】消息科。【概要】異称『手紙指南』。半紙本一冊。明和~安永頃に活躍した大阪の書家・篠原門次の書道手本の一つ。新年祝儀状から移徒祝儀状(引出物贈答状)までの例文三〇通を大字・四行・所々付訓で記す。巻末には、近江八景を紹介した短文「八景文章」を付す。なお、巻末広告および『大阪出版書籍目録』によれば、雲竜軒の書道手本として本書のほかに、明和五年刊『御家歴代芳翰』、同六年刊『尊円親王鷹手本』『俗家日用文章』『雲竜軒消息』、同七年刊『尊円親王秦甸帖』、安永二年刊『嘉祥文章』、同八年刊『御家流慶賀帖』等があり、いずれも小刀屋六兵衛による板行である。〔小泉〕
☆せつようしゅう・りょうてんじづくしいり [増補項目-0072]
節用集〈両点〉字尽入∥【作者】不明。【年代】元禄(一六八八~一七〇三)頃刊。[江戸]村田屋板。【分類】語彙科。【概要】中本一冊。『節用集』から庶民通行の基本語を抽出した往来。「稲光・稲荷・異国・陰陽・一周忌・市場・晩鐘(いりあい)・生見玉・従弟・妹・医師・音信…」以下、イロハ引きにした各語彙を大字・五行・付訓(語彙の左右に音訓を施した両点形式)で記すが、割注等は一切ない。うち、末尾「京」の部を「師九陌・横竪小路・一条・正親町・土御門…」で始まる「京町尽」にしてある。さらに巻末に「南膽部州大日本正統図(大日本国尽)」「篇尽并冠之事」「片仮名イロハ」「十干十二支」「万字づくし」を収録する。なお、本書末尾の「日本国尽」以降を省いて前付を増補したものが明和七年(一七七〇)刊『童子節用集』†や江戸後期刊『〈両点〉節用集』†である。〔小泉〕
☆ふつうぶんしょうたいぜん [増補項目-0073]
〈作文必携〉普通文章大全∥【作者】降屋顕編。村田徽典書。【年代】明治一一年(一八七八)刊。[大阪]大野木市兵衛板。【分類】消息科。【概要】中本二巻二冊。頭書に数多くの類語・類句(漢語消息表現)を掲げて、多用な例文を示した用文章。上巻に「新年之文」から「除夜遣人之文・同返翰」までの、主として四季折々の手紙文四六通、下巻に「入学之文」から「弔亡之文・同返書」までの、主として通過儀礼や社交に関する手紙文四四通の合計九〇通を収録する。本文を大字・五行・所々付訓(両点)で記し、頭書に小字の類語等を示す。なお上巻冒頭頭書に「十二箇月異称」「二十四気節」「人倫」等の記事を載せる。〔小泉〕
☆しょうそくおうらい [増補項目-0074]
〈開化〉消息往来∥【作者】不明。【年代】明治二〇年(一八八七)以前刊。刊行者不明。【分類】消息科。【概要】中本一冊。『累語文章往来(消息往来)』†の明治期改編版の一つ。「凡消息者、通音信贈答安否、近所遠国不限何事、人間達万用之基也。先書状取扱文字、一筆・一翰・一書、啓上・啓達・令啓、以手紙申上・申入、尊書・尊簡・貴書・貴札・御状・芳墨・芳箋・御紙面・御剪紙、拝見・拝受・披見・披閲…」と起筆して、消息に用いる基本表現や語句を列挙し、末尾では人倫に関する類語を羅列した後で「…其外、親類縁者睦布、朋友親愛可尽也」と結ぶ。本文を大字・三行・付訓で記す。なお小泉本に「明治二十年旧正月…」の書き入れがあるので、それ以前の刊行である。〔小泉〕
☆きゅうりものがたり [増補項目-0075]
〈絵本〉究理物語(初編)∥【作者】東江編。曜斎画。【年代】明治五年(一八七二)刊。[東京]東江楼蔵板。大黒屋平吉ほか売出。【分類】科。【概要】異称『画本究理物語』。中本一冊。東京下谷の「英学教授所」を舞台に、町人・伊太利屋魯右衛門の子息・仏郎が天文学・地理学・窮理学等の教授を受けるために英蘭先生に入門する所から始まり、仏郎が様々な疑問を投げかけ、先生(あるいは若先生)がそれに答える物語を展開しながら窮理学の基本事項を解説した絵入りの教科書。巻末では二編・三編と続く予告をするが未詳。初編は上下に分かれ、上巻に「発端」「雷鳴の事」、下巻に「電信機の事」「風船の事」「飃(つむじ)風及竜巻の事」を載せる。本文を小字・八行・付訓で記す。〔小泉〕
☆しちたいながしらじ [増補項目-0076]
〈頭書漢語〉七体名頭字∥【作者】鶴田真容編。【年代】明治一一年(一八七八)刊。[東京]小森宗次郎(紅木堂)板。【分類】語彙科。【概要】異称『〈改正〉七体名頭字』『〈七体〉名頭字』。中本一冊。『五体名頭字』†に、各漢字の第一音の平仮名・片仮名を見出し風に添えて「七体」とした往来。例えば、「源」の場合、冒頭に「け」「ケ」を掲げ、続けて漢字五体(行草書・楷書・隷書・篆書・角字)の合計七字で一行とする。「源・平・藤・橘…」から「…大・富・孫・浅」までの七八字を載せる。また表紙見返しに「三体いろは」、頭書に漢語集である「漢語いろは字引」を収録する。〔小泉〕
☆せんじもんべんかい [増補項目-0077]
〈新刻階書〉千字文辨解〈附野馬台詩〉∥【作者】岡本懐徳編。【年代】明治一二年(一八七九)刊。[東京]小村直三郎(東洋堂)板。【分類】語彙科。【概要】中本一冊。『千字文』の平易な注釈書。『千字文』を四字一句毎に楷書、訓点付きで掲げてごく簡単な割注を施す。後半に「野馬台詩」の由来や全文、また前半同様の略注を載せる。本文を楷書・大字・七行・付訓で記す。〔小泉〕
☆いっぴつようぶんしょう [増補項目-0078]
〈文言取遣〉一筆用文章∥【作者】十返舎一九作。【年代】安政七年(一八六〇)以前刊。[江戸]山口屋藤兵衛板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。目録や丁付けの不統一などから複数の用文章を合本したことが間違いないもので、次の三部に分けられる。①柱に一~六九丁の丁付けのある用文章前半部(「年頭之状」~「宅替見廻の文・同返事」の六七通)、②のどに一〇一~一四九丁の丁付けのある用文章後半部(「病気見舞の文」~「注文申遣す文・同返事」の三四通)、③のどに一~二七丁の丁付けを施した「証文手形案文」(「店請状」~「りえん状」の二四通)。合計一二五通(消息例文一〇一通、証文手形例文二四通)を収録。消息文は大字・五行・付訓、証文手形は大字・六行・付訓で記す。小泉本の表紙に「安政七年」の書き入れがあるため、それ以前の刊行である。〔小泉〕
☆ほんちょうれつじょでん [増補項目-0079]
〈疋田尚昌編輯・校正〉本朝列女伝∥【作者】疋田尚昌編・序。【年代】明治八年(一八七五)序・刊。[東京]磯部屋太郎兵衛板。【分類】女子用。【概要】異称『〈挿画〉本朝列女伝』。半紙本二巻合一冊。安部弘忠(黒沢石斎・有隣・玉峰)作、寛文八年(一六六八)刊『本朝列女伝』†と重複する女性も多いが、基本的別種の列女伝。上巻に狭穂姫、馬飼歌依妻、小式部内侍、源渡妻袈裟、静女、大磯の虎女、佐藤忠信妹、松下禅尼、楠正行の母の九話、下巻に瓜生判官の母、奈良左近妹、鳥井与七郎妻、武田勝頼夫人、原元辰母、鈴木氏妻、富女、備中国貞婦、出羽国貞婦の九話を収録する。本文を小字・九行・無訓で記し、記事毎に挿絵を施す。〔小泉〕
☆しょしょうもんていそくかがみにへん [増補項目-0080]
〈名和喜七輯著〉諸証文定則鑑二編∥【作者】名和喜七編。【年代】明治八年(一八七五)刊。[大阪]森本太助板。【分類】消息科。【概要】異称『〈名和輯〉諸証文定則鑑』『〈改正〉諸証文定則鑑二編』。半紙本一冊。明治三年刊『〈改正〉諸証文定則鑑』†にならって編まれたと思われる公用文例集だが、初編は『〈柾木氏輯・改正〉諸証文定則鑑』†あたりを指すか。巻頭に(明治八年か)二月一七日付け御布告を掲げ、続いて第一類の証文文例として「御下ゲ金請取証書」~「預り金証書之事」の八通、第二類として「借用金子之事」~「借用申正米之事」の一一通、さらに界紙之部として「養子請状之事」「証券引当借用金之事」の二通の合計二一通を大字・七行・稀に付訓で記す。所々に印紙税法等に基づく注記を施す。〔小泉〕
☆こうちょうれきしのぶん [増補項目-0081]
〈頭書図入〉皇朝歴史之文(前編)∥【作者】近藤圭造作。原田機一書。【年代】明治八年(一八七五)刊。[東京]広文堂板。【分類】歴史科。【概要】半紙本三巻三冊。「天地造化に依怙なきも、気質の抱合時ありて、精華神秀萃(あつま)るは、東半球の東なる、我が日本(ひのもと)の大八島、山川動植美(うるわ)しく、中位を占し温帯の、三十九度を中心(まなか)にて、南北ともに九度余り、また経線は東京の、星学局の西ひがし…」で始まる七五調美文体で皇国たる日本の歴史を綴ったもの。人皇の始まりとされる神武天皇から豊臣秀吉朝鮮出兵までの歴史を紹介し、頭書にも付随する知識や挿絵などを満載する。歴史教科書でありながら、適宜、地理的な内容を盛り込んだり、明治初年の現状などに触れるのが特徴。本文を大字・五行・付訓(稀に左訓)で記し、頭書では主要な人名・地名・文献名等に囲み罫を付すなど教科書としてのある程度整った体裁になっている。なお、本書を「前編(初編)」とするが、二編以降の刊行は未詳。〔小泉〕
☆てがみようぶんはやべんり [増補項目-0082]
手紙用文早便利∥【作者】鼻山人(東里山人・細河並輔・細川浪次郎)作。【年代】江戸後期刊。[江戸]吉田屋文三郎板。【分類】消息科。【概要】異称『〈手紙案文〉当用早辨利』。中本一冊。弘化二年(一八四五)刊『〈増補〉手紙早便利大全』†の抜刷本。一般の用文章とは異なり、消息用の短文・語句を列挙・解説した往来。貴人宛ての書状の冒頭部(端作など)や締め括りの文言(結語等)、また、一月から一二月までの四季時候の挨拶語などを大字・六行・ほぼ付訓で掲げて、割注を施す。なお、本書とほぼ同じ往来に『〈嘉永改正〉手紙案文早弁利』†や『手紙早講釈』がある。〔小泉〕
☆えいたいようぶんしょう [増補項目-0083]
〈御家〉永代用文章∥【作者】不明。【年代】嘉永三年(一八五〇)刊。[江戸]吉田屋文三郎ほか板。【分類】消息科。【概要】異称『永代用文』。中本一冊。「年頭披露状」から「立身之人江遣す文・同返事」までの三〇通と、「金子借用証文」から「御関所通手形」までの証文類(離縁状を含む)一一状を収録した用文章。消息文は大字・五行(証文類は六行)・所々付訓で記す。なお、本書に大幅な増補を加えて解題したものが、嘉永五年刊『〈御家〉一筆啓上』†である。〔小泉〕
☆どうもうぎょうぎじょう [増補項目-0084]
童蒙行義状∥【作者】徳嵩庄右衛門書。【年代】文政六年(一八二三)書。【分類】教訓科。【概要】異称『行義状』。大本一冊。「手習は諸芸之始、修身之基、生々世々身に随の宝也。親々の慈悲心を以て登山仕難有次第与厚可存…」で始まる文章で、家庭生活や寺子屋での学習生活上の行儀作法や心得を綴った往来。文房具の費えや仲間同士の借金、金銭所持、身嗜みの整わないことや食事の好き嫌いなどを禁じ、寺子屋への登校や到着後の準備、学習中の態度などに触れ、悪行をやめて勤勉な生活に入るように促す。本文を大字・四行・無訓で記す。信州水内(みのち)郡松代御領分鬼無里(きなさ)南牧川村(現長野県北部、上水内郡鬼無里村)で和田磯吉が使用した手習い手本『万福懐宝読物』の前半に収録。〔小泉〕
☆しょしんしつけがた [増補項目-0085]
初心躾方∥【作者】徳嵩庄右衛門書。【年代】文政六年(一八二三)書。【分類】教訓科。【概要】大本一冊。「夫、人は天地三玉物、かるがゆへに仁義礼智信お本とせよ。中にも礼義は猶重し…」で始まる文章で庶民子弟に必要な行儀作法の基本を綴った往来。食礼全般、立花鑑賞法、茶礼、その他座礼や進退全般、書札礼、また屏風の飾り方や碁盤の出し方、五色の誉め言葉などを諭し、さらに後半部で「知らざる事は知らざると常に習ひて問給へ」「親にたてつき不孝すな」「世間の法を破なよ」「主の掟を背くなよ」「兄は弟を哀見て、弟は兄を敬へよ」といった種々の生活心得を展開し、最後に「…出すぎて人に悪(にく)まるな。悪敷友に付合な。おしがる物をしよもふ(所望)すな。欲をはなれて外に角に、世をば大事におくるべし」と結ぶ。本文を大字・四行・無訓で記す。信州水内(みのち)郡松代御領分鬼無里(きなさ)南牧川村(現長野県北部、上水内郡鬼無里村)で和田磯吉が使用した手習い手本『万福懐宝読物』の後半に収録。〔小泉〕
☆しんいまがわ [増補項目-0086]
新今川∥【作者】不明。和田覚右衛門書。【年代】安永二年(一七七三)書。【分類】歴史科。【概要】異称『今から了簡塩野はる秋せいしの条々』。大本一冊。『今川状』†になぞらえて、信州松代藩第四代藩主・真田信弘(弾正忠)に藩財政建て直しのために重用された塩野儀兵衛の不義・不忠を批判したもの。第一条「一、不知文道武道、つゐに家老職勝理不得事」、第二条「一、売買の利徳を好、無益之半地(半知)たのしむ事」、第三条「塩野が輩、一家にかぎらず死罪に行せしむる事」、第四条「大身の輩、塩野びひき(贔屓)の沙汰として半知致宥免事」以下全一八条と後文からなる文章で、塩野氏の所行を酷評する。「…塩野所領を徒に貪り、不足人を拵へなひがしろにし、家中の嘲をも恥ず、偏に口おしき次第也。依落書如件」と結んだ後文に続けて、儀兵衛を風刺する文章を連ね、「享保年中より元文年中迄真田弾正忠様御出頭役・塩野儀兵衛殿、殊外私欲侫人、御勝手は勿論、御家中御領分御百姓まで厳敷及困窮、元文(元)年殿様他界被遊付、段々首尾悪敷罷成…」との顛末を補足する。藩主・信弘が亡き後は儀兵衛は高井郡へ引っ越しし、その頃から以上のような風刺が世間に広がったとも付け加えている。信州水内(みのち)郡松代御領分鬼無里(きなさ)南牧川村(現長野県北部、上水内郡鬼無里村)の和田家で使用された往来物の一つだが、藩政批判を往来物にした点で興味深い資料であろう。〔小泉〕
☆しょうそくことば [増補項目-0087]
消息詞(刊本)∥【作者】寺沢政辰書。【年代】正徳三年(一七一三)書。正徳四年刊。[江戸]野田太兵衛ほか板。【分類】古往来。【概要】大本一冊。菅原為長作『消息詞』†とほぼ同内容を大字・四行・無訓で記した寺沢流の手本。「進上、謹々上、謹上、者依、天気、執達如件、執啓、上啓、依院宣(上皇仰)、依令旨…」以下、主として消息に用いる語句を中心に地名・産物・食品・日用品などの名称も数多く盛り込む。また、本文中程で「重点」と題して「早々、進々、怱々…」以下約六〇語の畳字を列挙するほか、末尾では「興津鯛、丹後鰤、能登鯖…」以下の各地の名産品にも触れ、最後に「…文庫、筆架、硯屏、硯箱、文鎮」までを列記して締め括る。〔小泉〕
☆ながおしょさつてかがみ [増補項目-0088]
長雄書札手鑑∥【作者】不明。【年代】天明二年(一七八二)刊。[江戸]丸屋文右衛門板。【分類】消息科。【概要】異称『要辨集』。大本一冊。跋文に「当世貴賤四季取扱ふ文を集め、専躰用を弁ずる扶(たすけ)ともならむやと、賤家の幼童手引のため仮名付をして『要辨集』と題する而已(のみ)」とあるように、書道手本には珍しく、特にルビを振って児童教育の用に供した長雄流の書道手本。「新春之御慶不可有休期候。弥御堅固可被成御越年目出度奉存候」で始まる新年祝儀状以下、四季折々の手紙文三二通を掲げ、巻末に詩歌二編を散らし書きで綴る。本文を大字・五行・付訓で記す。〔小泉〕
☆おきちちらしぶみ [増補項目-0089]
〈沢田〉お吉ちらし文∥【作者】沢田吉。【年代】元禄(一六八八~一七〇三)頃刊。刊行者不明。【分類】女子用。【概要】大本三巻三冊。現存本は中巻一冊。原題簽下部に「中」と記すため、3巻3冊本の女筆手本であったと思われる。筆者は、元禄頃に活躍した女流書家の沢田吉で、元禄13年刊の『女今川(新女今川)』†の作者として知られる。吉の作品はほとんど例外なく元禄年間刊行のため本書もその頃であろう。中巻は全12丁で散らし書きの女子消息文で、「姫君様南殿のみかうしにて御簾のひまよりみまいらせ候」と起筆して美しい姫君を一瞥した感動を述べた手紙など一二通を収録する。〔小泉〕
☆そどくほんちょうせんじもん [増補項目-0090]
素読本朝千字文∥【作者】不明。【年代】安永四年(一七七五)刊。[大阪]渋川久蔵(書物屋久蔵・興文館)蔵板。田原屋平兵衛売出。【分類】歴史科。【概要】異称『本朝千字文』。大本一冊。「日本開闢、謂国常立、諾冉二神、夫婦之根…」で始まる漢字四字一句・全二五〇句一〇〇〇字の『千字文』形式で、神代から徳川幕府成立までの日本歴史を概説した往来。伝説や実在の人物の逸話を中心に、大陸との交渉なども交えながら述べる。安永四年初板本には同一板元から「石刻」「傍注」「素読」の三種類が刊行されたが本書は「素読」本で、本文を大字・五行・無訓で記すのみで、挿絵等は一切ない。〔小泉〕
☆しんせんどうじくん [増補項目-0091]
新撰童子訓∥【作者】織田貞信(見龍)作。【年代】慶応元年(一八六五)刊。[伊勢]高幽書屋(著者か)板。【分類】教訓科。【概要】異称『〈新撰〉童子訓』。半紙本一冊。『三字経』†や『四字経』†形式で、神道の根本や神道に基づく生活心得などを説いた往来。扉に「三字、四字、五字、七字句読」とあるように、漢字三字一句~七字一句形式で綴る。冒頭の「三字章」は、「人之生、可知本、知本者、知神予、父母者、知神故、崇敬神、可以教…」と起筆し、父母が神の存在を知り、それを敬うことを教えるべきであること、これを教えると子どもは幼時より志を立てることを知るので、親や師の教えによく従い、よく学ぶため、その三歳の知が一生に及ぶこと、さらに、皇国の歴史を繙きながら学問の根本が神道が説く「正直の道」であることを述べて結ぶ。また、続く「四字章」は、「凡礼之要、有所恭敬、有所愛顧、恭敬愛顧、其因所来、自幼稚時、教之習之、以礼為本…」で始まる文章で、主として礼法における神道の理念を敷衍し、詰まるところは正直が根本であり、「皆帰於正、人亦帰正、正己直心、是大道也」と締め括る。また「五字章」では、「人万物之霊、高御産巣日(たかみむすび)、神御産巣日(かみむすび)、依二神之霊、人身及国土、五穀併草木、皆以成形体、霊魂次母腹…」と起筆して、父母から子どもがいかに誕生し、いかに養育されて人となるかを述べて、父母への報恩のあらましを綴る。さらに「七字章」では、「皇国始成億万年、幾干神議会高天、物皆自是生生畢、何漏人間世界全…」で始まる文章で、神国や神国における人間社会のなりたちなどを略述する。本文はいずれも楷書・大字・五行・付訓で記す。扉裏に「皇国の正道は自ずから忠孝・礼儀に通ずるなり」と大きく明記して、神道の正当性を強調し、巻末には「神代文字点画考」を付す。〔小泉〕
☆ななついろはじょう [増補項目-0092]
〈菱湖先生書〉七ッいろは帖∥【作者】巻菱湖(大任・致遠・弘斎)書。【年代】江戸後期刊。[江戸]竹内伊助板。【分類】語彙科。【概要】大本二巻二冊。「い・以・伊・移…」のように、同音の漢字をイロハ毎に掲げ、漢字や数字を楷書・行書・草書など複数の書体で認めた陰刻手本。上巻に「い」~「や」部、下巻に「ま」~「す」部および「数字・単位」「殿・様(複数書体)および人名」「十干十二支」を掲げ、いずれも大字・二行・無訓で記す。なお、本書の版下の字間を詰めて半丁三行ずつにした一冊本が『いろは帖』†である。〔小泉〕
☆ごうしゅうかがみ [増補項目-0093]
江州鑑∥【作者】上田柳弥書。【年代】安政四年(一八五七)書。【分類】地理科。【概要】異称『近江鑑』。特大本一冊。末尾に「風土記淡海士の中より考出して江州の古跡荒あら編集して門人に習しむるものなり」と明記するように、先行の地誌等を参照して編んだ近江地方の地理科往来。「抑近江の国と申は、淡海なりしを、大宮に近き江迚「近江」に作り、遠き江を「遠江」と名付…」と起筆して、国名の由来や大津京以来の歴史、孝霊五年に突如琵琶湖と富士山が現出した伝説などに触れた後で、近江国の規模や地形、各地の地名や名所旧跡、故事来歴当を紹介する。本文を大字・五行・無訓で記す。〔小泉〕
☆ななついろは [増補項目-0094]
七ッいろは(仮称)∥【作者】。【年代】延宝七年(一六七九)刊。[大阪]西沢太兵衛(正本屋太兵衛)板。【分類】語彙科。【概要】半紙本一冊。全体的に正方形の枡形本に近い形で、『七ッいろは』†の古版本は、明暦三年(一六五七)板(謙堂文庫本)、万治二年(一六五)板(玉川大学本)が知られるがいずれも大本で、本書は半紙本では最古本になる。巻頭に「七ッいろは」を掲げ、続けて「片仮名いろは」「国尽(主要地名を含む)」「家名尽」「篇冠尽」を収録する。「七ッいろは」から「国尽」までは本文を大字・四行・付訓、それ以降を大字・六行・付訓で記す。〔小泉〕
☆たいようれきりゃくちゅうかい [増補項目-0095]
〈久保季茲・伊藤信興合著〉太陽暦略註解∥【作者】久保季茲・伊藤信興編。林立守序。【年代】明治一一年(一八七八)刊。[東京]頒暦商社(林立守)板。【分類】理数科。【概要】中本一冊。太陽暦における祝祭日や暦目などの暦関連事項を解説した教科書。前半の「御祭祀略註解之部」は「御祝祭日ノ由縁、御歴代ノ御名、在位年数、山稜所在等」で、久保が「開知新聞欄内典拠ノ条、史略類、並ニ帝王略譜、歴朝大綱ナド」を参酌してまとめたもの。また、後半の「暦要略註解之部」は、「紀元」「平年・閏年」「大月・小月」、「冬至」「小寒」「大寒」「春分」等の主要な暦占用語を伊藤氏が集めて解説したものである。本文を楷書・小字・一〇行・所々付訓で記す。〔小泉〕
☆おんなようぶんしょう [増補項目-0096]
〈石川鴻斎著述・往復端書〉女用文章∥【作者】石川鴻斎(石英・君華)作。吟光画。【年代】明治二一年(一八八八)刊。[東京]松邑孫吉(三松堂)板。【分類】女子用。【概要】異称『〈往復端書〉女用文章』。中本一冊。口上書や葉書などに用いる短文を集めた女用文章。第一「口上書」、第二「書翰文」、第三「電信文」の三つから成り、それぞれ「新年を祝ふ文」以下一一〇例および「書状請取」以下一四通の公用文、「年始の文」から「年回に人を招く文」までの一八通、「安産を報ずる文」から「事件の落着を報ずる文・同一例」までの二〇通を収録する。頭書には、各例文と同義の口語文(例えば「年始の御祝儀めでたく申をさめ候」の本文に対して、「トシノハジメノ、ゴシウギ、オメデタイトヽ、ゴシウギヲ、マヲシアゲマス」)を小字・片仮名で示したり、例文中の要語解ならびに書簡作法等を示す。本文を大字・六行・所々付訓で記す。〔小泉〕
☆いまがわのしょう [増補項目-0097]
今川之抄∥【作者】不明。【年代】明暦三年(一六五七)刊。[京都]長谷川市郎兵衛板。【分類】教訓科。【概要】異称『今川抄』。大本一冊。近世刊本では最も早い『今川状』†の注釈書。『今川状』を表題も含め約四五段に区切って、本文を大字・六行大(付訓)に綴り、各段毎に割注形式で大意や平易な語注を施す。本書を参酌しつつ自己の施注を試みたものが、脇野光正注、寛文一三年(一六七三)刊『〈新板増補〉今川諺解大成』†である。〔小泉〕
☆にちにちようぶんしょう [増補項目-0098]
日々用文章∥【作者】梅沢敬典(菅原敬典・馨斎)作・書。【年代】天保一二年(一八四一)刊。[江戸]菊屋幸三郎板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「年頭状」から「隠居を賀す文」までの五〇通を収録した用文章。最初に五節句始め四季の手紙、続いて通過儀礼に伴う祝儀状や各種見舞状、開店祝儀状、さらに、他国出張、家督相続、病気等に関する例文などを含む。本文を大字・五行・付訓で記す。〔小泉〕
☆しょさつべんらん [増補項目-0099]
〈商家秘要〉書札便覧∥【作者】長友松(友松軒・武左衛門・玄海堂)書。【年代】寛政一三年(一八〇一)書・刊。[大阪]敦賀屋為七板(弘化四年(一八四七)再刊)。【分類】消息科。【概要】中本一冊。主に五節句や四季に伴う書状を集めた簡易な用文章。「年始状」から「歳暮祝賀状」までの二五通を収録し、それぞれ大字・三行・所々付訓で記す。なお、目次上欄に「大日本国尽」を収録する。〔小泉〕
☆しんせんめいじがっしょ [増補項目-0100]
〈増補〉新撰明治合書∥【作者】不明。【年代】明治初年刊。[金沢か]刊行者不明。【分類】合本科。【概要】中本一冊。「消息往来(真草二体・両点)」「消息往来講釈」「商売往来」「名物往来」「アルファベット」「五体いろは(ローマ字を含む)」「苗字尽」「七ッいろは」「万葉いろは」「〈増補〉名頭字尽」「百官名尽」「篇傍(旁)冠尽」「世界国名尽(「府県名」「官制名」「海港」「同盟国」を含む)」を収録した往来。ほとんどが金沢刊行のものと同一またはほとんど同じのため、刊行地も金沢あるいは北陸地方と思われる。〔小泉〕
☆はっけいき [増補項目-0101]
八景記∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】横本一冊。「西行の清水流るゝ柳陰と詠せしは、知らぬ陸奥の物語、花の都のちかき江に、八の景を撰まれしこそ面白けれ。先、唐崎の夜雨は常盤の松の枝々に実色かへぬ斗にて、堅田に落る雁金の声猶ゆかしく、石山の秋の月は紫式部のいにしへに変らず…」と起筆して、近江八景の様子を綴った往来。「京内詣」を始めとする一五点の往来物集(書名不明の写本)に所収。〔小泉〕
☆やまとめぐり [増補項目-0102]
倭廻り∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】横本一冊。「春深く麗か成頂に候まゝ、大和廻り覚しめし立せられ候よし、御尤に存候斯覚へまいらせ候。有増申上候様とも御事、即先、暗峠より南都へ御越被成、春日の御社、若宮御拝し候べく候…」と起筆して、大和国内の名所旧跡のあらましを綴った往来。春日大社、興福寺、東大寺、法華寺、西大寺、唐招提寺、法隆寺、当麻寺等の古刹を中心に、故事にも触れながら、その周辺の様子も紹介する。「京内詣」を始めとする一五点の往来物集(書名不明の写本)に所収。〔小泉〕
☆じゅういっしゅめいこう [増補項目-0103]
十一種名香∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】社会科。【概要】横本一冊。「抑十一種の名香とて、貴き雲の上人も、翫び玉ふ其品に、先蘭奢待と聞えしは、奈良の都の東大寺の什物成よし。常に法華経の御法を聞て、紅葉をうちはらふ聖徳太子の御秘蔵ありし沈水香…」で始まる七五調の女文形式で、名香の数々を紹介した往来。「京内詣」を始めとする一五点の往来物集(書名不明の写本)に所収。同書には別に「名香」と題する往来を載せるが、本書とは別内容。〔小泉〕
☆すみよしもうで [増補項目-0104]
住よし詣∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】横本一冊。「浪華津に近き墨江とて、衣も高き宮造、あけの端垣神さびて、もろ人の歩みを運ぶ霊神なり。境地のうちに名所旧跡数多しといへども、中にも大江の岸につゝきし姫松の、千代のためしを顕はして、実に十がへりの花とも祝し岸に生ふる恋忘れ草…」と筆を起こして、古歌や故事を引きながら住吉の春の風景を記した往来。全文一通の女文形式で綴り、「雁なきてきくの花さく秋はあれて、春の海辺の住吉の浜と、古歌など思ひ遣られまいらせ候。かしく」と結ぶ。「京内詣」を始めとする一五点の往来物集(書名不明の写本)に所収。〔小泉〕
☆はりまめいしょ [増補項目-0105]
播磨名所∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】横本一冊。「新玉の、春のしるしに遠近の、山々も長閑に霞わたり、梅も芬郁鴬も声なじみ、楊桜のこずゑ打煙り、野辺の千種萌出て、麓に詠異なる折からに候まゝ、逍遙の思召立候へかしと存候…」で始まる全文一通の女文で、兵庫の浜、摩耶山、布引の滝、湊川、須磨、一ノ谷、舞子の浜、明石、姫路、書写山、法華山、加古川等を経て有馬温泉へと続く沿道の名所旧跡を紹介した往来。「京内詣」を始めとする一五点の往来物集(書名不明の写本)に所収。〔小泉〕
☆めいこう [増補項目-0106]
名香∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】社会科。【概要】横本一冊。「それ名香のかずに、匂ひうへなき蘭奢待、いづれおとらぬ法隆寺、逍遙三芳野紅塵や、宿の古木の春の花、流絶せぬ中川と、とくに妙なる法華経は、花橘の香ぞ深み…」で始まる七五調の文章で、名香の数々を紹介した往来。七・五で一句を成す各句の末尾と次の句の冒頭の音が重なる「文字鎖」になっているのが特徴。「京内詣」を始めとする一五点の往来物集(書名不明の写本)に所収。同書には別に「十一種名香」を収録するが、本書とは別内容である。〔小泉〕
☆うめづくし [増補項目-0107]
梅尽∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】女子用。【概要】横本一冊。「難波津に、咲や此花冬籠、年のうちより咲そむる、冬至梅とて若やかに、誰にか見せむひとへ梅、鴬宿梅下されし、あら有がたの野梅・山梅、好文木・御簾の追風香をり…」で始まる七五調の文章で、様々な梅の名称や梅に因んだ故事などを略述した往来。「京内詣」を始めとする一五点の往来物集(書名不明の写本)に所収。〔小泉〕
☆しようぶん [増補項目-0108]
〈福隅瑞道・橋井善二郎同輯・小学必要〉私用文∥【作者】福隅(福住)瑞道・橋井善二郎編。【年代】明治一二年(一八七九)刊。[堺]高橋平三(東北舎)板。【分類】消息科。【概要】横本一冊。「皆簡便ノ実用ヲ尊ブ」世の中となった明治初年には「漢語ヲ以テ集録スルノ書」が世上に多く刊行されるようになった反面、「其文高尚ニシテ民間ノ日用ニ適シ難シ」という状況にあったことから、初学児童のために「平常唱フル処ノ和漢ノ語ヲ錯綜シ、尺牘十八式ノ文体ニ倣」って編んだという簡便な用文章。冒頭「書式類語」に、啓頭・時令・起居・欣喜・自叙・降心・入事・結語・末語・傍書の一〇分類で主要な書簡用語(用句)を列挙し、続いて「新年之文」から「遊学人へ贈る文・同返事」までの四四通を収録する。本文をやや小字・一二行・稀に付訓で記す。〔小泉〕
☆しようぶん [増補項目-0109]
〈静間密編纂〉私用文∥【作者】静間密編。●(呆 【所蔵】小泉。
☆さんじきょうぞくかい [増補項目-0110]
三字経俗解∥【作者】西野古海注。【年代】明治一五年(一八八二)刊。[東京]柳河梅次郎(中外堂)板。【分類】教訓科。【概要】中本一冊。『三字経』†の注釈書。『三字経』本文を楷書・やや大字・八行大・付訓で綴り、二~八句毎に細字の割注を付す。例えば冒頭の「人之初、性本善、性相近、習相遠」では、まず「性ハ人ノ天ニ稟(うけ)テ、生ルヽ所ノ理ヲ云…」のように字義に則した解説を行い、最後に「初生ノ小児、聊ノ悪意ナク、成長ニ随ヒ、私ノ心出来ルトナリ」と全体の趣旨を述べ、適宜、出典なども紹介する。板元は東京の中外堂だが、埼玉県下三四書肆で販売された。〔小泉〕
☆しきようぶんしょう [増補項目-0111]
四季用文章∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。[大阪]綿屋喜兵衛板。【分類】消息科。【概要】半紙本一冊。五節句・四季の手紙や諸用件の手紙など若干の例文を集めた用文章。前半に一・三・五・七・九月の五節句と八朔ならびに歳暮(一二月)の手紙七通、後半に、元服祝儀状、婚礼祝儀状・同返状、普請移徒祝儀状・同返状、出産祝儀状、東武下向につき餞別状、留守見舞い礼状の八通、合わせて一五通を収録する。本文を大字・五行・付訓で記す。見返しに「書状之事(封じ目等の書札礼)」、巻末に「五性名頭」「大日本国づくし」「篇冠字尽」「イロハ」「十二時のいみやう」を掲げる。〔小泉〕
☆はやびきようぶんしょうばいぐら [増補項目-0112]
早引用文商売庫∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。刊行者不明。【分類】消息科。【概要】半紙本一冊。発注、荷送り、注文催促、算用違いの問い合わせ、顧客紹介、代金回収、仕入れなど商取り引きに伴う各種例文を集めた商人用文章。「注文下状」から「初売物仕入状・同返事」までの二〇通を収録。四季の手紙は含まないが、各例文の冒頭挨拶(端作り)が四季順になっており、最小限の時候の言葉も習得できるようになっている。本文を大字・四行・付訓で記す。巻頭目録上欄に十二月異名と各月の時候の言葉を掲げる。〔小泉〕
☆にちようぶんしょう [増補項目-0113]
日用文章∥【作者】杉山某編。後藤樵校。羽栗某書。友野信平序。【年代】明治六年(一八七三)序。同七年刊。[岡山か]森田佐平板。【分類】消息科。【概要】半紙本一冊。作者が童蒙向けに「其語短かく、其義浅さく、文も亦俗俚を主として」童蒙の学習向けを旨として短文を集録した用文章。拙宅の老梅鑑賞に招く手紙から始まり、鮮魚贈答、船旅、新聞記事、造幣局見物、蒸気船による遊覧、上海・香港外遊、招魂祭の行軍式見物、翻訳書借用、布令翻刻出版のための募金、養蚕、展覧会に伴う手紙など、明治初年の世相を象徴する例文が多い。本文を大字・四行・無訓で記す。編者は備後国、筆耕は備中国、跋文を書いた後藤氏は美作国在住のため、岡山県内での出版であろう。〔小泉〕
☆おんなようしょうそくぶん [増補項目-0114]
女用消息文∥【作者】大野定子編・序。佐々木弘綱校・序。原機一(鼎洲)書。長命晏春画。【年代】明治一九年(一八八六)序。明治二一年刊。[東京]小林新兵衛(嵩山房)板。【分類】女子用。【概要】半紙本二巻二冊。「文文言はいかにも世の常なるをもちゐ、また、漢語なりともだれにもよく耳なれてきゝうるかぎりは省かで、すべてなだらかなる意のかよひやすきもはらと」して書き集めた女用文章。雅俗・男女の手紙文の表現に大きな差があった旧時代の手紙文から、雅俗を折衷した新時代の手紙文への転換を試みた書。漢語を適度に盛り込み、「まいらせ候」などの表現を煩わしいものとして排除する。上巻に「年始の文」から「嫁入る人に遣す文・同返事」までの五〇通、下巻に「婚礼を祝ふ文」から「法事に人を招く文・同返事」までの五一通の合計一〇一通を収録。本文を大字・六行・所々付訓で記す。頭書「副案文」に本文の言い替え表現数例を掲げる。また上巻巻頭に色刷り口絵二葉(「文書く女性など女子芸能図」「郵便局・小学校など風景図」)を載せる。〔小泉〕
☆じゅうもんさんじきょう [増補項目-0115]
什門三字経∥【作者】山中良蔵作・序。【年代】明治一八年(一八八五)序・刊。[大阪]山中良蔵板(施本)。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。大阪府下日蓮宗妙満寺派・法壽山蓮成寺信檀徒の山中氏が自ら編集し、自費出版した信者子弟向けの日蓮宗入門書(非往来物)。書名は三字一句の『三字経』†形式に由来するが、「夫仏法、如大海、信能入、有大小、有権実、有偏円、有本迹、則本門、仏立宗、他宗門、非仏立…」で始まる三言五〇〇句(一五〇〇字)で、日蓮の生涯や日蓮宗の起源、さらに日蓮宗の根本義を説く。本文を楷書・やや大字・八行・無訓で記す。「什門」とは日蓮宗の一宗派で、後の顕本法華宗を指す。〔小泉〕
☆れきだいごげん [増補項目-0116]
〈帝王〉歴代五言∥【作者】高見沢茂(子公・三驚・過矣斎・天籟逸人)作。【年代】明治六年(一八七三)刊。[東京]大和屋喜兵衛(宝集堂)板。【分類】歴史科。【概要】半紙本一冊。「神武人皇祖、発日向東征、奠都於橿原、遂平定中原…」で始まる漢字五字一句、全五三六句からなる文章で、神武天皇から明治天皇までの歴代天皇を中心に各時代の出来事を綴った往来。末尾では「米国来使節、始開横浜港、与五国条約、七卿走長門、毛利戦幕兵、今上諱睦仁、政権帰朝廷…」と開国後の状況や大政奉還について述べ、「歴代百廿二、綿々無有窮」と万世一系たる皇統を讃えて結ぶ。本文を大字・五行・無訓で記す。〔小泉〕
☆にほんぶんしょうたいぜん [増補項目-0117]
〈豊原善作編輯〉日本文章大全∥【作者】豊原善作編。青木東園書。蘆江哲序。【年代】明治一二年(一八七九)書。同一三年刊。[大阪]梅原亀七蔵板。中川勘助ほか売出。【分類】消息科。【概要】半紙本二巻二冊。合計一三四通の例文を、「時令之部」から「雑之部」までの一七部に分類して収録した大部な用文章。収録書状の内訳は、「時令之部」が「年甫之状」以下一一通、「遊覧之部」が「紀元節探梅を催す状」以下一四通、「慶賀之部」が「婚姻を祝する状」以下一五通、「慰問之部」が「水患を訊る状」以下九通、「弔喪之部」が「親を失たる人を弔ふ状」以下三通、「稟告之部」が「転居報告之状」以下四通、「報知之部」が「遠行を報ずる状」以下六通(以上までが上巻、以下下巻)、「行之部」が「赴任を餞する状」以下四通、「嘱托之部」が「入学周旋依頼之状」以下一四通、「嘱購之部」が「雑誌逓送を請ふ状」以下七通、「訊問之部」が「得意先へ注文を訊に遣す状」以下一〇通、「邀招之部」が「新年宴に客を請ずる状」以下七通、「報謝之部」が「借用品を返す礼状」以下八通、「饋贈之部」が「蔬菜を贈る状」以下二通、「背約之部」が「山遊誘を断る状」以下二通、「督促之部」が「金子返済催促之状」以下五通、「雑之部」が「仕官する人を推挙する状」以下一三通。本文を大字・五行・付訓(しばしば左訓)で記し、例文毎に本文要語の類語を割注付きで数多く掲げる。また、頭書の記事も豊富で、「書札認方ノ心得」「書簡中要語」「時令之称(となえ)」「居所之称」「人倫之称」「物貨雑称」「雑部(書簡中助辞ほか)」「日本帝国郵便規則」「電信取扱規則」等を載せるほか、下巻巻末に付録として「日本全国電信賃金表」を付す。〔小泉〕
☆てがみぶんしゅう [増補項目-0118]
〈長雄〉手紙文集∥【作者】長雄耕雲(栢梁堂)・佐藤対雲書。【年代】安永二年(一七七三)書・刊。[江戸]山崎金兵衛板。【分類】消息科。【概要】大本一冊。親しい個人間でやりとりする四季贈答の手紙などを綴った長雄流手本。「天気が回復したら野辺へ出て草摘みをいたしましょう」といった四季折々の交際を主題とする手紙一九通を収録する。その多くが自宅への訪問を請う誘引状で、草摘み、十香の会、茶会、両吟歌仙の会、紅葉見物、庭園鑑賞、雪見など春夏秋冬それぞれにふさわしい題材が選ばれている。本文を大字・三行・無訓で記す。以上が長雄耕雲の筆であり、末尾に佐藤対雲筆の詩歌数編を付す。〔小泉〕
☆さくらづくし [増補項目-0119]
桜尽し∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】女子用。【概要】横本一冊。「けふみずば、悔しからまし花ざかり、咲も残らず散もせぬ、三五斗の児桜、眉は楊貴妃桐が谷、目もとにしほるゝ塩竃や、浅黄日ざくら香は江戸屋、心にほそきいとざくら、つひの逢瀬に天照す、神にいのらむ伊勢ざくら…」で始まる七五調の文章で、桜の品種の数々を列記した往来。末尾は「…けふ九重ににほひ来て、袖をつらねてむかし山、貴賤群集のありさまは、幾春かけてながめたのしみ候はん。めでたくかしく」と結ぶ。「婚礼国尽し」を始めとする往来物一四点を収録した写本(書名不明)中に所収。〔小泉〕
☆とうかいどうごじゅうさんえき [増補項目-0120]
東海道五十三駅∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】横本一冊。『東海道往来』†を一部改変した往来。「夫みやこ路の行程は、五十余りにみつの宿、時得て咲や江戸のはな、所かはれば品川や、遠き東路の川崎や、こゆる程がやほどもなく、暮て戸塚に宿るらむ、むらさき匂ふ藤沢の…」で始まり、「…野辺は東の草津わけ、語らひ明けし大津登は、花の錦の九重の、八重桜花の都に着まいらせ候。かしく」と結ぶ七五調の文章で、東海道の宿駅を順々に列挙する。「婚礼国尽し」を始めとする往来物一四点を収録した写本(書名不明)中に所収。〔小泉〕
☆こんれいぶんしょう [増補項目-0121]
婚礼文章∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】社会科。【概要】横本一冊。婚礼道具の手配・注文に関する全文一通の女文形式で、婚礼道具一式の名称や関連知識(素材、染め色模様、産地等)を列記した往来。「今般御婚礼相究、絹布、巻物、器物之類、此方へ御頼により、呉服所、染物師、道具屋など呼寄、積せまいらせ候。金襴綿は近来払底致し、値段殊の外六ヶ鋪よし、夜着布団地は緞子・繻子之類宜敷おはしまし候半哉…」と起筆して、用意すべき衣類、日用品、手道具、文房具、書籍、引出物、祝言料理等の注文内容の確認ととに、実勢価格や世間相場を踏まえた提案を交えて綴るのが特徴。末尾は「…此外、御入用の品ども思召の上、仰下さるべく候。是より注文したゝめさせ、御覧に入まいらせ候。めでたくかしく」と結ぶ。「婚礼国尽し」を始めとする往来物一四点を収録した写本(書名不明)中に所収。〔小泉〕
☆あずまじのき [増補項目-0122]
東路記∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】横本一冊。「実に九重八重ざくら、はなのみやこを立出て、さかりの枝もはるはなを、匂ふ加茂川名に高し、小橋大橋うち渡り、東路さしてゆく空の…」で始まり、「…戸つか程ヶ谷ほどもなく、神奈川かは崎たどりつゝ、いく瀬のたびを品がわや、武蔵にこそは着にけり」と結ぶ文章で、京都を起点として東海道で江戸まで向かう順路に沿って宿駅やその周辺の様子を略述した往来。「婚礼国尽し」を始めとする往来物一四点を収録した写本(書名不明)中に所収。〔小泉〕
☆いせどうちゅう [増補項目-0123]
伊勢道中∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】横本一冊。嘉永(一八四八~五四)頃写本『伊勢道中』†に大幅な増補を加えた異本。「参宮無事にて夜前下向致し、道中天気よく、一入慰にぞんじ候…」と帰宅知らせの手紙風に起筆し、以下、嘉永頃写本と同様に「実も都を立出て、東の空も白川に、日の岡峠名斗は、しる谷越て朝草を、追分過て相坂の…」と七五調の文章で続け、津まではほぼ同文で綴るが、その後に、伊勢周辺の風景(主に四季折々の花鳥風月)を南・西・北の方角毎に紹介し、「…なを又、注文御覧遊し御作意の所御加筆希ひまいらせ候。かしく」と結ぶ。「婚礼国尽し」を始めとする往来物一四点を収録した写本(書名不明)中に所収。〔小泉〕
☆そめものづくし [増補項目-0124]
染もの尽し∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】社会科。【概要】横本一冊。「黄昏に、ほの見ゆる夕顔の、もようも嬉し絹絞、曇りもやらず照もせず、月も朗に朧染、ふせやの垣根あれ果て、千種まじりの八重葎…」で始まる七五調の短文で、染め模様のいくつかを紹介した往来。末尾を「…其外いろ当世の、染分模様絞りるひ、もたせ上候侭、ゆると御覧あそばし、おぼし召に入候品も御座候はゝ、御留置なされかしと存まいらせ候。かしく」と結ぶ。「婚礼国尽し」を始めとする往来物一四点を収録した写本(書名不明)中に所収。〔小泉〕
☆さくらづくし [増補項目-0125]
桜尽し∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】横本一冊。「長閑たる四方のけしき、程なふきさらぎの半にも成候はゝ、彼岸桜など美敷咲出、誠に花の春とて、心も浮たつ斗におはしまし候はん。殊更、弥生の始よりいろ名高き桜の美くらべ、嘸や見事にあらんと、見ぬ里のはるもおもひやられまいらせ候…」で始まる全文一通の手紙文で京都周辺の桜の名所・名木を紹介した往来。伏見の墨染桜、生駒山・紫雲庵の糸かけ桜、京の塩竃桜など、名木やそれにまつわる故事などに触れながら綴り、「…そとは音にのみうけ玉り、いまだ見もやらず候へば、吉野初瀬をはじめとして、また来る春は御伴ひ申度…」と来春の花見同道を期して結ぶ。「婚礼国尽し」を始めとする往来物一四点を収録した写本(書名不明)中に所収。〔小泉〕
☆どうもんえいとう [増補項目-0126]
童問嬰答∥【作者】小沢鹿之助書。【年代】江戸後期書。【分類】社会科。【概要】大本一冊。「一とは天元之一。太極ともいふ。物の始り。二気とは陰陽なり。日月也。二親とは父母也。三才とは天地人也…」で始まる文章で、以下、三徳、三光、四方、四民、四季、五行、五色、五臓、五徳、五味、五穀、五薬、五常、五倫、五指、六芸、六畜、六律、六呂、六楽、七福神、八卦、八音までの名数を記した往来。本文を大字・三行・無訓で記す。〔小泉〕
☆ばんぽうようぶんしょうたいせい [増補項目-0127]
万宝用文章大成∥【作者】不明。【年代】元禄一五年(一七〇二)刊。[京都]野沢半兵衛ほか板。【分類】消息科。【概要】大本三巻三冊、または二巻二冊。現存本は下巻のみだが、その内容から三巻程度の構成だったと思われる。下巻には「借家請状」から「跡式譲り状」までの証文文例九通を収録するため、上巻または上・中巻は消息例文であろう。本文を大字・五行・付訓で記す。頭書等に種々の記事を載せるが、特に頭書を二段(本文と合わせると三段)にしたいわゆる「三階板」形式になっているのが特徴で、下巻前付一丁は上段に「花こしらへやう・七つ道具の事(図解)」、中段に「砂の物(立花図)」、下段に「初心立花仕様(記事)」を掲げる。また、本文上欄の頭書(上段・中段)には「いろはの初り」「茶の湯初心抄」「五山の沙汰并国尽」「名字づくし」「為替手形の事」「不通手形の事」「家買手形の事」など証文手形関連の記事を載せ、裏表紙見返しに「元禄御改服忌令」を収録する。〔小泉〕
☆たぬきしょうにんじょう/たぬきしょうじんじょう [増補項目-0128]
狸少人状∥【作者】不明。【年代】江戸前期成立。江戸前期刊。刊行者不明。【分類】教訓科。【概要】異称『狸状』『狸申状』『狸少人申状』『狸少人之状』。大本一冊。比叡山竹林坊(竹林寺)で少人に化けた狸が、坊中で打擲されたことに対して恨みを綴った戯文。早くは寛永二年(一六二五)写本『古状揃』†に見られ、刊本でも延宝五年(一六七七)板『薩摩状』†(安田十兵衛板)や享保七年(一七二二)刊『童訓往来(仮称)』†等にも収録されているが、単独刊本は極めて少なく、江戸前期刊『狸少人申状〈ひらかな付〉』、江戸中期刊『狸少人状』の二点のみである。後者の江戸中期刊本によれば、「夫当山之興者、桓武天皇之御願書、延暦寺之末寺也。比叡山之内、竹林寺与申山寺者、鎮護国家之道場、真言止観之霊地也…」と書き始め、味噌磨木で頭を叩かれたことに対し、「円頓の教法を破る」「山王七社諸神のお恵みを失う」「垂髪の礼儀を蔑ろにする」という三つの罪になるものであり、「傍若無人之至、言語同断者」と批判する。さらに、畜類といえども情はあるはずだが、突然、出仕を禁じるというのは大変遺憾であることなどを述べ、「仍而、打擲遺恨之鬱憤申述之状、如件」と結ぶ。江戸中期刊本は、本文を大字・五行・付訓で記し、見返し口絵には「狸少人奉仕の図」を掲げ、巻末に「獣字尽」を載せる。〔小泉〕
☆ねんちゅうあんもんたいぜん/ねんじゅうあんもんたいぜん [増補項目-0129]
〈頭書新増〉年中案文大全∥【作者】西川竜章堂編・書。一楊斎嘉言画。【年代】嘉永年間(一八四八~五三)刊。[大阪]河内屋平七板。【分類】消息科。【概要】大本一冊。天保二年(一八三一)頃刊『増補書翰大成』†の改題本。本文は『増補書翰大成』と全く同じだが、大本仕立てにしたうえ前付(序・目録・口絵)を一新して新たな巻頭目録を付し、その頭書に「風月往来」†を収録する。因みに本書見返しの紹介文には「此書は四季の贈答はいふに及ばず、諸商売の懸引、種々入組たる文章に至る迄、御家の書筆をえらび、最懇(いとねんごろ)に書著し、頭書には万字尽し、証文手形、并箱、目録等一切の心得、諸礼図式、吉書始、七夕詩歌、仮名和字の濫觴(はじまり)、五性人名尽、商売往来、風月往来、其外有益の事共あまた集め、実に諸家必用随一の用文章也」とある。〔小泉〕
☆ようぶんしょうてがたかがみ [増補項目-0130]
用文章手形鑑(仮称)∥【作者】不明。【年代】江戸中期刊。[大阪]糸屋市兵衛板。【分類】消息科。【概要】大本一冊。標記書名は現存本の表紙書き入れによる。前半に用文章、後半に「手形鑑」を収録した往来。表紙見返しが「手形鑑」の目録になっており、前半部・後半部の体裁が明らかに異なることから、先行の証文文例集(柱「手形鑑」)に、別の用文章(柱「用文」)を合綴したものであろう。「用文」の部は、「改春之御慶賀、何方茂重畳申納候…」で始まる「新年祝儀状」から「歳暮祝儀状」までの消息文例一三通で、諸用件の文例が主。「手形鑑」は文化一四年(一八一七)刊『当流手形鑑』†と全く同じで「預り申銀子之事」から「金子為替手形之事」までの証文文例一九通を収録するが、本書の方が先の出版であろう。「用文」「手形鑑」とも本文を大字・五行(「手形鑑」最終丁のみ七行)・付訓で記す。また、巻頭(柱「要字」)には書簡用語を集めた「書札用字集」や「謡番組文章」を始め、「王仁来朝」など挿絵を含む記事若干を載せる。〔小泉〕
☆くにづくしならびにみょうじづくし [増補項目-0131]
〈新板〉国尽〈并〉名字尽∥【作者】不明。【年代】江戸前期刊。刊行者不明。【分類】語彙科。【概要】大本一冊。柱に「童訓 下」とあるように、万治二年(一六五九)刊『童訓集』下巻から「国尽」および「名字尽」を抜き刷りにした往来(丁付け七丁から一三丁表まで)。「国尽」は五畿七道毎に国名とその州名を列挙したもので、「名字尽」は「伊藤、板垣、稲葉、生嶋…」から「…菅屋、諏訪、角岡、末武」までの名字一三七氏を列挙したもの。それぞれ本文を大字・五~六行・付訓で記す。〔小泉〕
☆ひつようぶんりんふうきぞう [増補項目-0132]
筆用文林富貴蔵∥【作者】礒島玉照子作。【年代】元文三年(一七三八)刊。[京都]長村半兵衛ほか板。【分類】消息科。【概要】大本一冊。消息用語(類語)や書簡作法などの豊富な関連知識を伴う用文章。現存本には数丁の落丁があるが、表紙見返しの目録によれば、収録書状は「年始につかはす書状」から「家督継たる人へ遣状・同返事」までの六一通(四季折々の手紙や吉凶事、諸用件の手紙等)で、本文を大字・五行・付訓で記す。巻頭に「硯筆の始」「十二月異名」等の記事を載せ、頭書には極めて多くの類語(書簡用語)を掲げるほか、巻末に「同意書替上下の品」「証文手形之案紙品々」「書札文字つかひ高下」「進状脇付高下」「返状脇付高下」「苗字づくし(イロハ引き)」「世話難字づくし(イロハ引き)」「月の異名」「一字月のいみやう」「毎日のいみやう」「五節供のいみやう」「七十二候」「十干異名」「十二支いみやう」を付す。〔小泉〕
☆こうばいようぶんしょうたいぜん [増補項目-0133]
紅梅用文章大全∥【作者】并河呂焉原作。潜竜子編(増補)。菅沼洲書。【年代】享和元年(一八〇一)刊。[江戸]前川六左衛門板。【分類】消息科。【概要】大本一冊。寛保元年(一七四一)頃作『紅梅用文章顕徳大成』†の増補・改題本。まず巻頭に「幼童手習教訓」「弘法大師御伝」「三皇仮名本紀」を増補し、続けて『紅梅用文章顕徳大成』と同じ「南膽部州大日本国尽(日本国尽)」を掲げるが、同記事末尾にあった筆耕・菅沼氏の識語を丸々削除した。続く本文では『紅梅用文章顕徳大成』本文の前に「呈書(うえつがた)之年始状」から「京・大坂問屋江初荷注文状」までの五通を、また末尾には「婚姻之歓状」から「商人諸品注文状」までの五通を増補し、それぞれの頭書にも「和語童蒙訓」「和漢能書の事」「本朝能書の三筆」「本朝能書の三蹟」「唐土の三筆」「物の数書様の事」「伊勢斎宮の忌詞」(以上前半部)、および「書初詩歌(数編)」「楠正成金剛山壁書」「手習教訓状」「書翰認方の事」が増補された。なお、増補・改訂に際し、原作者および筆耕者の氏名は削除され、編者の氏名のみが記された。〔小泉〕
☆たいそうか [増補項目-0134]
〈生徒必携〉体操歌∥【作者】鈴木重義作。【年代】明治一九年(一八八六)刊。[東京]吉沢富太郎蔵版。小林喜右衛門ほか売出。【分類】教訓科。【概要】小本一冊。「体操歌」「伊呂波歌」「和魂の歌」の三編を収録した小本の活版和装教科書。題言に「此書は我邦中古の今様歌に倣ひて普通の詞に綴りなし、学齢児童をして之を謡はしめて薫陶涵養、不知不議(しらずしらず)も善道に導き入れんとての所為なり」と記す。体操歌は「進めや進め皆すゝめ、活溌堅固の躯と為すは、そも体操の術にあり、進めや進め皆すゝめ」で始まる一〇番までの歌。「伊呂波歌」は「(い)一日休めば一日の、損は生涯かへらぬぞ、雨をも風をも厭はずに、かならず勉強致すべし」以下四七編の歌。さらに「和魂の歌」は「日本男児の真情を、地球のうへに輝かせ…」で始まる全三編の歌。〔小泉〕
☆かいかしょうばいおうらい [増補項目-0135]
〈新刻〉開化商売往来∥【作者】鶴田真容編。【年代】明治一二年(一八七九)刊。[東京]児玉又七板。【分類】産業科。【概要】異称『開化商売往来』。小本一冊。「凡勧商売買取扱文字之大概、先第一両替通用之金銀銅貨・紙幣・洋銀、国立銀行為替局証券、印紙請渡、注文、仕切、当座帳、仕入、出納、算用帳勘考、点検無懈怠…で始まる」全編一通の文章で、雑穀類、金石類、各国発明品および器械、商社・問屋取引、飲食類、家財、布帛、染色、薬種・薬品、魚鳥獣、草木、乾物・青物等を列挙し、最後に商家子弟の心得を説いて、天道を恐れて慎身勉強する者はついに「富貴繁栄、子孫永昌之瑞相」となるだろうと結ぶ。本文をやや大字・六行・付訓で記す。また、見返しに「諸物斤目表」を掲げる。〔小泉〕
☆めいぶつづくし [増補項目-0136]
〈大日本〉名物尽∥【作者】不明。【年代】安政三年(一八五六)刊。刊行者不明。【分類】地理科。【概要】異称『大日本めいぶつづくし』『日本国尽并名物』。小本二巻二冊。五畿七道の各国毎に名物を列挙し、四色刷りの図解を施した小型絵本風の往来。なお、上下巻の表紙は多色刷りの続き絵になっている。〔小泉〕
☆てならいようぶんしょう [増補項目-0137]
手習用文章∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。[京都]堺屋儀兵衛ほか板。【分類】消息科。【概要】横本一冊。「年始披露状」から「歳暮祝義状・同返事」までの六六通を収録した用文章。全体としては四季の手紙を核としながら、その随所に諸用件の手紙や通過儀礼に伴う祝儀状その他を挿入する配列となっている。本文を大字・七行・付訓で記す。また、巻頭に「年中時候之詞」、裏表紙見返しに「廻状之式」を掲げる。〔小泉〕
☆きょうくんひゃくにんいっしゅざれえとき [増補項目-0138]
教訓百人一首戯絵解∥【作者】山田佐助(文会堂・久米千寿)作・序。歌川国直(後素園)画。【年代】江戸後期刊。[江戸]山田佐助板。【分類】教訓科。【概要】異称『教訓百首戯絵解』『教訓百人』『田家童蒙教訓百首』。中本一冊。巻末広告に「古今名高き公家・武家・僧俗連俳の達人等のよみおかれし名歌の、をしへとなるべきをあつめし百人一首なり」と紹介するように、「世中の親に孝ある人はたゞ、何につけても頼もしきかな」(荒木田守武)など、先人の著名な道歌一〇〇首を挿絵とともに掲げた往来。なお、本書と同じシリーズの『教訓御代の恩』†が天保一四年(一八四三)に山田佐助より刊行されているため、本書もその頃の出版であろう。〔小泉〕
☆ようぶんしょう [増補項目-0139]
〈年中日用〉用文章∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。[不明]光玉堂板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「年頭状」から「仕切書下し状・同返事」までの四四通を収録した用文章。概ね五節句・四季の手紙、通過儀礼等吉凶事に伴う手紙、諸用件の手紙の順に収録し、各例文を大字・五行・付訓で記す。巻頭に「年中時節案文」、巻末に「月之異名」「十幹十二支」「片仮名イロハ」を掲げる。〔小泉〕
☆てがたしょしょうもん [増補項目-0140]
手形諸証文∥【作者】不明。【年代】文化一三年(一八一六)再刊。[江戸]柴屋文七ほか板(天保三年(一八三二)求板)。【分類】消息科。【概要】異称『手形諸証文案書』。中本一冊。「御関所手形書様」から「跡式譲状」までの一九通を収録した証文文例集。本文を大字・六行・所々付訓で記す。なお、巻頭に「名頭字」(頭書に「吉書始(かきぞめ)」「七夕詩歌」を掲載)を収録する。〔小泉〕
☆じつごきょう・どうじきょうこうしゃく [増補項目-0141]
〈実語教・童子教〉講釈∥【作者】不明。【年代】嘉永四年(一八五一)刊。[江戸]山口屋藤兵衛ほか板(後印)。【分類】教訓科。【概要】異称『実語教絵抄・童子教絵抄』。中本一冊。『実語教・童子教』†の頭書絵入り注釈書の一つ。『実語教・童子教』本文を大字・五行・付訓で記し、その大半の語句について、頭書に挿絵を交えた略注を施したもの。〔小泉〕
☆おいえようぶんしょう [増補項目-0142]
御家用文章∥【作者】花悦堂編・跋。【年代】江戸後期刊。[江戸]須原屋平助(遠藤平左衛門・花悦堂)ほか板。【分類】消息科。【概要】異称『日用重宝早引文章』。中本一冊。文化一〇年(一八一三)刊『二番用文章万両箱』(「年頭状之事」から「歳暮祝儀状」までの三七通を収録)の後に「商売往来」を増補した改題本。「消息例文」「商売往来」ともに本文を大字・五行・付訓で記す。また、巻末に「知死期操様」「願成就日・不成就日」等を載せる。〔小泉〕
☆ばんだいようぶんたいぜん [増補項目-0143]
万代用文大全∥【作者】中村翠雲堂・松亭金水書。【年代】明治三年(一八七〇)再刊。[信州]高美屋甚左衛門(慶林堂)板。【分類】消息科。【概要】異称『万代用文章』。中本一冊。天保一四年(一八四三)刊『〈当時通用〉万代用文章』†の求板・改題本。「年頭披露状」から「悔申遣す文」まで七八通と「金子借用証文」~「御関所手形」の一一通の証文文例を掲げる。本文を大字・五行(証文類は六行)・所々付訓で記す。〔小泉〕
☆てがみようぶんしょう [増補項目-0144]
〈御家正流〉手紙用文章∥【作者】不明。【年代】明治初年刊。[東京]木屋宗次郎(小森宗次郎)板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「一月年始状」から「送り状之事」までの合計三一通を収録した用文章。大半が一二カ月の往復文で、末尾に「見本取寄之文」「東京行之文」「貨幣借用之文」「荷物引取之文」「留守見舞之文」「芝居見物之文」「贈り状之事」を付す。本文を大字・五行・付訓で記す。〔小泉〕
☆ちょっとようぶん [増補項目-0145]
〈開化〉一寸用文∥【作者】高橋謙三郎編。【年代】明治九年(一八七六)刊。[東京]奥川留吉蔵板。松村平吉ほか売出。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「年始之文」から「生子を賀する文・右に答る文」までの二四通を収録する。四季の手紙数通のほか紀元節、洋行、勧業博覧会、天長節等の例文を含む。いずれも漢語を多用した例文で、例えば「四序改端万象維新」に「トシガ カハリテ ドコトナクケシキノ アラタナルコト」のように漢語に左訓を施す。本文を大字・四行・付訓で記す。頭書には「手附金請取之証」以下の雛形を集めた「諸証文例」を掲げる。〔小泉〕
☆おんなようぶんしょう [増補項目-0146]
〈明治〉女用文章∥【作者】露村政子作。【年代】明治二二年(一八八九)刊。[東京]杉本書店(杉本七百丸)板。【分類】女子用。【概要】異称『明治女用文章』。中本一冊。笠亭仙果作・嘉永四年(一八五一)頃刊『〈女教〉女用文章袖硯』†の改訂・改題本である明治一四年(一八八一)刊『〈明治小学〉女用文章』†(宮本仲子作)の巻末に、「(小学)女礼式」を増補した女用文章。「年始披露の文」から「年賀悦の文」までの合計四〇通を収録。頭書「女子必要」に「手紙認かた心得の事」「文の封じやう」「色紙短冊其外歌書様」「仮名遣の大旨」「やまとことば」「いろは早引みやび詞注」「歌道早稽古」「女中諸病妙やく」「教訓誰身の上」など実用的知識一二項を掲げるが、これも『〈明治小学〉女用文章』と全く同じで、見出しを「女中必用」から「女子必要」に改めたに過ぎない。〔小泉〕
☆じょしようぶんごせんだい [増補項目-0147]
〈閨秀錦嚢〉女子用文五千題∥【作者】津田房之助(南濤)作。【年代】明治二八年(一八九五)刊。[大阪]矢島嘉平次(矢島誠進堂書店)板。【分類】女子用。【概要】中本二巻二冊。女子消息例文のうち「専ら日常必要のものゝみ」を集め、四季(春・夏・秋・冬)・慶賀・訪問・報知・依頼・招待・雑の一〇部に部類分けした女用文章(活版和装本)。「春之部」は「年始の文」以下二二通、「夏之部」は「新茶を贈る文」以下一六通、「秋之部」は「萩見に誘ふ文」以下一四通、「冬之部」は「冬のはじめ人のもとへ」以下一〇通、「慶賀之部」は「婚姻を祝ふ文」以下八通、「訪問之部」は「病気見舞の文」以下八通(以上が上巻、以下下巻)、「報知之部」は「帰宅を知らす文」以下七通、「依頼之部」は「手伝をたのむ文」以下一一通、「招待之部」は「年賀に人を招く文」以下八通、「雑之部」は「住所を問合す文」以下二六通で、合計一三〇通に過ぎず、書名の「五千題」には到底及ばない。各例文を本文をやや小字・八行・付訓で記す。付録記事も多彩で、上巻巻頭に、四季飲料・四季飯・四季料理献立・料理法等について記した「家事活法」、また上巻頭書に「文を書く心得」「婦女礼式」「茶の湯」「婦女修身」、下巻頭書に「家事経済」「裁縫の事」「女子の守るべき格言の事」などを収録する。〔小泉〕
☆まんたいようぶんしょう/まんていようぶんしょう [増補項目-0148]
万体用文章∥【作者】山田賞月堂作・書・序。【年代】安政三年(一八五六)序。安政四年刊。[江戸]井上氏蔵板、山城屋佐兵衛ほか売出。【分類】消息科。【概要】横本一冊。従来の用文章が「変化自在ならしむるの書」ではないことから、上中下の替え文章(○は上、×は中、▲は下)を付して多彩な表現ができるように試みた用文章。「四季之部(上・下)」「見舞之部」「祝儀之部」「頼事之部」「雑用之部」「商家之部」の六部に分け、「年始祝儀状」から「為替取組状・同略返事」までの二一八通を収録する。本文を大字・六行・付訓で記す。各行の左側に替え文章(上中下の類句)や替え言葉(類語)を細字で注記する(本文が中輩向きであれば、上輩向けと下輩向けを注記)。巻末には「年中時候之詞」「〈真草〉偏冠旁構字尽」「十二月異名」「片仮名伊呂波」「願成就日・不成就日」「十干十二支」を掲げる。〔小泉〕
☆ばんぽうようぶんしょうたいせい [増補項目-0149]
万宝用文章大成∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。[大阪]敦賀屋九兵衛板。【分類】消息科。【概要】異称『増補書札便覧』。半紙本一冊。「年頭祝儀状」から「別家悦状・同返状」までの八三通を収録した用文章。前半が一般的な四季用文や吉凶事または諸用件に伴う例文で、後半に「商人日用懸合之部」と題して「新店商引合(しんみせあきないひきあい)状」以下の商用文を収録するのが特徴。本文を大字・五行・付訓で記す。消息例文集の末尾に「竪文・横文・封文之次第」を掲げ、さらに「借用申金子之事」など一〇例からなる「証文手形鏡」を収録する。目録の頭書に「文章詞」「書状発端上下」「返事上下」「書状書留上下」、また「証文手形鏡」の頭書に教訓文を掲げる。〔小泉〕
☆ぶんかようぶんたいぜん [増補項目-0150]
文化用文大全∥【作者】青木臨泉堂(源至誠)書。【年代】文化一一年(一八一四)頃刊。[江戸]北嶋長四郎ほか板。【分類】消息科。【概要】異称『大全文化用文章』。半紙本一冊。文化一一年刊『文化用文章』†の後半部に「夷講廻状」以下三八通を追加した増補版。うち末尾三通(「正月の文」「おなじく返事」「三月の文」)は散らし書きを含む女文である。増補部分は疱瘡見舞い・火事見舞い・店開き・湯治帰宅祝いなどの吉凶事に伴う例文や、得意引き合わせ・借金主断り・荷物送り手形・田植助け合いなどの諸用件の例文で、前半部同様に本文を大字・五行・付訓で記す。また、増補部分の頭書に「諸国御関所」「日本大川」「大日本国名并郡附」「万物数量字尽」と、「店請状」以下の諸証文文例、「七夕の詩歌」までを載せる。なお、本書の冒頭数通と後半部(増補部分)を抽出した改編本『〈嘉永新版〉大宝用文章大成』†が嘉永三年(一八五〇)に大阪書肆・敦賀屋九兵衛より刊行されている。〔小泉〕
☆しんせんとうきょうようぶん [増補項目-0151]
〈万民宝典〉新選東京用文∥【作者】棚橋広作。【年代】明治二八年(一八九五)刊。[東京]永井俊次郎(崇文堂)蔵板。東生亀次郎ほか売出。【分類】消息科。【概要】異称『改正東京用文』。半紙本一冊。「年始状」から「火災見舞の文・同返事」までの四八通を収録した用文章。四季贈答の手紙文の間に、吉凶事に伴う手紙や諸用件の手紙などを盛り込んで配列する。「麦酒を贈る文」「洋行を告る文」「博覧会同行を促す文」など近代的な話題の例文も散見される。本文を大字・五行・付訓で記し、漢語の多くに左訓も施す。本文後半部は「請取類」「証書類」「願書類」など公文書四〇通の雛形をやや小字・七行・付訓で記す。頭書「本文類語」には要語の類語や例文の言い替え表現等を載せ、続いて「作文要語」「印紙貼用心得」「地所規則ノ略」「建物売買書入規則略」などを掲げる。〔小泉〕
☆じゅうにがつようぶん [増補項目-0152]
〈女童〉十二月要文∥【作者】小川持正作。深沢菱潭書。【年代】明治七年(一八七四)刊。[東京]和泉屋市兵衛(山中市兵衛・甘泉堂)板。【分類】女子用。【概要】半紙本二巻二冊。本書と同年刊行で同一筆者による『〈新撰〉十二月用文』†と対をなすもの。上巻に「新年に入校を賀するふみ」以下一二通、下巻に「宮の下温泉へ誘ふふみ」以下一二通の合計二四通を収録。本文を大字・四行・ほとんど付訓で記す。〔小泉〕
☆じつごきょう・どうじきょう [増補項目-0153]
〈頭書絵抄〉実語教・童子教∥【作者】不明。【年代】元禄年間(一六八八~一七〇三)以前刊。[大阪]作本屋八兵衛(正本屋八兵衛・本屋八兵衛)板。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。『実語教・童子教』†頭書絵抄本の最古本と思われるもの。本文欄に『実語教・童子教』本文を大字・七行・付訓で記し、頭書に本文要語の略注と挿絵を施す。刊年の明らかな類書として貞享五年(一六八八)刊『実語教童子教絵抄』†が知られ挿絵・略注とも概ね同様だが、貞享板は本文要語と頭書略注との対応をイロハの記号で示したいわゆる「イロハ引き」であるのに対して、本書は対応関係を全く示していない。また、貞享板では挿絵が途中から別々の丁にまたがるなど、改編を示唆する箇所がいくつか見られ、その他の体裁や板元の活動時期から考えて、本書は貞享板に先行する可能性もある。なお、貞享板に見られるような「実語教」作者考や「童子教」作者考は本書には収録されていない。〔小泉〕
☆ごせっくおさなこうしゃく [増補項目-0154]
五節供稚童講訳∥【作者】山東京山作・序。歌川国芳・歌川国安・山東京水画。【年代】天保二・三年(一八三一・三二)作・序。天保三~四年刊。[江戸]鶴屋喜右衛門板。【分類】社会科(合巻)。【概要】異称『五節供稚講訳』『五節供稚曹講訳』『五節供稚絵抄』。中本二編八巻八冊。五節句を始めとする江戸の主要な年中行事について、『荊楚歳時記』『公事根元』『民間年中行事』『日次記事』等を参酌しながら童蒙向けに解説したもの。初編に一~五月、二編に六~一二月を記述。江戸・亀井戸辺の隠居「竹才」が近所の女子供を集めて講釈するという設定でストーリーが展開し、例えば正月・松飾りは「正月門松立つる事は、松は千歳、竹は万代を契るものゆゑに、門に立てゝ千代よろづを祝ふなり…」という具合に年中行事の故事来歴を一つ一つ解説し、所々に台詞や短篇小説を盛り込む。「子供衆は退屈をなさるであらうと存じ、取り摘んでお話し申す…」と主人公・竹才に語らせているが、考証的な傾向も強く、「元禄十年の板、鳥居清信が描ける絵本のうちにこの図(雛飾り)あり。今、天保二年より百六十五年になる」といった注書きもしばしば見られる。〔小泉〕
☆はなづくしぶんしょう [増補項目-0155]
〈長雄〉花尽文章〈并書札・唐詩歌仙〉∥【作者】長雄東雲(数楽東雲)・数楽耕想(長雄耕想・桃梁堂)書。【年代】寛政一〇・一一年(一七九八・九九)書・刊。[京都]蓍屋宗八ほか板。【分類】社会科。【概要】異称『長雄花尽文章』。大本一冊。「高砂の尾上の松も色増り、鶴八千代をことぶき、亀は万代の齢ひをちぎる若竹や、四季おりの時を得て、まづ初春は東雲に、わろふゑ顔の福寿艸、咲そめしより久方の、月かつらの色さへて、匂ひも深き紅梅の、さくや椿もおりをたがへず、彼岸ざくらや山桜…」で始まる七五調の文章で、四季の草花の様子を綴った長雄流手本。この「花尽文章」に続く散らし書き消息一通までが東雲の筆で、さらに後半部に耕想筆の書翰文数通と詩歌数編を付す。散らし書きを除き、本文を概ね大字・三行・無訓で記す。〔小泉〕
☆ぶんじゅようぶんしょう [増補項目-0156]
〈御家〉文寿用文章∥【作者】不明。【年代】文化一三年(一八一六)刊。[江戸]丸屋文右衛門板。また別に[江戸]平林庄五郎板(天保五年(一八三四)求板)あり。【分類】消息科。【概要】大本一冊。「年頭祝儀状」から「太々講之状・同返事状」までの二九通を収録した用文章。四季用文、婚礼・出産・旅行・元服・店開き等の祝儀状、および「奉公人世話状」等諸用件の手紙の順に収録する。本文を大字・五行・付訓で記す。巻末には頭書も含め「借用申金子之事」「年季奉公人請状之事」「乳母奉公人請状之事」「店請状之事」など一〇通の証文文例を収録する。そのほか、頭書に「江戸往来」「商売往来」「消息文談三段之書様」を載せる。〔小泉〕
☆じょうぼくさんきょう [増補項目-0157]
〈初学階梯〉墨縄三経∥【作者】不明。【年代】江戸後期書。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。第一「本朝孝経」、第二「本朝仁政経」、第三「君臣本業経」の三部からなる初学者向け教訓書。巻首に「此章者、因愚弟所望、摘経要倉卒馳筆…」と記すが、「某集」と作者は不明である。「本朝孝経」は、「我日神光普照、古今不易而、一天地従開闢以来、一日片時無怠間、事先神、所以為大孝行也…」と起筆して、孝行が古来より最も重視された徳目であり、孝道が「国学の要旨」であり「人倫の元因」であることを諭す。「本朝仁政経」は、「我国政者、正也、直也。正直天心現日神、光照万庶、体大仁矣…」で始まる文章で、神武天皇・日本武尊・仁徳天皇以来のわが国の仁政のあらましを述べ、古代の王政が栄えたのも税率が十分の一を越えない収税法など仁政が実現していたためであると説く。これに続けて、私利私欲の不正な政治を戒めた「虐政経」を付す。さらに「君臣本業経」は、「我国家有君臣之業。君臣有業而后、天下泰平矣…」と書き始めて、君臣の本分や四民の役割などを諭す。本文を楷書・やや小字・八行・無訓で記す。〔小泉〕
☆わかのうらはっけい [増補項目-0158]
和歌浦八景∥【作者】平尾忠兵衛書か。【年代】江戸後期書。【分類】地理科。【概要】異称『和歌名所』。特大本一冊。「或人に誘れ候て、和歌の浦へ参候。先高松の水茶やに、しばしは腰をやすめつゝ、むかふをみれば其むかし、小野小町と業平と、妹背の契りをこめしやま、右はにみゆる布引の、松にかられる藤代や、二番の札所紀三井寺、三国無双の景地なり…」で始まる七五調の文章で、和歌浦八景などの名所の様子を綴った往来。本文を大字・二行・無訓で記す。〔小泉〕
☆べつごじょう [増補項目-0159]
〈御家〉別後帖∥【作者】照岡懿徳書。熊木庸宣跋。【年代】文化一〇年(一八一三)刊。[酒田]熊木金兵衛板。【分類】消息科。【概要】特大本一冊。「別後忽一年余相成候…」で始まる手紙文など準漢文体書簡一一通と、「桜さく遠山とりのながき日をいたづらにすぐるも口おしく候まゝ…」で始まる女文四通を収録した大判の手本。準漢文体書簡は、久しく会わない者へ安否を尋ねる手紙、昨日の馳走に対する礼状、桃李鑑賞の誘引状、松島遊覧への同伴を願う手紙、会読の集いの招待状など私人間の手紙である。また、女文は花見誘引状、五月雨の徒然に一首を贈る手紙、秋の夜長に送る手紙、山里の雪景色をうらやむ手紙など四季の女文で、散らし書きと並べ書きを交互に交えて綴る。本文を大字・三~四行・無訓で記す。〔小泉〕
☆ふじんけいかいしゅう [増補項目-0160]
婦人警戒集∥【作者】信斎作(「愚婦のむかし」)。【年代】享保二年(一七一七)作(「愚婦のむかし」)。延享五年(一七四八)跋・書。【分類】女子用。【概要】大本一冊。「はなむけ草(贐草)」と「愚婦のむかし」を合本した女訓書。跋文に「右此二書、「はなむけ草」は先儒の息女へ給ひし書也。「愚婦のむかし」は信斎先生の姪子の方へつかわされし書なり。よく御覧あれがしとぞんじ候。今此二巻をあわせて『婦人警戒集』と名付侍り」と記すように、本来別々の女訓書を合わせたものである。冒頭に序文にかえて「一筆申上まいらせ候。兼て申入候通、婦人(おんな)の道は丈夫(おとこ)とちがい?(したが)ひ順(したが)ふをもつて自然のみちといたし候…」で始まる文章で本書の由来や心得を述べる。続く「はなむけ草」は、「富る人は宝をはなむけにし、よき人はこと葉を贐にすとなん。我はよき人にもあらず、また、とめるにあらず、何をはなむけにせん…」と起筆して、嫁いでいく娘に生涯の心得となる事柄を聖賢の教えや古歌を引きながら説く。後半の「愚婦のむかし」は、跋文に「姪なる者の今年七才になるが雨の日来りて、むかし語れといゝ侍るまゝ、舌切すゞめの舌の廻らぬむかし語もうるさし、是よみて見よかしとて、反古のうらに終に筆をぬぐいて送り侍り」とあり、末尾に「享保二酉五月十日」と記す。本文は「むかしから国の堯舜の御代には、かしこき教の道有て、位高き人恥有。さむらいは更也。とうふうるおやぢ、茶つむ小あま迄、人の人たる道を知りて父母に孝をつくし、臣としては奉公にかけごなく、兄弟むつまじく、夫婦あい正しく、友だちたのもしく…」と書き始め、数段に分けて、人道、欲、明徳、人倫、分限、孝行、学問・読書、智恵などについて教え諭す。最後に「水はたゝ、器によりて、円くなり、四角にもなる、そのごとく、人も難波の、善あしは、皆習わしに、よる物を、あしき事には、まじはらず、行儀正しく、よき人に、親しみよれば…」で始まる教訓長歌で結んでいる。〔小泉〕
☆しょうやにっき [増補項目-0161]
庄屋日記∥【作者】不明。【年代】文政三年(一八二〇)書。【分類】産業科。【概要】大本一冊。庄屋(名主)の心得を綴った往来物。天保七年(一八三六)書『在郷往来』†、天保一〇年書『庄屋式目写』†、天保一二年書『庄屋往来』†とほぼ同内容の往来だが、現存する類書中では最も古く、本書も文政三年三月に写した旨を記載するため、成立はさらに遡る。まず「抑庄屋之為役義事、忝茂、天皇の御治世、村々邑長を定給ひ、号庄官、又、呼名主。是、其村を所主之名目にして、上従公方・将軍家之台命、国司・領主・守護・地頭之上意、郡代・奉行・代官之仰を蒙、手代衆之指図を受け、相役・年寄・肝煎・組頭・長百姓・後家・鰥寡ニ至迄公辺之厳重成事を申渡、下々有異変時者早速達上聞、御下知之趣披露する職分也」と庄屋の職務から書き始め、日頃から掟類を遵守するとともに『御成敗式目』†その他の往来物や『四書』『五経』を始めとする和漢聖賢の書を学び、修身・正心・始末・倹約に努め、知恵才覚をめぐらして思案・了簡・堪忍の慎みを旨とせよと戒める。以下、具体的な任務として、家督替えや毎年の宗旨改めの際の諸記録や、商人・諸職人の他国出張や参詣・湯治旅行のための関所往来手形の発行、老人・幼少者・病人・貧困者に対する救済措置の出願、勅使・検使・巡見・参勤交代等への対応、交通路および農業施設の普請・整備、検地、新田開発、旱害・虫害対策、年貢皆済、地方全般(算用・貸借関係の用語)、銀方(金納)の運上から小物成までの雑税、神社仏閣への寄進・奉加、凶作時の手当て出願、巡礼願人・浪人・虚無僧等に対する辻札や制禁、違反者への処罰と模範者への褒美、困窮者への支援、公事訴訟の解決、役人衆への挨拶・祝儀、諸会合での倹約の心懸けまでを述べ、最後に、昨今の庄屋風俗が「文盲愚妹」で、神明を恐れず私欲に耽るなど「慳貪邪見の行跡、横柄過言の族」が多いことを批判し、仁義礼智信の五常を守り、上には忠功、下には慈愛を心懸け、正直・清廉、公平無私に徹する庄屋こそが、子々孫々まで富貴繁栄するであろうと締め括る。文政三年写本は、本文を大字・四行・無訓で記す。〔小泉〕
☆なんとふ(なんとのふ) [増補項目-0162]
〈法帖〉南都賦∥【作者】日野智誉●(穴+呆)書。【年代】文政六年(一八二三)書。【分類】地理科。【概要】横本一冊。「あをによし奈良の都は御さふらい、三笠山の麓也。元明天皇和銅二年、藤原のみやより此京に移さる。大宮殿・大仏殿仏神を崇めて王法を輔く…」と起筆し、東大寺・興福寺を始めとする名所旧跡を、あるいは「手向山は菅家の紅葉を詠じ、武蔵野に業平の若草をよむ」、あるいは「西大寺の豊心丹・法論味噌・力饅頭・なら漬・奈良酒・なら団扇・墨曝…」のように故事来歴や名物にも触れながら紹介し、最後に「…夏冬の朝起、春秋のなりはひ、諸国に勝れ、諸人にこえたり。是皆旧都の有難き遺風なるべし」と結ぶ。文政六年写本は本文をやや大字・八行・所々付訓で記す。文化一四年(一八一七)書『奈良名所』†と冒頭部が似るが全くの異文である。〔小泉〕
☆ばんぽうようぶんしょう [増補項目-0163]
〈文久新刻〉万宝用文章∥【作者】探花房作・序。【年代】文久元年(一八六一)刊。[金沢]近岡屋八郎右衛門(翰玉房)板。【分類】消息科。【概要】異称『〈商家日用〉万家用文章』。中本一冊。文久元年刊『〈新撰絵入〉万宝用文章』†の増補版。「年始状」から「仕切銀遣す状・同返事」までの消息文例三四通を収録した用文章。四季用文、通過儀礼に伴う祝儀状、商用文等から成る。本文を大字・五行・付訓で記し、所々に挿絵を入れ、稀に四季時候の言葉や書札礼等の注記を付す。前付に「三六(みろく)之図(書札寸法三六之矩之事)」、巻末に「年中時節案文」「端書高下」「返事端書高下」「書留高下」「御之字高下」「殿之字高下」「様之字高下」「目録之式」「十二月異名」「十幹之図・十二支之図」を掲げる。〔小泉〕
☆かいかおんなようぶん [増補項目-0164]
開化女用文∥【作者】探花山人(近八郎右衛門)編。【年代】明治一九年(一八八六)刊。[金沢]近八郎右衛門(探花書房)板。【分類】女子用。【概要】異称『〈開化〉女用文〈附、頭書女の心得〉』。中本一冊。「新年の文」から「時候見舞の文」までの消息文例一三通を収録した女用文章。四季時候の手紙が大半で、婚礼・移転・出産等の祝儀文を含む。本文をやや大字・七行・付訓で記す。また頭書に「衣裳の正字尽」「平生女こゝろ得」「大和ことば」「化粧道具(語彙集)」を掲げる。〔小泉〕
☆つうぞくてがみ [増補項目-0165]
通俗手紙∥【作者】文友(思明)書。【年代】江戸後期(天保七年(一八三六)以前)刊。刊行者不明。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「年始ニ遣ス状」から「大水見舞状」までの四三通と、「荷物送状之事」から「差上申手形之事(通行手形)」までの商用文書・証文類四通の合計四七通を収録した用文章。本文を大字・四行・概ね付訓で記す。巻末に「衣服織物類(衣類織物字尽)」を付す。なお、小泉本に「天保七丙申年」の書き入れがあるため、それ以前の刊行であろう。〔小泉〕
☆はがきようぶん [増補項目-0166]
はがき用文〈暦の中段・漢語早分り〉∥【作者】海瀬重固編。【年代】明治二五年(一八九二)刊。[東京]岡田庄兵衛(文真堂)板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「年始之文」から「芝居誘引之文」までの消息文例三七通を収録した用文章。文字通り「はがき」用の短文ばかりを集め、概ね、吉凶事または諸用件・商用の文例である。本文をやや小字・八行・付訓(所々左訓)で記す。また巻頭に両点付きの漢語集「漢語早分り」や、暦注である「暦中段」を掲げる。〔小泉〕
☆きゅうりつう [増補項目-0167]
窮理通(初編)∥【作者】尾形一貫作・序。【年代】明治五年(一八七二)序・刊。[東京]鈴木喜右衛門(文苑閣)板。【分類】理数科。【概要】異称『究理通』。中本二巻二冊。海外の窮理学書(底本は不明)から抄出した内容を「専ら日本通俗の語を以て」綴った図解入り初歩教科書。空気・水・物質の混淆、引力、鈍勢、空気・気体、圧力、気圧・風、水圧、液体、機械力、梃子・滑車、物体、重心・重力、窮理学の意義、液体・固体・気体、物体と分子、気候、運動等の原理を平易に説く。本文を小字・九行・付訓で記す。なお二編以降の刊行については未詳。〔小泉〕
☆じょしおうふくようぶん [増補項目-0168]
女子往復用文∥【作者】前川柳子編・序。【年代】明治三一年(一八九八)序・刊。[大阪]田中太右衛門(田中宋栄堂)板。【分類】女子用。【概要】中本二巻合一冊。活版和装本。四季門・慶賀門・訪問・誘引門・報知門・依頼門・招請門・報謝門・雑事門の九門別に例文を集めた女用文章。各門にはそれぞれ「新年の文」以下七二通、「入学を祝ふ文」以下二〇通、「安否を問ふ文」以下一七通、「劇場に誘ふ文」以下六通、「転宅をしらす文」以下八通、「仕立物を頼む文」以下二〇通、「友を招く文」以下二二通、「馳走になりし礼文」以下八通、「規則書を借に遣す文」以下一三通の合計一八六通を収録する。各例文には、旧来通りの「雅文」とともに、「今様文」の例も掲げる。本書で言う「今様」とは、男子が用いる準漢文体に似た文章だが「少しく文章を堅くするのみにて、その言の如きに至ては猶ほ婦女体に倣ふもの」である。一例を挙げれば、雅文で「此品珍しからぬ物ながら、例に任せ御祝言のしるしまでに進じ申候」とするのに対して、今様文では「此品粗末之至ニ候へども、例年之通り進じ上候」としている。本文をやや小字・八~一〇行・付訓で記す。頭書に「文を書く心得の事」「文を書くに心して書くべき事」「文の心ばへの事」「文の詞づかひの事」「人の文に心を留めて見るべき事」「人に物を贈るときの文」を始めとする書簡作法や、「婦女修身の事」「家事経済」「奉公人の使ひ方」「婚姻の事」「懐妊中の心得」「分娩後の心得」「乳養の事」「乳母及傅婢の心得」「婦人の品定」「仮名づかひ」「八品詞」を収録する。〔小泉〕
☆いろはうたきょうくんかがみ [増補項目-0169]
〈童子重宝〉以呂波歌教訓鑑∥【作者】清林堂隠士作・跋。【年代】江戸後期刊。[京都]美濃屋平兵衛ほか板。【分類】教訓科。【概要】中本一冊。教訓歌各首の第一音がイロハ順になるように配列した、いわゆるイロハ教訓歌の一つ。巻頭口絵に「忠孝教訓図」と「忠孝教訓歌」を掲げ、以下、イロハ順に「いつまでもたしなみおけよいろはうた、よむたびごとにみのとくとなる」とか「ろもかいもいらずにわたるよはたりを、わたりかねたるみこそかなしき」。などの教訓歌四八首を挿絵とともに掲げる。作者跋文に「此書は、いろはうたを以て、児童のをしへ専ら忠孝の道に先引入のもと主となる。おのづから善にすゝむるのじゆつなりとしかいふ」とあるように、主に忠孝に即した心得を説いたもの。〔小泉〕
☆なんこうごきょうくん [増補項目-0170]
楠公御教訓∥【作者】不明。【年代】明治初年刊か。刊行者不明。【分類】教訓科。【概要】中本一冊。楠木正成の教訓に堅くして綴った俚諺・教訓歌集。まず「固きことを好まず、和らかなることを手練せよ」「物を広く知らんより、一字を忘るな」「極楽を願はんより、地獄を作るな」「穢れを忌まんより、耳目を物にうばゝるな」「褒(ほま)れを求めんより、譏(そしり)をいとへ」「立身を思はんより、御恩をわするな」「人を頼みにおもはんより、我そなへをたてよ」「足ることを知て、及ばぬことをおもふな」のような俚諺六五種を列挙し、続いて「古人のよまれし道歌を思ひいづるにまかせしるしぬ」として、「仁と義とゆうにやさしき大将は、火にさへやけず水におぼれず」から「もろこしの二十四孝も外になし、只はいと心やしなへ」までの教訓歌(道歌)一二首を掲げる。本文を大字・六行・概ね付訓で記す。〔小泉〕
☆きょうそくおうらい [増補項目-0171]
教則往来∥【作者】鶴田真容作。【年代】明治一二年(一八七九)刊。[東京]小森宗次郎板。【分類】社会科。【概要】中本一冊。明治六年(一八七三)刊『〈童蒙〉教則往来』†とは別内容。主として東京における公民の心得や社会全般に関する語彙を集めた往来。「抑教之有増者、人々心得有るべき事、先以四海波静にして治まれる聖代に日夜朝暮三綱五常之道を行、国民安寧・五穀豊饒之御政体不浅。春夏秋冬戴き、寒暖陰晴雨露風霜之恵、山林竹木万花千草に至るまで不違其時、遊軒鶏は国土之昇平を唱ふ」と起筆し、国家泰平に関する語句を列挙し、続いて、公民としての学問・心得また遊興への戒め、貸借、暴力・犯罪、処罰・裁判・処刑、区員(公務員)心得、東京府および周辺諸国の名所・名物、東京湾の水産物や漁業の様子、東京府下の繁華街や諸事件、種々の疾病と治療・医療、身体各部の名称、衣類等の語彙を書き連ね、最後に「其他可受検査条件は、続編に書綴るべし」と続編の刊行をほのめかして擱筆するが、続編は未刊か。本文をやや大字・六行・付訓(稀に左訓)で記す。〔小泉〕
☆しょうばいおうらい [増補項目-0172]
〈天野先生〉商売往来(仮称)∥【作者】天野某作・書。【年代】弘化三年(一八四六)書。【分類】産業科。【概要】折本一帖。諸商売と商人心得を綴った往来。「商売之躰者、其品多けれど、先その大略すこし挙候」と書き始め、続いて「呉服・太物・紙屋・茶屋」「書肆・薬屋に鉄物屋」「茶碗・鉢屋に膳椀屋」「酒造・肴屋・菓子所」のように各行ほぼ七五調で諸商売を列挙した後、正路・和順・家業出精等に触れ、さらに「都而(すべて)商家之輩者、朝は一同早起つ、門戸を開き見世店の、掃除叮嚀水を撒、看板簾帷布簾等、洒々と見付の安排し、帳場売場に勘定場、元〆買物佐方、職方仕入吟味せよ、番頭手代調布迄、律儀篤実神妙に、得意者勿論振掛り、只一見之客とても、慇懃丁寧応答、烟草愛相世事を能、押柄らしき挙動は、家内一統禁じ置…」と開店準備や顧客接待、売買決裁・商取引・相場などの状況における商家従事者の心得を綴る。後半では問屋業者の心得として、諸国からの荷主等を疎略にせず、一定額の口銭以外の利を貪らず、諸品価格の変動を必ず書面で伝えることなどを述べる。識語に「御医天野先生書」と記す。〔小泉〕
☆てがみのぶん [増補項目-0173]
〈御家〉手紙之文∥【作者】臨泉堂書。【年代】江戸後期刊。[江戸]丸屋文右衛門(文寿堂)板。【分類】消息科。【概要】小本一冊。前半部「諸状案文」と後半部「手形証文」を合綴した用文章。「年始之文」から「帰国之上土産配る文」までの消息例文三八通と、「店請状」から「御関所通手形」までの証文文例一四通を収録。本文を大字・五行・所々付訓で記す。見返に「二十四孝」のうちの車胤・孫康の図を掲げ、巻末に「諸国御関所附」を載せる。なお本書と同内容の異称本に江戸後期刊『一筆啓上』†(藤屋棟助板)がある。〔小泉〕
☆しょしょうしょぶんれい [増補項目-0174]
〈開化〉諸証書文例∥【作者】鶴田真容作。【年代】明治一二年(一八七九)刊。[東京]杉浦朝次郎(品川屋朝次郎)板。【分類】消息科。【概要】異称『開化諸証書文例』『開化証文』。小本一冊。刷り表紙とも一二丁の袖珍本で、諸物受取証・荷物送り状・荷物請取証・為換手形・売買約定証・預り金証・金子借用証・地所田畑書入証・雇人請状の九通を収録した証文例文集。本文をやや大字・五行・付訓で記す。〔小泉〕
☆じんぎれいちしん [増補項目-0175]
〈修身図絵〉仁義礼智信∥【作者】服部応賀(万亭)作・序。【年代】明治一七年(一八八四)序・刊。[東京]木村文三郎板。【分類】教訓科。【概要】中本二巻二冊。金言名句や俚諺、教訓歌等を多数の挿絵とともに掲げた童蒙向け教訓書。自序によれば「四民近く道を求る便に諸史の句章、百家の古歌を撰み、私意と図画を加えし」ものという。巻頭に「日本神代の文字(阿奈以知四十七文字・阿奈以知五十音)を掲げ、以下、「忠孝」「治国の三要」「人身の十楽」「読書の三注意」「農家の三要」「人心の反対」「親子の誤」「商家主人の四要」「晴天に傘を製す」「人畜の区別」(以上、上巻)、「商店の五要」「家作の六要」「保身の十掟」「善悪の出脚」「蔬食の三益」「家僕の五順」「男子の三要」「女子の五要」「医者の三義務」「人心の欲城」「童の十禁」「心気の区別」「四蟲の長」「学海の順風」などの幼童訓・処世訓を説く。〔小泉〕
☆じんたいもんどうずかい [増補項目-0176]
人体問答図解∥【作者】内田尚長編。【年代】明治一〇年(一八七七)刊。[堺]後藤輯板。【分類】理数科。【概要】横本一冊。人体の上部・中部・下部に分けて、それぞれ身体各部の名称を問答形式で教え、図解を示した初歩教科書。例えば「上部」冒頭は「問:人体ノ外部ニ就テ大別シタル名称ヲアゲヨ」「答:三部ニ分ツテ頸ヨリ上ヲ上部トシ、胸ヨリ腹背ヲ中部ト云ヒ、腰ヨリ下ヲ下部ト云フ」のような問答とともに三部の図解を施す。続いて、首・頂・脳髄・頭蓋・頭皮・後頭・額・眉・目・鼻・口・腮・眼球・白膜・虹彩・瞳・眼瞼・睫・眉・耳等々の名称を順々に紹介する。本文をやや小字・一三行・付訓で記す。〔小泉〕
☆りょうてんはやじびき [増補項目-0177]
〈改正増補・以呂波分〉両点早字引∥【作者】不明。【年代】明治初年(明治四年(一八七一)以前)刊。[東京か]三光堂板。【分類】語彙科。【概要】異称『早字引』。中本一冊。各種語彙集の「早字引」に、消息例文等の「用文」を付した往来。冒頭に「秦十体始難字尽」「いろは文字片仮名」「改正偏冠構字づくし」を掲げ、本文にイロハ引きの両点付き日用語集を収録する。この日用語集は第一音のイロハ別に語彙を集めたもので、例えば、「い」部には、「隠居(いんきよ/かくれいる)・意趣(いしゆ/こゝろおもむき)・晩鐘(いりあひ/ばんのかね)・因縁(いんえん/ちなみゑにし)・威光(いくわう/おどすひかる)・忌明(いみあけ/きめい)・慇懃(いんぎん/ねんごろ)…」のように合計二三語を掲げる(イロハ四八字(京を含む)全体で合計一一〇四語を収録)。後半の「用文」には「年始状」から「悔之文」までの消息文例一四通と、「借用申金子之事」から「りゑん状之事」までの証文文例一〇通の合計二四通を収録する。また「用文」部頭書には、いわゆる『消息往来』†中の要語を解説した「四民日用要文講釈」を付す。さらに、裏表紙見返しに「七通り」と題して、離縁状の理由文言の例を掲げる点は特徴的である。なお、小泉本に明治四年に購入した記載があるため、それ以前の刊行である。〔小泉〕
☆しゅうぎょくようぶんしょう [増補項目-0178]
〈商人日用〉袖玉用文章∥【作者】溝江小笠斎書。【年代】江戸後期刊。[大阪]河内屋平七板([江戸]文好堂初板)。【分類】消息科。【概要】異称『〈商家至宝〉袖玉用文章』。中本一冊。「年始之文」から「豊作祝ゐ之文」までの三九通を収録した用文章。概ね前半が四季行事に関する例文、後半が吉凶事に伴う例文になっている。本文を大字・五行・付訓で記す。目次上欄に「篇冠字尽」、また巻末に「年中時候案文」、裏表紙見返しに「片仮字」を掲げる。〔小泉〕
☆きょうくんうたいしゅう/おしえうたあつめ [増補項目-0179]
教訓謡集∥【作者】柴田花守作。秋永梅軒校。篠崎訥堂(四竈)跋。【年代】明治一九年(一八八六)刊。[東京]柴田礼一板。【分類】教訓科。【概要】横本一冊。外題に「一」と明記するが、1冊のみの刊行か。明治初年に『幼童訓』や『手習女訓』などの往来物を著した柴田花守がいくつかのテーマ毎に詠んだ教訓歌(例えば「人は先あさはやおきてみをきよめ、もとのちゝはゝをがみつゝ」など)に、近代邦楽の作詞・作曲家である篠崎訥堂が曲(全て同じ曲)を付けた往来物。音曲と教訓歌を結びつけたのは、児童の情操教育に音楽が有効であることに着目しての試みであったことが跋文などから読み取れる。「生立」「教導」「五倫」「鰥寡孤独」「花実」「穀物」「養蚕」「住居」「婚姻」「誕生」「年賀」「霊送(みたまおくり)」「霊前」「天長節」「新嘗祭」「皇霊祭」「神地固」「三孝」等々について概ね八首ずつの教訓歌を掲げる。日常卑近かつ生涯に関するテーマで道歌を詠み、音楽を通じて心に深く刻む早い試みとして重要である。〔小泉〕
☆てんさくじんこう [増補項目-0180]
天作人工(一篇)∥【作者】?(缶+并)城子編。【年代】明治初年刊。[東京か]近藤圭造蔵板。[東京]雁金屋元吉ほか売出。【分類】理数科。【概要】中本一冊。音声・風・熱・力・光などの原理を記した物理学の初歩教科書。「音声を分つに付、喉と耳とは天然の音楽器械なる事を論ず」「声は物に当りて響くより生ずる事を論ず」「声の回響は極て速かなることを論ず」「海上にて大風に逢たる時危難を免るべき理を論ず」など一三項について、所々図解を交えながら解説する。本文をやや小字・九行・付訓で記す。見返し等に「第一篇」と記すが、二編以降の刊行は未詳。〔小泉〕
☆いっぴつしょじょう [増補項目-0181]
一筆書状∥【作者】不明。【年代】安政四年(一八五七)刊。[江戸]松坂屋金之助板(慶応元年(一八六五)再刊)。【分類】消息科。【概要】異称『諸用文通』。中本一冊。目録題に「諸用文通」とあり、題簽題と異なるほか、収録内容にもかなりの異同があるため、先行書『諸用文通』の改編版と思われる。慶応元年再刊本は、「年始状」から「貴人御着御祝儀状」までの準漢文体書簡五六通を収録した用文章(本文を大字・四行・所々付訓で記す)で、凡例に「十二ヶ月の異名、或は証文等末へ出して…」と記すが、該当する記事は見当たらない。さらに、本文後半部には安政(一八五四~六〇)頃刊『〈書状案文・手形証文集〉いろは字引』†とほぼ同内容の記事を収録する。すなわち本文欄には、二字熟語をイロハ順にそれぞれ一五語~一九語ずつ載せ、各語彙に音訓(両点)を付した「〈改正〉両点早引節用集」、またその上欄に、消息に多用する語句(「消息往来」中の語彙)を集めて略注を施した「四民要用熟字尽講釈」を掲げ、さらに「毎月時候之書様」など若干の書簡作法を半丁掲げた後、本文欄には御関所手形から離縁状まで一二通の証文類文例、その上欄に「商売往来」および「地面譲渡一札之事」を収録し、裏表紙見返しに「手紙書やう」等を掲げるが、その冒頭行に「名乗字、終」とあり、明らかに別本の刊記を流用したものである。目次と本文が一致しないなど全体的に不備が多く、海賊版の一種と考えられる。〔小泉〕
☆ようぶんべんらん/ようぶんびんらん [増補項目-0182]
〈御家〉用文便覧∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。刊行者不明。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「年始文」から「家督怡文」までの消息文例二六通と、「店請状」から「差上申手形之事(関所手形)」までの証文文例五通を収録した用文章。本文を大字・五行(証文類は六行)・付訓で記す。消息例文は四季時候に伴うものがほぼ半分を占め、ほかに、諸用件・吉凶事に関する例文を載せる。証文類文例に「日本橋」と出てくるため江戸またはその周辺での出版か。〔小泉〕
☆どうじせつようしゅう [増補項目-0183]
童子節用集〈両点字尽〉∥【作者】不明。【年代】明和七年(一七七〇)刊。[江戸]村田屋治郎兵衛(栄邑堂)板。【分類】語彙科。【概要】異称『〈両点〉節用集』。中本一冊。元禄(一六八八~一七〇三)頃刊『節用集〈両点〉字尽入』†の本文のみを抽出して付録記事を改めた改編版。「稲光・稲荷・異国・陰陽・一周忌・市場・晩鐘(いりあい)・生見玉・従弟・妹・医師・音信…」で始まる、イロハ引き語彙集で、本文を大字・五行・付訓(語彙の左右に音訓を施した両点形式)で記す(割注等は一切なし)。ただし、末尾「京」の部を「師九陌・横竪小路・一条・正親町・土御門…」で始まる「京町尽」にする。巻頭に「天満宮略縁起」「士農工商」、巻末に「不成就日・願成就日」「十干事」「十二支」を掲げる。なお、本書の改題本に江戸後期刊『〈両点〉節用集』†がある〔小泉〕
☆どうもうじづくし [増補項目-0184]
童蒙字尽(仮称)∥【作者】不明。【年代】寛永二一年(一六四四)刊。[京都]さうしや(草紙屋)太郎左衛門板。【分類】語彙科。【概要】中本二巻二冊。最初の書目である『寛文年間書籍目録』等から本書は『童蒙字尽』であると考えられる。上巻には、①「平安城東西南北町小路之字尽」(「一条通・中立売・土御門・新在家・出水・下立売…」以下、北から順々に洛中の地名を列挙したもの)、②「洛外名所字尽」(「祇園・八坂・霊山・丸山・音羽滝・清水寺・相坂…」以下、洛外の地名集)、③「名木之字尽」(「松・杉・銀杏・黄楊(つげ)・梛(なぎ)・樫・五葉松…」以下の樹木名)、④「草木のな」(「羊躑躅(いわつつじ)・萩・花薄・桜・梅花・牡丹花・鳳仙花…」以下の草木名)、また下巻には、⑤「坊主名字尽」(「常味・浄徳・春西・清珍・道意・慶入・照林・正庵…」以下の僧侶名)、⑥「名字尽」(「今河・内藤・近藤・伊藤・斉藤・安藤・池田・益田・増田・鈴木・山名・細川…」以下の名字)、⑦「魚之字尽」(「鯉・鮒・?(うなぎ)・鯰・鮎・鱸・鯛・鱒・鰤・鮭・鯨鯢(くじら)…」以下の魚名)を収録する。いずれも本文を大字・五行・付訓で記す。なお、上巻末・下巻末ともに刊年と板元名を明記する。〔小泉〕
☆のうかいまがわなぞらえじょう/のうかいまがわじゅんじょう [増補項目-0185]
〈新撰〉農家今川准状∥【作者】寺井義道作。【年代】明治一二年(一八七九)刊。[東京]小森宗次郎(紅木堂)板。【分類】産業科。【概要】中本一冊。『今川状』†形式で綴った農民子弟用の教訓科往来。「一、時候を辨(わきまえ)ずして農家終に豊作を不得事」で始まる全一八カ条と後文からなる。時候を弁えること、威し銃・猟銃のルールを遵守すること、地租を重んじること、国家の方針や布告を遵守すること、雑税類を未納しないこと、神社仏閣や祭礼を大切にすること、正道で村を治めること、役人等の巡回に無礼を働かずに協力すること、豊年の時に凶作を心掛けること、先祖伝来の家風も時勢に応じて改めること、些細な事から妄りに訴訟を起こさないこと、種物や肥料などの準備を心掛けること、他人の樹木・土地を侵害したり穏田を設けないこと、夜更かし・酒宴・遊興によって朝寝をしないこと、博奕や賭け事をしないこと、分不相応の衣服を身につけないこと、迷い人への案内を行うこと、雇用者を大切にすることを箇条書きで示し、さらに、一年の農作業の順序に従って必要な事柄(農事・農業用語・農家心得等)を述べて締め括る。本文を大字・六行・付訓で記す。〔小泉〕
☆しょうばいおうらい [増補項目-0186]
〈大坪泰平著・増字両点〉商売往来∥【作者】大坪泰平作。【年代】明治一一年(一八七八)刊。[富山]守川吉兵衛(聚星堂)板。【分類】産業科。【概要】異称『〈両点増字〉商売往来』。中本一冊。堀流水軒作、元禄七年刊『商売往来』†の明治期改編版の一つ。附言によると、従来からの『商売往来』は、「世ノ変革ニ随テ文字ノ遺漏無ニ非ズ」という状態のため、「日用中ノ要字」を諸書に求めて頭書に補ったものという。本文は元禄板とほとんど同様のものを大字・四行・付訓で記すが、各行に小字・楷書・付訓の本文を添えた真草二体形式にする。また、頭書には、貨、度、田度、量、器財、穀菜、飲食、味、布帛、衣服、色、草木、器財、金石、器財、果実、獣類、魚類、鳥類、人倫、学術、弄器、居処の二三類に分けて、当時の日用語を数多く掲げる。〔小泉〕
☆しょがくようぶんばんぽうぞう [増補項目-0187]
〈寛政新版・年中〉初学用文万宝蔵∥【作者】不明。【年代】天明九年=寛政元年(一七八九)刊。[江戸]榎本吉兵衛板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。小泉本は冒頭数丁を欠くため一部不明だが、一丁に二、三通の例文を掲げるため全体で三五通前後を収録すると思われる用文章。小泉本では四丁裏「元服したる人へ遣状」から末尾の「歳暮ニ遣す状・同返状」までを収録する。本文を大字・六行・付訓で記す。頭書には「隅田川往来」「隅田川八景」「試筆詩歌・七夕詩歌」を掲げる。〔小泉〕
☆じんたいもんどう [増補項目-0188]
〈松川半山著画・小学画引〉人体問答∥【作者】松川半山作・画。【年代】明治九年(一八七六)刊。[大阪]梅原亀七蔵板。前川源七郎売出。【分類】理数科。【概要】異称『〈小学画引〉人体問答』『画引人体問答』。中本一冊。五体四肢・五臓六腑など人体各部の名称を図解を交えて略解した初歩教科書。全六章に分けて、第一章は「人・人体・頭骨・人体骨数…」以下、人体全体と頭部の要語、第二章は「胴・胸・脇肋(あばら)・肩…」以下、胴体の要語、第三章は「四肢・上肢・手・肱(かいな)…」以下、上肢の要語、第四章は「脚・腿(ふともも)・●(辨-リ+月、うちまた)・膝…」以下、下肢の要語、第五章は「五臓・六腑・肝・心…」以下、内臓の要語、第六章は「五官・視官・聴官・味官…」以下、身体機能等の要語をそれぞれ収録する。要語を大字・四行・付訓(左訓)で記し、各語について三行の割注と図解(一部割愛)を施す。例えば冒頭の「人」については「ヒト・ジン」と読み仮名を付し、割注で「人は天地の間に於て如何なる者なりや、委(くわ)しく承りたし」「人は万物の霊にして動物の上に位して其体の組織(くみたて)細密(こまやか)にして智力も勝れて尊きものにて、男女ともに之を人と称するなり」のように問答体で解説するのが特徴。〔小泉〕
☆ながしらじづくし [増補項目-0189]
〈文化改正再版〉名頭字尽∥【作者】?舌斎書。【年代】文化一三年(一八一六)再刊。[江戸]丸屋文右衛門(文寿堂)板。【分類】語彙科。【概要】異称『名頭字尽〈諸証案書〉』『名がしら』『名頭字』。中本一冊。前半に「名頭字」、後半に「手形諸証文案書」を収録した往来。まず「源・平・藤・橘・孫・彦…」以下二二四字からなる「名頭字」を列挙(本文は大字・四行・付訓)し、頭書に「吉書初(かきぞめ)」と「七夕詩歌」を掲げる。また、後半の「手形諸証文案書」には「御関所手形書やう(差上申一札之事)」から「店請状」までの証文文例七通を、概ねやや小字・六行・所々付訓で記す。〔小泉〕
☆てんぺんちい [増補項目-0190]
天変地異∥【作者】小幡篤次郎編。【年代】慶応四年(一八六八)序。明治元年(一八六八)刊。[東京]慶應義塾蔵板。【分類】理数科。【概要】中本一冊。欧米で一八六五年から六七年までに刊行された複数の地学書類を参照しながら、日本の国情・風俗に合わせて子女・童蒙用に平易に編んだ地学入門書。避雷針・地震・彗星・虹など地学・天文学に関する事柄を図解入りで解説する。「雷避(かみなりよけ)の柱の事」「地震の事」「彗星(ほうきぼし)の事」「虹霓(にじ)の事」「九日(ここのつのひ)同時に出たる事」「三月(みっつのつき)並び照す事」「流星並に火の玉の事」「陰火の事」の八章について記す。本文を小字・九行・付訓で記す。〔小泉〕
☆ぶんしょうはやびき [増補項目-0191]
〈民家〉文章早引∥【作者】大蔵永常(孟純・亀太郎・亀翁・黄葉園主人)作・序。石松増夫・秋田榕斎序。黄葉園主人跋。【年代】文政一一年(一八二八)序。天保一三年(一八四二)刊。[大阪]河内屋記一兵衛ほか板。【概要】横本一冊。本来二巻二冊の『〈民家〉文章早引大成』†として企画されたが、全ての上梓には時間がかかるために、まず上巻前半部(第五七丁まで)までを単行本とした刊行したもの。黄葉園の跋文には「右は『文章早引』の巻首なり。本文は往来書簡の熟字をいろはにて分ち、且、雅語を附し、尤も雅俗日用に便利ならんことを要とす。凡そ四百五十葉余あり。されば刻板速に成がたきをもて、先巻首一巻を世に公にすと云」と断るように、見出番附(目次)には丁数を記さないまま刊行してある。内容は「書札認様之有増」「間明様心得の事」「手をふせて三寸五分ニ成事」「宛名書やう高下の事」「一筆之事」「墨継之事」「沓冠明様の事」「袖書之事」「書留心得之事」「連署之事」「同封上書之事」「連判居様心得」「名乗判形之事」「候・御・被成・被遊の事」「恐惶謹言之事」「文字移嫌事」「病人見廻状之事」「火事見廻状心得」「悔状之事」「年号月日之事」「進物到来物数書之事」「闕字の事」「自分称する上下の事」「紙の事」「口上書之事」「手形書様之事」「端作之事」「益・弥之上下」「安否の上下」「返事之端書」「上所の事」「書留之事」「脇付の高下」「返書脇付」「様・殿・御・候・申の上下」「状箱上書之事」「封状之事」「袖書の事」「追啓の事」「封印の事」「時候之事」「年始之状文章」「年頭状文章替字」「年始状返翰」「暑寒見舞之状」「暑寒見舞之返翰」「人倫異名」「物の数、又目録の書様、婚礼の目録書様、箱の書付等」「品物名数」「目録註文折紙之事」「婚礼養子心得の荒増」の合計五一項を収録する。本文を小字・約一六行・稀に付訓で記す。なお、全体の板刻が完成して二巻二冊の『〈民家〉文章早引大成』†が出版されたのは本書刊行後一〇年を経た嘉永五年(一八五二)のことだった。〔小泉〕
☆きゅうりよだん [増補項目-0192]
〈訓蒙〉窮理余談∥【作者】土屋政朝(琴湾外史)編訳・序。【年代】明治五年(一八七二)序・刊。[東京]松本屋亀吉(昇竜閣)板。【分類】理数科。【概要】中本二巻二冊。本書緒言によれば、ラルース氏の著書『増訂仏国字類』第二五版巻尾の「事物発明の本源」等の記事から理科に関する部分を抄録し、本邦の単位改める(例えばメートルを三尺三寸に)などの改訂を加えた絵入りの窮理学入門書。上巻には、引力・遠心力・重力・速力など一四項、下巻には、月・游星・彗星・蝕・電・虹など二〇項を収録する。例えば、冒頭「引力」では読み仮名に「アトラクシヲン」、左訓に「インリヨク」と付し、遊星引力の原理を概説したうえで、この原理を発見した牛董(ニュートン)の事跡や生没年に触れ、さらに彼が、引力によって海水の満ち干が生じることなどを解明したことを紹介する。本文を楷書・小字・九行・付訓で記す。〔小泉〕
☆とうようしょぶんしょう [増補項目-0193]
当用諸文章∥【作者】玄考堂書。【年代】文化三年(一八〇六)刊。[江戸]花屋久次郎(星運堂)板。【分類】消息科。【概要】横本一冊。「年始の状」から「日待のいわゐ」までの九六題一〇八通を収録した用文章。内容は概ね主題別に分かれており、まず四季・年中行事に関する書状、通過儀礼ならびに移徒等の祝儀状、種々の招待状・誘引状、各種依頼状、各種見舞状の順に配列する。本文を大字・六行・付訓で記す。〔小泉〕
☆つうようあんしょ [増補項目-0194]
〈取遣文言〉通用案書(簡略版)∥【作者】十返舎一九編か。月斎(月斎峨眉丸か)補。【年代】文化元年(一八〇四)刊。[江戸]鶴屋喜右衛門板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。本書刊記には「文化一二年増補」の旨を記すが、これは別項、文化一三年『〈取遣文言〉通用案書』(増補版)†を意味するものと考えられ、文化一二年までに簡略版と増補版の双方が販売されていたことを示唆する。「年頭披露状」から「勧化事頼遣ス文・同返事」までの八六通を収録する(増補版は一四一通)。概ね四季・年中行事に関する書状、誘引状、吉凶事に関する書状の順序で配列し、本文を大字・五行・所々付訓で記す。なお、本書の類書については別項(増補版)参照。〔小泉〕
☆こくほうようぶんしょう [増補項目-0195]
〈頭書便蒙〉国宝用文章∥【作者】山田賞月堂編・書。玉蘭斎貞秀画。【年代】安政三年(一八五六)書・刊。[江戸]山城屋佐兵衛ほか板。【分類】消息科。【概要】半紙本一冊。「年始祝儀状」から「手習勧学状」までの九二通を収録した用文章。概ね季節順に五節句・四季の手紙を並べ、その所々に、吉凶事や諸用件の手紙を挿入する。年始祝儀状や暑中見舞状などでは上輩・中輩の例文を別々に掲げるなど書札礼の高下を示すほか、一つの例文中に複数の内容を含む場合があることから、目次には「早春遣す状、梅見に誘ふ文」のように、例文見出しに簡単な説明を付すのが特徴。また、最後の「手習勧学状」は作者から読者(初心者)に対するメッセージで、実際の手紙文の形式で、家業出精や五常の道、士農工商ともに学問に励むべきこと、一日一字の努力を重ねること、自筆で手紙が書けるようになったら和漢の書籍を読んで忠信孝悌の道を学ぶべきことなどを諭す。本文を大字・六行・付訓で記す。また頭書の記事も豊富で、乾坤・時令・人倫・支体・衣食・草木・宮室・生類・器財の九門からなる「日用万字尽」を始め、「書状認の心得」「年中時候之詞」「高下九段之事」「封状之式」「捻状之式」「太刀目録之式」「竪目録之式」「廻状之式」「大日本国尽并郡数」「日本都会広邑」「書初之詩歌」「七夕之詩歌」「人間一代之祝儀」「墨移秘伝」「名頭相生字」「証文手形案文」「小笠原流諸礼之式」「苗字尽」「偏旁冠構字尽」「百官名尽」「東百官名尽」「本朝神代略記」「家名尽」「書物朱引之法」「十二月之異名」「不成就日」「願成就日」「入学吉日」「知死期時之事」「片仮名」「伊呂波之本字」「十干十二支」を所々挿絵を交えながら収録する。さらに裏表紙見返しに「潮汐之満干」「和歌六体之事」を掲げる。〔小泉〕
☆しょうばいおうらい [増補項目-0196]
〈絵抄〉商売往来∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。[大阪]伊丹屋善兵衛ほか板。【分類】産業科。【概要】異称『絵抄商売往来』。半紙本一冊。近世流布本『商売往来』†の本文を大字・五行・付訓で記し、頭書に要語の図解や略注を施したもの。例えば「算用」に対しては「算木」の図を掲げて「算はものをかぞへたつるなり。算木はものをかぞへたる目印の木也。十露盤なき已然は皆、算木にてものをかぞへしなり。故に十露盤を算盤とも書なり」のように述べ、「利潤の程」に対しては「商人は利潤の程を考る事肝要なり。高利を取れば目の前に利潤あるやうなれども、やがて大損あるなり。されば「利潤」の「潤」の字に心を付べし。「潤」は「閏」と同じく「うるふ」といふ字也。三年に一閏ありて甲子を斉整(ととのえる)ごとく、小利を積て屋(いえ)を潤し、つばめを合すをいふなり。よくかんがふべし」。〔小泉〕
☆みょうじしょう [増補項目-0197]
〈小学読本〉苗字鈔∥【作者】不明。【年代】明治六年(一八七三)刊。[福井]岡崎左喜介(振藻堂)板。【分類】語彙科。【概要】半紙本一冊。京都中学校編、明治五年刊『苗字鈔』などを模倣して編んだと思われる教科書で、地域で使われる苗字をイロハ順に列挙した教科書。例えば冒頭は「稲葉・磯野・稲垣・飯田・市村・井上・伊藤・出渕・岩上・飯沼…」等の語彙を楷書・やや小字・七行・無訓で記す。〔小泉〕
☆はなみふみうた [増補項目-0198]
華見文歌∥【作者】山本梅一書(嘉永五年写本)。【年代】嘉永五年(一八五二)書。【分類】地理科。【概要】異称『花見文歌』『桜見ヅクシ』『桜見尽』。半紙本一冊。信州下高井郡・埴科郡・更級郡・水内郡周辺の名所等を記した往来。「天下静謐之御代にして、国民豊なり。千秋万歳之楽益々不尽、頃しもはるの花盛り、一入之寿命草を尋候得畢。先当国にて名も高き五穀成就之御神、戸隠山雄力王之命、九頭竜大権現之御山に詣で…」と筆を起こし、戸隠山参詣を始め、紫雲山・弥陀が嶽・飯綱山・渋湯・田中から姨捨山・鏡台山・八幡の森や箴言・謙信の甲越の一戦で知られる川中島を経て、善光寺、小市、念仏寺・月夜棚・古沢・富田・明松寺・萩の久保・穴尾等々を巡って再び善光寺に戻るコースで花見の名所や各地の故事来歴などを綴る。嘉永五年写本は本文をやや小字・一一行・無訓で記す。なお、信州更級郡吉原村・宮下健治郎による江戸後期写本『桜見ヅクシ』も本書と同内容である。〔小泉〕
☆たがためぞや [増補項目-0199]
誰がためぞや∥【作者】中田富義(吉五郎)作。片山賢跋。古雪庵眉雪書。【年代】文政一〇年(一八二七)作、天保七年(一八三六)書。【分類】女子用。【概要】半紙本一冊。「此たび不思議の縁にて雑司谷よりはると本所なる岡田氏の妻となられ候事、ひとへに田にぬしの媒妁(なかだち)によるといへ共、よくそのゆへよしを尋ぬれば、三霊神(むすぶのかみ)の御しわざにして、そなたたちの生れおちるとそのまゝ定(さだまり)てある縁と知らるべし…」で始まるように、岡田氏に嫁いだ片山賢の妹・お琴のために中田氏が綴った女子教訓書。長短含む合計二三章からなり、男女の別(「この教えの詳細は益軒の『女大学』を見よ」と説く)、従順(松平越中守作『関の秋風』の紹介)、女の勤め、小姑との親睦、人の癖を聞き流すこと、自らを省みること、物に逆らうこと、夫・姑へ口答えしないこと、馴れ合いになっても戯れにも口答えしないこと(ここで「是、しかしながら誰が為ぞや。みな其身のためぞかし」と書名の由来となった心得を述べる)、女性に多いふくれ面、朝夕の食物は夫・姑を先にすべきこと、自分以外の全ての膳部を平等にすべきこと、夫を大事にすべきこと、女の手業よりも婦徳が大切なこと、嫁は姑の代わりになろうとするよりも姑の負担を軽くしようと心得るべきこと、姑の若い時の辛苦を思って心を込めて孝行すべきこと、呼ばれたら軽やかな返事をすべきこと、他人に大事を話すべきでないこと、他人の噂話をしないこと、家庭内の秘密を嫁が言いふらすべきでないこと、嫁や妻を迎えるのは家を穏やかに治めるためであること、夫婦仲睦まじく暮らすことなどを説く。なお、万延元年(一八六〇)写本(小泉本)は末尾に「右、此本持主、平尾登季女」と記し、本文を小字・一二行・所々付訓で記す。〔小泉〕
☆かいめいようぶんしょう [増補項目-0200]
〈明治新刻〉開明用文章∥【作者】関川美建編。間宮華陽序。【年代】明治一五年(一八八二)序・刊。[見附]古沢良作板。【分類】消息科。【概要】半紙本一冊。私用文(四季・吉凶・雑題に分類)と公用文(願書・届書・諸証券に分類)の例文を多数掲げた用文章。各部の収録書状は順に「私用文春季之部」が「年賀」以下一一通、「同夏季之部」が「暑気見舞ノ文」以下一一通、「同秋季之部」が「七夕之賀」以下九通、「同冬季之部」が「初冬見舞ノ文」以下八通、「同祝儀之部」が「賀出産文」以下一〇通、「同不祝儀之部」が「死亡為知之文」以下九通、「同雑題之部」が「入塾問合之文」以下二二通及び「口上書式」、さらに公用文のうち「願書之部」が「商社設立願」以下三五通、「届書之部」が「出生届」以下三七通、「諸証券之部」が「借用金証券」以下三四通を収録する(私用文合計八〇通、公用文合計一〇六通)。私用文は下段本文欄に大字・五行・付訓(漢語に左訓)で記し、公用文は上欄頭書にやや小字・八行・所々付訓で記す。〔小泉〕
☆どくしょせんじもん [増補項目-0201]
〈寺子〉読書千字文∥【作者】不明。【年代】江戸後期刊。[和歌山]阪本屋喜一郎(世寿堂)板。【分類】語彙科。【概要】異称『寺子読書千字文』『〈童子必読〉寺子千字文』。半紙本一冊。葛西水玉堂作、寛延二年(一七四九)刊『〈真艸両読〉寺子読書千字文』†を模倣した海賊版。寛延板の前付を省き、本文のみを掲げる。周興嗣作『千字文』†本文を真草(楷書・行書)二体・各四行・両点(音訓)付きで記したもの。〔小泉〕
☆どうちくん [増補項目-0202]
童稚訓∥【作者】吉田熊太郎書。【年代】慶応四年(一八六八)書。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。「一、凡為人者は、親に孝を尽し、主君に忠を尽、兄を敬ひ、弟を愛し、友達は位実に交り、師匠を隆び、老たる人を敬ひ、幼き人を愛す事は是日々に用ひ、常に行べき第一なり」(第一条)以下全三〇カ条で綴った教訓。孝行、先祖の祭礼、交わるべき人、人の誤り、嫉妬・追従、善悪、公私の別、役人心得、人からの貰い物、我欲、親類・友人・他人の難儀、倹約、飽食の戒め、分相応、色欲、博奕、人との交流、諌言する友人、生涯の良友、礼儀作法、吉凶と天命などについて説く。本文をやや小字・八行・無訓で記す。〔小泉〕
☆かいかぶんしょう [増補項目-0203]
〈通俗〉開化文章∥【作者】松倉吉平作。近藤親民(尚絅堂)校・序。【年代】明治一二年(一八七九)序。同一三年刊。[仙台]伊勢安右衛門蔵板。伊勢兵吉売出。【分類】消息科。【概要】異称『通俗開化文章』。半紙本一冊。消息例文(私用文)と証文類(公用文)の文例を集めた用文章。消息例文は特に部類分けをせず、概ね四季・吉凶事・雑事の順に「年賀の文」から「友人に寄する文・同復書」までの合計六二通を収録する。また、証文類は「請書類」が「出頭請書」以下二通、「届書類」が「病気不参御届」以下七通、「願書類」が「辞職願」以下一二通、「委任状」が「代理人委任状」一通、「送状」が「荷物送状」一通、「為替手形類」が「為替手形」以下二通、「証文類」が「金子借用証」以下一〇通の合計三五通を収録する。本文を大字・五行・所々付訓(漢語の一部に左訓)で記す。頭書にはイロハ分けした略注付きの漢語集「新撰開化字引」を掲げ、さらに巻末(全六丁)の本文欄に「書物注文ノ文」以下二二通の「電信日用文」、頭書欄に「電信要言」「電信賃銭表」「電信局」「北海道賃銭表」「中仙道賃銭表」を掲げる。〔小泉〕
☆しょじょうひとりげいこたいぜん [増補項目-0204]
〈手形証文入〉書状独稽古大全∥【作者】三清堂書。【年代】江戸後期刊。[京都]大文字屋与三兵衛(積文堂・明石堂)板。【分類】消息科。【概要】異称『書状独案文大全』。半紙本一冊。「年始状」から「振舞廻文」までの消息文例四三通と、「売上証文之事」から「御関所通手形(差上申一札之事)」までの証文類一〇通を収録した用文章。本文を大字・四行(証文類は五行)・稀に付訓で記す。また前付の目録上欄に「大日本国尽」「片仮名伊呂波」「十幹十二支」、巻末に「花押之事」を掲げる。なお目録には「書状封じ様之事」「同連名認方之事」「文法上中下之事」の三項を示すが、小泉本には該当する記事がないため、本書は先行書の改題本の可能性もある。〔小泉〕
☆かくぶつしょほ [増補項目-0205]
格物初歩(水学之部)∥【作者】高田義甫作・序。伊藤信平書。【年代】明治六年(一八七三)序・刊。[東京]北畠茂兵衛(千鐘房)板。【分類】理数科。【概要】半紙本二巻二冊。「格物入門」すなわち物理学のうち、特に水の作用などに関する「水学(水理)」に関する初歩知識を図解入りで綴った教科書。既に皇国地理の端緒として『地学初歩』を著し、歴史学の端緒として『史学初歩』を著した作者が、「童蒙各課の端を開らき、其蘊奥に入る」ための入門書の一つとして著したもの。静水と流水、水銀と油、などの働きを説明し、それを試す実験方法も紹介する。特に水の三大特徴(大綱)である「平らかにして片寄らない」「水力の四面の圧力が均等である」「水の深さが増せば水圧が増大する」などについて平易に述べる。なお、本文が「夫水学の、民用を、利する大略、掲ぐれば、其類分ちて、二つあり…」のように暗誦しやすい七五調で綴ってあるのも特徴で、その本文を大字・五行・付訓(稀に左訓)で記す。また、頭書「水理試験図并解」は本文要語を略解したもので、本文要語との対応関係を算用数字で示しながら、水学に関する原理や実験道具・実験方法などを図解する。〔小泉〕
☆てならいぶん [増補項目-0206]
〈願伺案文〉手習文∥【作者】田中自知編。土田南皋書。【年代】明治七年(一八七四)刊。[金沢]中村喜平ほか板。【分類】消息科。【概要】異称『願伺手習文』。半紙本一冊。願書・届書などの公用文の例文ばかりを集めた用文章。願書は「養子願」以下三二通、届書は「養子御届」以下二四通(うち一通「遺言状」)の合計五六通を収録する。本文を大字・五行・所々付訓で記す。〔小泉〕
☆いっきゅうきょうかすずめ [増補項目-0207]
〈道歌教訓・童蒙早合点〉一休狂歌雀∥【作者】辻本基定(源基定)編。【年代】天保九年(一八三八)刊。[京都]堺屋仁兵衛板。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。一休が詠んだという道歌を集めた絵入り教訓書。冒頭に「かねて道歌をもつて世の人を常に御教訓ありしとなり。この道歌も宝蔵に納りありしを、縁をもとめ乞うけて、道のみちしるべにもと桜木(はんこう)にちりばめしものなり」とその由来を載せ、各丁の半丁毎に挿絵を伴う道歌一首を下段に置き、その上段に道歌六首を列挙する体裁で、「理非をわけ国を守護して身をたゞし、民をすくふを儒道とはいふ」以下一二四首を掲げ、さらに巻末「付録」に、作者が撰んだ空海・夢窓国師・仏国禅師・読人しらずの道歌四首を付す。なお本書の続編である『〈道歌教訓・童蒙早合点〉狂歌雀後篇』†が天保一〇年に刊行された。〔小泉〕
☆きょうかすずめこうへん [増補項目-0208]
〈道歌教訓・童蒙早合点〉狂歌雀後篇∥【作者】辻本基定(源基定)編。【年代】天保一〇年(一八三九)年刊。[京都]堺屋仁兵衛板。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。天保九年刊『〈道歌教訓・童蒙早合点〉一休狂歌雀』†の続編として編まれた教訓書。概ね体裁は似ているが、後篇の本書は道歌と教訓文を交えた内容になっており、下段の挿絵には道歌をほとんど掲げない点でやや異なる。「正直のかうべなければ神達の、やどり処やすくなかるらん」以下六四首に、一休にまつわる故事や訓話等を交える。〔小泉〕
☆しょほういとぐち [増補項目-0209]
〈図解〉書法絲ぐち∥【作者】土井健(艮四郎・青塘)作・序。内田不賢校。【年代】明治二六年(一八九三)序・刊。[岡崎]伊藤小文司(環翠堂)板。【分類】教訓科。【概要】異称『習字速成』『〈図解〉書法緒口』。半紙本一冊。明治期小学校における習字科教育の後退が「徒に字様を模して書法を学ざるの罪」に基づくものであり、当時の習字教授法を改良するために編纂された習字教科書で、主に字画や運筆を図解入りで解説したもの。冒頭に「習字順序」でまず楷書を習うべきと教え、楷書に習熟すれば行書・草書にも応用できることを説き、次に「執筆(しゅひつ)」、すなわち筆の持ち方や、「運筆」「円勢・方勢」について説明した後、点法・画法・背?(はいてき)・聚水法・散水法・三画法・垂露・懸鍼法・背抛(はいほう)法・浮鵞法・従波法・顕異々法・顕異法など三四の書法について、字画の要点とその形を象徴した挿絵、またその字画を含む漢字数例を掲げる。巻末には均整の取れた字画の書法を示した「間架結構」を掲げる。〔小泉〕
☆ようぶんしょうけいこぐるま [増補項目-0210]
用文章稽古車∥【作者】不明。【年代】宝暦三年(一七五三)刊。天保一〇年(一八三九)求板。[京都]山城屋佐兵衛ほか板。【分類】消息科。【概要】半紙本一冊。前半の「消息文例」と後半の「証文手形案紙」からなる用文章で、「貴人え年始状」から「家督譲祝儀状」までの三七通と、「金銀預り証文」から「関所手形」までの一一通を収録する。本文を大字・五行(証文類は六行)・所々付訓で記す。消息例文は四季用文が大半を占め、例文主題は豊富ではないが、例えば「年始状」では貴人・同輩・下輩のそれぞれ往状・返状の六通りを掲げるように、多くの例文で上中下別を示すの特徴。見返しには「月の異名」「書翰尊下」「九九のこゑ」、目次上欄には「八算割声之事」「見一之呼声」等、巻末には「諸国御関所附」「日本国尽」を載せる。〔小泉〕
☆さくぶんじざい [増補項目-0211]
〈小学入門〉作文自在∥【作者】箕輪醇編。浅山聡書。香阪宗精(海月)序。【年代】明治九年(一八七六)序・刊。[東京]小林新兵衛板。【分類】消息科。【概要】半紙本一冊。私用文(用文章類)と公用文(願書類・届書類・請書類・証書類)の例文を集録した用文章。まず用文章類は「時令・四季」(「年始ノ文」以下八通)、「慶賀・諸祝儀」(「新婚ヲ賀スルノ文」以下六通)、「嘱托・諸頼」(「洋学入門ヲ請フノ文」以下六通)、「稟告・諸吹聴」(「就官吹聴ノ文」以下四通)、「行(じんこう)・諸餞別」(「洋行スル人ヲ送ルノ文」以下四通)、「問慰・諸見舞」(「火災見舞ノ文」以下四通)、「邀約(ようやく)・諸催」(「友を邀(むか)ヘテ花ヲ賞スルノ文」以下六通)、「背約・諸断」(「郊外散歩違約ヲ詫ルノ文」以下四通)、「嘱購・諸注文」(「新聞紙逓送注文ノ文」以下四通)、「報謝・諸礼」(「饗応ニ預リタル方ヘ遣スノ文」以下四通)、「赴弔・諸悔」(「親ヲ失ヒタル人ヲ弔フノ文」以下四通)の合計一一類・五四通を収録する。また公用文として、願書類は「他府県下寄留願」以下五通、届書類は「婚姻届」以下五通、請書類は「金貨物品受領書」以下五通、証書類は「金銀借用之証」以下五通の合計二〇通を収録する。本文を大字・五行(公用文は七行)・所々付訓(稀に左訓)で記す。また用文章部分の頭書に本文に対応して関連用語(略注付き)を集めた「熟語便覧」を載せる。〔小泉〕
☆ほっかいえんかくか(ほっかいえんかくのうた) [増補項目-0212]
〈四支一韻〉北海沿革歌∥【作者】高崎竜太郎(乾斎)作。渡辺謙(亨斎)書。内藤耻叟・野口勝一・香川敬三序。【年代】明治三二年(一八九九)序・刊。[東京]著者蔵板。【分類】歴史科。【概要】半紙本一冊。漢字七言一句、全二九四句(二〇五八字)からなる文章で、古代から明治初年にいたるまでの北海道の歴史を中心に、同地の地誌・産業・風俗・文化等を交えながら綴った教科書。「矣天造草昧地(ばくたりてんぞうそうまいのち)、在昔茲土曰蝦夷(むかしこのどをえぞという)、北辰抜地四十五(ほくしんちをぬくしじゅうご)、東経一百六十弥(とうけいいっぴゃくろくじゅうにわたる)、全道沿岸一千里(ぜんどうえんがんいっせんり)、面積六千方有奇(めんせきろくせんほうゆうき)、気候華氏降零度(きこうはかしのれいどにくだる)、樺太千島無大違(からふとちしまたいいなし)…」で始まる本文を大字・六行・無訓で記し、巻末に活版(小字・一三行)で付訓・読法付き本文を再録する。これらの歴史は、数多くの文献を始め、北海道の永住者等の伝説や証言、また、作者自身が十数年間に道内各地を実地見聞して得た知見によって綴られたもので、本書を通じて同地の歴史などを広く紹介し、道内への「移住・開墾を誘導せん」ために著したという。大字・無訓で掲げた本文は、天皇名などに特別な敬意を示すために、他行よりも一字突出させる「台頭」や、行の途中で改行する「平出」、また、貴人名の前を一字空ける「欠字」などを随所で用いている。〔小泉〕
☆がっしょどうじくん [増補項目-0213]
〈教訓絵抄・童子重宝〉合書童子訓∥【作者】不明。【年代】江戸中期刊。[大阪]糸屋市兵衛ほか板。【分類】合本科。【概要】半紙本一冊。「教訓いろは歌」「実語教」「童子教要語」「今川教訓書」「商売往来」「七ッいろは」「小野篁歌字尽」「改算塵劫記」「祝儀小謡」を収録した往来物。うちいくつかは単行本でも刊行された形跡があり(例えば「七ッいろは」は『福寿七いろは』の書名で出版された)、それらを合本した本書と同時に販売されたものであろう。巻頭に「永字八法」、また頭書や本文中に「中華(もろこし)いろは」「朝鮮いろは」「四季狂歌集」「人倫和歌集」「鼻息にて時をしる歌」「猫の目にて時を知る歌」「飯をたく心得の歌」「京都・東都・浪華名物狂歌」「守本尊をしるうた」「いろは正字同篆書」「いろは四句文」「修身三戒」「武田信玄のうた」「今川了俊小伝」「恵比須講」「誓文払い」「商売往来絵抄(要語の図解)」「大黒・恵比寿」「大日本国尽」「華夷国尽」「着類之部」「魚類之部」「貝類之部」「鳥類之部」「獣之部」「諸道具之部」「草木之部」「十干十二支」等の記事や関連の挿絵を多数掲げる。本文を大字・概ね六~八行・概ね付訓で記す。なお、本書は後に暁鐘成作・文政七年(一八二四)刊『〈教訓絵抄・幼学重宝〉合書童子訓』†に影響を与えたと思われるが、体裁は全く異なる。〔小泉〕
☆いっぴつけいじょう [増補項目-0214]
〈御家〉一筆啓上(仮称)∥【作者】燕山章水(米花坊)書。【年代】文化四年(一八〇七)書・刊。[江戸]花屋久次郎(星運堂)板。【分類】消息科。【概要】書名は旧蔵者の書き入れによる。半紙本一冊。「年始之文」から「歳暮之文・同返事」までの合計二八通の文例を集めた用文章。ほとんどが五節句や四季行事に伴う例文で、いずれも往復二通ずつ掲げる。本文を大字・四行・ほとんど付訓で記す。また、巻末に詩歌四編を付す。〔小泉〕
☆しょうがくじんたいもんどうていど [増補項目-0215]
〈阿保友一郎著〉小学人体問答定度∥【作者】阿保友一郎編。【年代】明治一〇年(一八七七)刊。[?]桂雲堂板。【分類】理数科。【概要】異称『人体問答定度』。半紙本一冊。小学校教科書として多数刊行された『人体問答』の一種だが、本書は主に教師用指導書として編集された点で、一般の『人体問答』とは異なる。全四回構成で、例えば第一回冒頭は「人ハイカナルモノナリヤ」に対して「動物ノ中ニテ最智識ヲソナヘ秀タルモノナリ」、また「人体ヲ幾部ニ分ツゾ」に対して「上・中・下ノ三部ニ分ツナリ」のような問答から始まり、身体全体から各部へと、適宜、名称・形状・特徴・機能・異名についての問答を展開していく。本文をやや小字・一〇行・所々付訓(稀に左訓)で記す。なお、本来巻末に付すはずだった図解は第八丁表に掲げ、欄外に「彫刻師誤テ此処ニ挿入タリ」と断る。〔小泉〕
☆じょうつうあんし [増補項目-0216]
〈万民必用〉状通案紙∥【作者】宮南耕斎(進)書。【年代】寛政八年(一七九六)刊。[大阪]名倉又兵衛ほか板。【分類】消息科。【概要】異称『万民必用状通案紙』。半紙本一冊。「人を引合せ頼遣す状」から「縁引合せの礼状・同返事」までの八六通を収録した用文章。概ね諸用件・祝儀・四季・見舞状の順に例文を配列し、例文の末尾に要語・要句の解説や書簡作法について数行程度の注釈を付すのが特徴。本文を大字・五行・所々付訓で記す。序文では「文言ニ限りあり。所用限りなし。時候要用其時に臨んでよろしく取用ゆべし。かならず膠することなかれ」と述べ、実際の手紙には本書の例文通りではなく、適宜手を加えるべきことを諭す。〔小泉〕
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